第18話 ワタシと友達と中国語 Part2
第17話からの続きです。
ワタシはというと、Bちゃんと近くの中国語教室に通うことにした。
先生ひとりにワタシ達ふたりのセミプライベートレッスン。
先生は中国人の男の人で、日本語が話せた。
こうなると緊張感のないこと、ないこと。
わからないことは日本語で聞けばいい。
おまけに毎週何曜日というように決まっているわけでなく、
授業に行ったときに、3人の予定を合わせて次回の予約をしてくるのである。
ワタシが中国で生活するにあたって、もっと中国人に囲まれて生活をするのかと想定していたが、夫が日本企業、子供達が日本人学校へ通うとなると、おつきあいがあるのは日本人ばかり。
その日本人ママ達があれやこれやと世話を焼いてくれる。
どこかへ一緒に連れて行ってくれれば、率先して誰かが通訳をかって出てくれる。
あれ? あれれ?
ワタシ、中国語話せなくても中国で暮らせてる! しかもとっても楽しく。
きっとBちゃんもそう感じていたに違いない。
ふたり揃って
「あ、この日はランチに行くしね~」
「この日はお出かけだしね~♪」
とあれやこれやと理由をつけては、緊急を要さない中国語教室の予約を先延ばしにしていってしまった。
そしていつしかワタシ達の中国語教室通いは自然消滅した。
Bちゃんとはずっと仲良くしてもらったし、今も大好きな友達だけど、
暗黙の了解というか、半年ほどで中国語教室の話題はしなくなった。
彼女の名誉の為に言っておくのだが、彼女の英語力はピカイチだった。中国人にあまり英語のわかる人がいなかったのだが、たまに英語の通じる相手だとわかるとそれこそ皆の分まで喜んで通訳したり、あるときはランチ先で欧米人に「(日本人の私達が)こんなに大勢で押しかけてごめんなさいね。ここのお店普段はとっても雰囲気のいいお店だから是非また来てね」(あとでなんて言っていたか教えてもらった)なぁんてことまでペラペラペラとしゃべり続けたのだ。だからね、英語でもう頭が一杯になっちゃったみたいとチャーミングに彼女は笑った。
しかし、これではあまりにも中国語がわからない。ワタシのアタマには日本語しか入っていない。多少の中国語を収納するスペースはあるだろう。
よし今度はひとりで頑張ってみるかと別の友達が教わっている家庭教師の先生を紹介してもらった。
自分の家に先生に来ていただいて、みっちり2時間中国語の授業。毎週火曜日の午後。
これなら友達と馴れ合いにもならないかしら、と思いながらスタート。
とてもカンジのよい60代の女性の先生。そして日本語が話せる。
日本人ママに大人気の先生で月曜日から金曜日まですべてのコマが日本人ママで埋まっていた。
テキストも「レストランにて」とか「タクシーにて」とか日常生活に沿っていて、きちんと勉強すればそのまま生活に役立ちそうだった。
先生に「
困った顔で「
そういえば、大人になってからこんな風に「上手」って誉められたことなかったな。
同じ先生に習っていて、中国語がペラペラになった友達もいた。
いいところは誉め、よくないところもきちんと指摘をしてくれて、お母さんみたいに素敵な先生だった。中華ちまきの作り方も教わった。中国と日本の文化や習慣のお話も楽しかった。以前話した月餅の話(第7話 見上げてごらん夜の月を)をしてくださったのもこの先生だった。
が、である。
どうもワタシには中国語を習う才能がなかったのである。
授業に来ていただいても、あいかわらずの日本語で質問する。
あげく「テキストのここの日本語訳、ヘンです」と日本語訳を修正する。
先生の方が「あら、ありがとう」とメモを取る。
ワタシはというと、「いえいえ」と笑いながら、メモを取らない(笑)。
雑談もすべて日本語でしてしまう。
こうして先生の日本語ばかりが上達し、ワタシはというと、周りにいる友達に助けられながらそれはそれは楽しく4年あまりの中国生活を満喫した。
中国語で出来るようになったことは、タクシーで行き先を伝えることと、レストランの注文と、値切って買い物をすることと、洋服のオーダーをすることだけ。
恐らく駐在妻最低レベルである。
ただ、駐在妻みなさんがワタシのようではありません。もちろん真面目に中国語を勉強して資格を取って帰国する方もたくさんいらっしゃいます。
ワタシの友達も週に5日みっちり大学に通って中国語を勉強している人もいます。
ワタシが今思うこと。
あの中国に行った直後のあの夏が分岐点だったなぁ。
あのときAさんと一緒に大学の中国語クラスに通っていたらどうなっていたかなぁ。
でも、Bちゃんというかけがえのない友達に出会えたワタシの選択は間違っていない。
若干、中国語が不自由になっちゃったけどね。ふたりともね。
もちろん後悔はしていない。もうひとつの選択肢を選んだ自分に興味はあるけどね。
ワタシと友達と中国語
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