第14話 なわとびうたに見る駐在事情
駐在員って(駐在員の家族って)、ホントに日本全国から来ているんだなぁと実感したこと。
ある日の夕方だった。
中庭で子供達が遊んでいた。
我が家も下の子は一緒に中庭に出てきて遊んでいた。
子供の同級生の妹ちゃんもお兄ちゃんのお迎えがてら、なわとびを持ってママと中庭に出てきていた。
誰かのママがその妹ちゃんとなわとびで遊んであげていた。
「ゆ~うびんやさん、おはいんなさい♪」
ワタシも他のママ達もその微笑ましい光景を目の端にとらえながら、他愛のないおしゃべりをしていた。
ら、、、
!!!!!
え~っ! 歌詞が違うよ。ゆうびんやさんの歌詞が!!!
口々にママ達が言い始めた。
「ひろってあげましょ。1まい。2ま~い。3まい。……。」
「ちがうってば! こうでしょ?」
みんなが口々に歌い始める。
「愛知ではこうだったわよ」
「京都はこうよ」
「関東はね……」
同じ歌詞同士、出身県を聞いて、いくつかのグループに分かれる。
そんなところへやってくるママをつかまえては、
「ゆ~びんやさん、おはいんなさい♪ はいっ、歌って~」
何のことだかわからないまま、その先の歌詞を歌うママ。
どこのママもノリがいい。
「あ、そうなんだね。どこ県出身?」
やっぱり近い県同士で同じ歌詞を歌っていた。
こうなると、なわとびの持ち主の女の子は蚊帳の外。
ママ達の盛り上がりをあっけにとられて眺めていた。
「何県バージョンがいい? ご指名のママでやってあげられるわよ♪」
部活帰りの中学生達が帰ってきた頃は、各県バージョンの「ゆうびんやさん、おはいんなさい」大会。
中学生達にも「はい! おっはいんなさ~い!」と呼びかけたのに、お年頃の子供達は(特に男子)、シラけ~た顔して自宅に戻っていったっけ。
駐在だからこその環境。
こんなやりとりだって他愛のないことだろうけど、こんな環境なかなかない。
生まれた所も育った環境もバラバラなのに、今は中国の同じマンションに暮らしているキセキ。
なわとびうたに見る駐在事情。
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