第5話 真意
食事を摂り終えた私は、ゆっくりと休憩していた。すると…
「俺は、もう寝る…。」と言い、彼は2階の部屋に行った。
私は彼に訊きたいことがある。彼と会ってから今まで不思議に思っていた。彼は本当にあのザレムスを一人で滅ぼし、民を殺したのか…。
とても彼が罪人とは思えないのだ。罪人は普通、食事を食べて泣くのだろうか?
私は真意を訊くため、彼の部屋のドアの前に行き、ドアを「トン、トン」とノックした。
ドアの向こうから、彼の声が聞こえた。
「何ですか?」
「あなたに訊きたいことがあります。少し話をしたいのですが…」
「わかった。」
と、彼は快くドアを開けてくれた。
私は思っていることを口にした。
「あなたに訊きたいこととは、その…、あなたがザレムスで人々を殺したことです。なぜ、あなたはそんなことをしたんですか? あなたが人殺しとは思えないのです。」
彼は暗い顔をして答えた。
「ああ、俺が殺したんだよ。全員、容赦なく、一人残らずに。俺はいずれ死ななくてはならない人間なんだ。もう…、いいだろう。眠らせてくれ。」
彼は勢いよくドアを閉めた。
私は彼の表情を見て、彼は自分の罪に苦しんでいるのだと感じた。
自分も彼とは違う部屋で眠りについた。
翌日の朝を迎えた。不思議と昨夜は眠れなかった。
私は白髪の少年を起こしに行くと、彼はすでに起きていた。
「ちょっと、あなたに見てほしいものがある。」と、彼は私をおばあさんの部屋の前まで連れて行った。
「何ですか?」と私が問うと彼は神妙な面持ちでこう答えた。
「おばあさんが死んでいる。」と…。
私はおばあさんの部屋に入ると、血の海だった。そして、ベッドに横たわる人影のようなものをよく見ると、首から上が無い、おばあさんの遺体だった。
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