第40話 がんばろっ! ニッポン代表!!

 海外で日本車を見ると嬉しくなる。

 お店に日本のメーカーの商品があると嬉しくなる。

 車だったりモノだったりするが、同じ地元の同志を見つけた感じがするのだ。


 キミもココで頑張ってるんだね。

 こっちの人に使ってもらっているんだね。



 中国に滞在中に日本代表でもある香川選手のサッカーを観戦できる機会に恵まれた。鳴り物入りでイングランド・プレミアリーグのマンチェスターユナイテッドに加入して最初の試合だった。リーグのシーズンオフで中国側がマンUチームを招待して上海のチームと対戦することになったのである。

 ムスコがサッカーをしており、そのコーチがチケットも手配できるという。

 ムスコのサッカー仲間やその兄弟、ハハ達総勢20人ほどで観戦に行くことになった。

 幸せなことに目の前で香川のマンUでの初ゴールを見ることができた。

 世界で戦っている日本人選手を前に誰かれなく自慢したくなる。

 もちろん、関係者でもなく親戚でもないけれどやっぱり誇らしい。


 今ゴールを決めたKAGAWAは日本人選手なんだよ。

 スゴイでしょう? 頑張っているでしょう?

 ワタシ達日本人の誇りなんだよ。


 やはり国内で日本人選手が世界と戦うのを見るのとは見ているこちらの感覚が違うのだと思う。


 その夜はまるで自分か自分の身内がゴールを決めたかのような幸福感を味わった。



 ―― ニッポン代表 ――



 それは国際レベルのサッカー選手だけでなく、海外ではすべての日本人に言えることでもある。いや、日本国内でもそうかもしれない。



「お前たちは本田や香川と同じ海外組だ」

「ニッポン代表として戦え」


 ムスコたちは当時現地で日本人コーチのサッカークラブに入っていたが、対戦相手は当然中国人チームやインターナショナルスクールの欧米人チームになる。

 試合のときも練習のときもよくコーチたちは「ニッポン代表」という言葉を使った。



 ひとりひとりがニッポン代表なのである。

 駐在員として働く企業戦士も。

 夢や目標を持って留学している学生も。

 海外で暮らす大勢の人達。

 親に帯同でついてきた子供達も。

 そして一応ワタシ達帯同家族も。

 ひとりの言動が日本の印象につながる。


 サッカーでいいプレーをすれば、日本人もなかなかやるじゃないかと思ってくれる。

 好印象を与えれば、日本人はみんなそんなにいい人なのかと思ってくれる。

 悪印象を与えれば、日本人はみんなそんなに悪い奴なのかと思われる。



 きっと中国だけでなく世界中にいる日本人に言えることだと思う。そしてそんなワタシ達の先頭を引っ張ってくれるのが、メイドインジャパンの高品質なモノやテクノロジーであり、スポーツや芸術、学問などで世界に名を馳せる日本人たちなのである。



 がんばろっ! ニッポン代表!!

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