第45話 夢の超特急

 新幹線。

 夢の超特急なんて使い古した表現だけれど、やっぱり「夢の」乗り物なんだと思う。

 子供の頃に新幹線や特急列車に夢中になった人もいるだろう。

 生まれて初めて新幹線に乗ったときは「胸が弾んだ」ことだろう。

 遠くのおじいちゃんおばあちゃんに会いに行くのにひとりで乗る新幹線は大冒険だろう。

 進学や就職で親元を離れて旅立つときに一緒に乗せたのは「夢」ではないだろうか。

 東京ー大阪などの日帰り出張が可能なのも「夢の超特急」のおかげである。


 やっぱりほかの列車とは「格」が違う乗り物じゃないかな、と思うのである。


 そんな新幹線は中国にもある。

 というか……、


 お得意の……、



 そっくり真似しちゃった? 


 ウィキペディアで調べてみると、日本・ドイツ・フランスの各国の技術を基に、中国国内メーカーがライセンス生産と書いてあるんだけれど、政府は自国開発って発表しているらしいのです。(ざっくり説明ですが……)


 真偽のほどはワタシにはわかりませんが、まあこれがそっくり。

 どこからどう見ても「日本の新幹線」

 外見も内装も。

 一般人なのでエンジン? など技術的な部分のことはわかりません。


 聞いた話ですが、日本側は新幹線製造のノウハウはもちろんのこと、新幹線運行システムも同時に提供したいと提案したらしいんです。けれども中国側は製造方法は教えて欲しいけれど、運行システムは必要ないと断り、交渉が決裂したとか。そこからな技術提供はなくなったのかしら。けれど日本のそっくり新幹線はできあがったのです。


「夢の超特急」のおかげで車で2時間弱かかる都市間の移動が30分で可能になりました。

 新幹線のチケットは事前に街中にある「みどりの窓口」的な切符売り場で買っておきます。1等2等と座席のクラスがあります。大抵は1等を買います。さてチケットを持って駅に行きます。1等と2等では駅の入り口から違います。1等専用の入り口から駅に入ります。まず空港にある手荷物検査機に荷物を入れ、自身も金属探知機のチェックを受けます。飛行機に乗るときに受けるチェックとまったく同じです。このチェックを受けないと列車に乗れないどころか駅の構内にも入れません。チェックが終わると1等専用の待合室です。ラグジュアリーなソファが整然と並んでいてそこで乗車までの時間を過ごします。


 最近日本では新幹線内で悲劇的な事件が起きています。刃物や火炎物など危険物を持ち込めてしまうから起きてしまった事件です。日本でも新幹線乗車時に手荷物検査をすべきだとの意見も出ているようですが、まだ実施される予定はないようです。(2019年現在)改札を通る前にワンストップ増えるけれど安全のために行ってほしいなと思います。


 さていよいよ乗車ですが、日本ではチケットさえ持っていれば自由に改札を通り新幹線のホームに行けるのですが、中国では基本ホームへの立ち入りは制限されています。それぞれの列車の入線に合わせてアナウンスが流れて該当のホームの改札が開きます。そう、飛行機に乗るときに似ています。


 そうして乗車してみると、これが本当に日本の新幹線の内装と同じでビックリ。1等の座席は日本のグリーン車と同じカンジでした。そういえば一度だけ先頭車両に乗ったのですが、ここは飛行機のファーストクラスのようでした。ここだけは中国オリジナル?の豪華さ。おまけに座席が4、5席しかなく(おそらく前方が運転席)、車両は家族で貸切状態。革張りフルフラットシートのエグゼクティブ空間は30分の乗車時間にはもったいない乗り心地でした。資料を見ると「商務座(ビジネスクラス)」とあります。確かいつもと同じ1等料金しか払っていないと思うんだけれど、知らない間にアップグレードされていたのかしら?

 そんな快適新幹線くんは夢のような速さで目的地へとワタシたちを運んでくれるのです。これでまたもや行動半径を広げることができました。まさに「夢の超特急」

 ワタシが中国を離れてもう数年経つので今の新幹線は当時よりもっと進化しているかもしれません。


 ちなみにその新幹線名は「和階号フーシェハォ

「和階」って調和とかハーモニーという意味なんです。

 隣国同士、協力できることは協力して、補えることは支援して、「調和ハーモニー」を大切に仲良くできたらいいですよね。



 2011年7月のこと。浙江省温州市で新幹線と列車の衝突・脱線事故が起きてしまいました。大勢の方が犠牲になってしまった大事故でしたが、なんと事故って脱線した新幹線を証拠隠滅とばかりに地中に埋めようとしました。大々的にニュースにもなりました。覚えていらっしゃる方いるかな?

 いやいや、事故った列車を埋めちゃうって、もうみんな事故のニュースは知ってるし、「事故列車? もうないでーす」なんて言って「そっか、埋めちゃったんなら仕方がないね」なんて展開になるはずもないでしょうにね。

「埋めるの? ホントに埋めるの?」

「みんな見てるよ? それでも埋めるの?」

 埋めようとしている画像を見ながら呆れ返った記憶があります。


 結局世界中からの大非難を受けて埋めた新幹線を掘り起こして原因究明したらしいですけれどね。なんとも中国らしいエピソードではあります。


 英語でも新幹線は”Shinkansen Super Express”

 夢を叶える超特急Super Express


 中国も、日本も、そして世界中で。より安全により快適に「夢の超特急」は活躍してほしいものです。




 夢の超特急





 ※参考資料

 Wikipedia

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