第17話 ワタシと友達と中国語 Part1
中国に住むということは、当然中国語の中で暮らすことになる。
……と思っていた。
中国に駐在することが決まり、オットが先に中国へ行き、ワタシと子供たちは4ヶ月間ほど日本にいたので、その間に中国語教室にでも通おうかしら? なんて少し思ったりもした。
が、まだ幼稚園にあがっていない子がいた為、
「子連れでは通えないしな~」
「子供をどこかに預けてまでねぇ~」
となんだかんだと言い訳をつけて中国語教室には通わず。
「你好」「謝謝」「再見」の三つのコトバとともに中国へ。
夏休みに渡航し、子供達は2学期(8月末)から日本人学校へ。
日本と違い、子供達だけでの登下校は禁止されている。
保護者が学校まで送迎するか、マンション毎にあるスクールバスに乗せてもらうかである。
我が家もマンションにある日本人学校バス会に入会し、スクールバスに乗せてもらった。
日本人学校へ通うのだから、ほとんどが日本人家庭の日本人の子供達。
子供達を見送ったあとやお迎えの前は自然と日本人ママが集まる。
この街のこと、中国のことをまったく知らないビギナーの私はここで日本人ママからありとあらゆることを教えてもらった。
学校のこと、生活のこと、普段買い物をするお店のこと、子供達の習い事のこと、通っているお医者さんのこと、書き出したらきりがないほど何から何まで。
口で伝えにくいことはメモしてきてくれたり、メールをくれたり、果ては一緒に連れて行ってもらったり……。
手取り足取りとはこのことである。
そんなとき。ひとりのママが声をかけてくださった。
自分も4月に来たばかりで、9月から近くにある大学の中国語クラスに通おうと思っているけど、よかったら一緒にどうですか? と。
(中国は9月が新学期)
聞けば外国人対象で週に3日通うらしい。
わぁ、大学で中国語を勉強するなんて、なんだか留学生みたい!(年齢はさておいて)
キャンパスに通いながら、中国語をペラペラ話す自分を想像してみた。
時を同じくして、もうひとりのママが声をかけてくれた。
彼女はワタシより1ヶ月ほど前にこの街に来たのだが、その前にシンガポール等海外駐在経験者で英語ペラペラの海外駐在エキスパート。
彼女もワタシに「一緒に中国語を習いませんか?」と誘ってくれた。
本当にみんな優しくてありがたい。
そこで、前出のママAさんに大学の中国語クラスに誘ってもらっていることを伝え、よかったらそこへ一緒に行ってみませんか? と提案してみる。
するとエキスパートBちゃんはぶんぶんぶんと首を横に振る。
「そんなっ! 中国語で中国語を習うなんて、ムリムリムリ!!!」
あ、そうか。そういうものなのか。
英語がペラペラで海外経験豊富な彼女が「とんでもない!」といわんばかりだ。
「ワタシ達にはハードルが高すぎるわよ!!!」
エキスパートがそう言うのである。
日本語しか話せず、生まれて初めての海外生活を送るワタシにはキャンパスライフは雲の上の存在になった。
Aさんには丁寧に大学の話を辞退させていただいた。
彼女はひとりで大学に通い始めた。
ワタシと友達と中国語 Part2につづく
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