第23話 愛しの蟹粉豆腐

 日本にあって中国で見かけない料理

 酢豚

 八宝菜

 杏仁豆腐

 エビチリ エビマヨ

 天津甘栗


 日本になくて中国で出会った料理

 蟹粉豆腐

 蒸し栗

 亀ゼリー


 あくまでも、ワタシが感じたことです。

 他にもあるでしょうし、ここに挙げているものでも中国で食べられるのももちろんあるでしょう。なんといってもあの広大な土地です。料理もさまざまですから。

 そう、「中華料理」という種類の料理は中国にはないと、何かの本で読みました。「北京料理」とか「広東料理」とか「四川料理」といった風にその地域地域で特色あるお料理が食べられています。


 その中で最もワタシが好きなお料理をご紹介します。


蟹粉豆腐シェフェントンフー」といいます。

「上海料理」になるのかな。


 日本で最もイメージしやすい中華料理といえば、麻婆豆腐マーポゥトンフー回鍋肉ホイコウロウ青椒肉絲チンジャオロウスゥなどですが、これらは「四川料理」になります。唐辛子の辛いイメージですよね。本場の四川には行っていませんが、中国でも「四川料理」はメジャーなお料理のようで、四川地方でなくても四川料理のお店はたくさんありました。そこで食べた麻婆豆腐の衝撃。辛いのも辛いのですが、何より山椒(花椒ファジャオ)のしびれ、でした。麻婆の「マー」は「しびれ」ですからね。美味しいですけれど、汗の量がハンパじゃなかった。デトックスに最適かも。


 話はそれましたが、そこへいくと上海料理は四川料理の対極にあるかもしれません。とにかく味が優しい。素材の味を前面に出していて、味付けはその素材の美味しさを引き出しているカンジ。

「蟹粉豆腐」は上海蟹のお料理です。日本でも有名な高級食材ですね。中国でも安くはなかったです。これまた、やっぱりというかなんというか本物からニセモノまで出回っているのですけれどね。

 上海蟹という名前は実は日本での呼び名で、中国では大間蟹ダージャーシェといいます。上海蟹についてはまたこれエピソードがあるのですが、これはまた別のお話にしますね。


 さてさて、本当に蟹粉料理のお話。

 材料は上海蟹、豆腐。調味料は塩、砂糖、料理酒、鶏ガラスープ、片栗粉。あとは香りづけの生姜とネギを少々。以上。


 少し「中華料理」を習ったのですが、そこで教えていただいたお料理の中で一番シンプルなお料理でした。

 ①上海蟹を蒸して、蟹肉と蟹ミソを取り出す。

 ②豆腐をさいの目に切り、湯どおししておく。

 ③中華鍋で油を熱して、ネギと生姜で香りをつけたら蟹ミソを投入。

 ④③に蟹肉、豆腐、酒、中華スープを入れて煮込む。

 ⑤塩と砂糖で味を調えて、最後に片栗粉でとろみをつける。

 これで出来上がり♪


 見た目は黄色い麻婆豆腐だと思って下さい。黄色は蟹ミソの色です。

 鶏ガラスープが味のベースなので、とても優しい味です。鶏ガラスープに濃厚な蟹ミソが溶け込んでとろみのついたあんが豆腐と蟹肉を包み込みます。濃厚な蟹ミソの余韻だけが口に残ります。もうひと口、あとひと口。余韻を追いかけてレンゲで蟹粉をすくう。口に運んだ至福の味わいのあとの余韻。やっぱりもうひと口。何度口にしても顔がほころぶ。そのままいただいてももちろん美味しいし、ごはんや炒飯にかけて食べてもサイコーでした。


 上海のお店には蟹ミソ担々麺というメニューがあり、文字通り担々麺の上にあんかけの蟹粉をテーブルでかけてくれました。担々麺も四川の辛い味ではなく、ゴマベースの優しい味の担々麺にこれまた優しい味の蟹粉のあんかけ。なんというコラボ。美味しくないわけがない。奇跡の競演。スマホで写真撮ってきましたが、今でもその写真を見ると唾をのみ込みます。(すみません、下品ですね)食べたいなぁ。蟹粉。


 小さいお子さんでも大丈夫。実際、あちらでこの料理をキライと言った日本人を見かけませんでした。蟹アレルギーの方は別にして。

 上海蟹さえ手に入れば誰にでも簡単に作れます。ただ日本で上海蟹の入手は困難だし、可能だとしても高額です。

 上海蟹の代用品でのレシピもネットにはたくさん載っているのでよかったら検索してみてください。ワタシのおすすめ代用品はカニ缶と人参ペーストです。


 どうして日本で普及しないんだろう。中華料理屋さんのメニューでも見たことがない。上海蟹が入手しづらいから? すんごく美味しいのに。日本に帰国して一番恋しい「中華料理」です。


 上海蟹は秋が旬です。


 食べたいなぁ。本物の蟹粉豆腐。



 愛しの蟹粉豆腐。




【閑話休題】

 ワタシが愛用した本です。

 食べる指さし会話帳⑤中国        広岡今日子 著 情報センター出版局

 見るだけで楽しいです。写真入りでとっても美味しそうです。中国の他にもタイ、ベトナム、フランス、イタリア等あります。旅行先で使ったこともありました。


 旅の指さし会話帳④中国         麻生晴一郎 著 情報センター出版局

 こちらは旅版。最低限の会話は勉強できるし、勉強しなくてもこれを持ち歩けば中国を旅できます。出かけなくても眺めるだけでも楽しいです。ちなみにこのシリーズは世界中あります。今はアプリもあるようです。

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