第10話 レストランとバス
日本のいいところ、中国のいいところ。
日本のテレビを見ていて思うこと。
ニセモノのキャラクターの話題等々、少し中国を小ばかにして報道しているような。
日本で報道されることといえば、某ファーストフードのチキンナゲットやらPM2.5やら領土問題やら負のイメージのものばかり。
それが嘘ではないんだけれど、ほんの、ほんの一面でしかないことも事実。
そうはいっても、日本の方がいいことも確かにたくさんある。
特に思うのは、お店の接客。
中国でレストランに行くとする。
最高級とはいかないまでも、そうそうお手ごろでもないお店の店員でも、笑顔で接客というものはない。
オーダーをしようとしても、
「あ」に濁点をつけたような態度でやってくる。
こちらのほうが、
「すみませんけど、注文してもいいですか?」
という雰囲気である。
持ってくるお料理も音がするような乱暴な置き方だし、少し残っている料理を全然違う味付けのお皿にナナメにざざーっと流して下げていく。
お会計も席でできるのはいいのだが、お釣りをテーブルに投げられたときは心底驚いた。
残念ながらどこのお店も似たような接客態度である。
よほどの高級店やホテルを除けば。
「自分が愛想よく、感じよく接客して、また次もお店に来てもらおう」
という考えがないんだと思う。
店員だけでなく、オーナーにも。
教育がされていないので、店員も学ばない。
中国人はあの接客に慣れていれば、誰も文句は言わないのかしら……ねぇ。
そこへいくと日本は、まず笑顔で出迎えてもらい、オーダーもドレッシングは何にするか、ドリンクはいつ持ってきたらいいか、氷は入れてもいいか、あれやこれやと気を配ってくれる。
黙っていても子供連れなら子供用のお椀やスプーン、フォークが出てくる。
小学校高学年の子供がプラスチックのコップでお水を出されて怒っていたけれど。
おそらくマニュアルに沿っての接客なんだろうけど、中国でのつれない接客を経験して日本に戻り、
「ごゆっくりお過ごしくださいませ」
なんて言われたときは涙が出そうだった。
それから中国ではランチタイムが終わると、従業員が「アタシ達休憩だから出てって」と客を追い出すお店も少なくない。
直接「出てって」とは言わないまでも、電気やエアコンを消したり、従業員が隣のテーブルでまかないを食べ始めたり、昼寝を始めたり。
そんなことではワタシ達もめげずにおしゃべりを続けるんだけど。
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今度は中国のいいところ。
老人と子供に優しいのである。
一番顕著にわかるのが、バスである。
子供を連れてバスに乗ると、必ずといっていいほど子供は席を譲ってもらえる。
幼児ならもちろん、ワタシの子供は帰国前は小学生だったが、いつでも譲ってもらえた。
譲ってくれるのは大抵10代後半から20代の若い子たち。
時には後ろの方から席を立ち、「おいでおいで」と手招きしてくれる。
「どうもありがとう。すぐ降りるから大丈夫ですよ」
と言わねばならぬためにその中国語を覚えたくらいである。
お店やレストランでも接客はそっけないのに、従業員の子たちは子供には目線を合わせて話しかけてくれたり(中国語だから子供たちにはわからないんだけど)、子供が小さい頃は抱っこしてくれたりもした。
残念ながら日本で小さい子供を連れてバスに乗っても席を譲ってもらったことはない。
逆にお年寄りが乗ってきたときに席を譲らせたくらい。
どちらにもいいところがある。それだけのことである。
どちらが上でどちらが下という話ではない。
日本で報道されている中国がすべてではないのである。
報道されていない残念なこともそりゃ、あるけどね。
報道されていない心の温まることもこれまたあるのである。
レストランとバス。
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