第1話 『ようこそ、異界の勇者』
「キャー!!」
おっと、仕事だ。
俺を起こすのは、いつだって外から聞こえてくる悲鳴だ。
呆れるくらいバチッと目が覚めた俺は、置いてあった剣を背負い、迷うこと無く窓から飛び出した。
俺の名はヒロ、またの名を『
そして職業、『勇者』
重力に身を任せ、風の匂いを感じながら、俺は背中に差してある剣に手をかける。
「やれやれ、今日の仕事は歯ごたえがあるといいんだが。」
大地に降り立った俺は、悲鳴が聞こえた方向へ駆ける。そう、そこにはいつもモンスターに襲われる村人の姿が――――――。
「…いねぇ。っつーか…」
そこにはぶっちゃけ、何も無かった。駈け出した先にあったのは、空だ。
俺が今飛び出してきた建物の周囲数メートルを除いて、地面が、無い。
要は、空に浮いてる。
「…どういうことだ?いや、それよりも…」
やれやれ、勇者の跳躍力ってのは馬鹿にならねえ。ソッコーでかけつけてモンスターを薙ぎ倒す予定だったから、かなりの勢いで地面を蹴っちまってたしな。そういうわけで俺は現在、宙に浮いていた。空に飛び出していた。
「おっ…おおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああああ!?」
そういえば昔、剣を突き立てた
あの時は確か、ドラゴン界のレジェンド『ファフニール』に拾ってもらったんだっけか。
しかし今回は助けを望めそうもない。自分の力でなんとかしないと…。
「って無理だろォォォォッ!?地面が見えねええええ!?どんだけ高いんだコレさすがに死んだああああああああああああああああああああ!!」
洒落にならねえ。こりゃ死んだか?。俺の頭の中は既にゲームオーバーだ。
セーブポイントからやり直そう。いや、人生にセーブポイントなんざねぇぜって前に酒場のおっさんが寝言で言ってやがったな…それはそれとして最後にセーブしたとしたらどこだ…?
天界神ゴッドゼウススーパーゴッドとやり合う前か…?もう一回戦うの超めんどくせーんだが…、いやまさか1回ぶっ倒したら天界聖神ゴッドゼウスセイントゴッドセイントになるとは思わなかったぜ。あの時はさすがの俺も死ぬ気で戦ったな、懐かしい。
などと、くだらない事を考えながら。ヒロは段々と空の中へ落ちていった。
そして次第に意識が薄れ…。
意識が暗闇に落ちる直前、彼は誰かの声を聞いた気がした。
第一話 『ようこそ、異界の勇者』
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