第2話 女騎士

「タラデル王、話とは何でございましょうか?」


私、騎士イリカは王に呼ばれていた。


「イリカよ、そなたに捕らえてきてほしい賊がおるのだ。」


私は王に訊く。

「賊とは、誰なのですか?」


「白い死神じゃ」


白い死神? 聞いたことがない。それでも王がわざわざ捕らえろという者のことが気になる。

私は再び王に訊く

「白い死神とは一体何者なのですか?」


王は答える。

「あの戦勝大国ザレムスを一日で滅ぼしたという白髪の少年じゃ。ケスに出たという情報が入ってのう。民の安全のためにも野放しにするわけにはいかぬのじゃ。騎士長が不在のなか、一番、腕が立つのはお主じゃ。そやつを捕らえられるのは、そなた以外他におらぬのだ。」


私は驚愕した。しかし、そんな化け物のような者を私一人でどうこうできる問題なのか? 王のおっしゃっていることが無茶苦茶に思えた。


私は不安感を覚えつつも、こう答えた。

「わかりました。その賊を必ずや捕らえてきてみせます。」


こう答えるしかなかった。王の命令は絶対である。



私はタラデル城を出て、ケスに向かった。


ケスには夜に到着した。私は宿を探していると川沿いの道に眠っている白髪の少年を発見した。こいつがあのザレムスを滅ぼした少年なのか…。眠っている顔は穏やかで、まだ幼さを感じさせる。とても何千人もの命を奪った殺人者には思えない。それでも彼を捕らえなければならない。


私は彼を叩き起こす。

「んん? 何だよ。せっかく久しぶりに眠れてたって~のによ。は~あ、あ」と、あくびをしながら、少年は目を覚ました。





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