瓶の中の宇宙

瓶が好き



曇っていても透き通っていても

色が付いていても

その中が別世界であるならば



柔らかい曲線

もしくは

ピシリとした直線

その間の

曖昧でぼやけた輪郭を描く線



どれも同じくらい好きだ



その中に

私以外の空気を閉じ込められるならば



瓶には何も入れないことが素敵だと思うの

形のあるものは特に



でも、まるで空っぽなのは

つまらないわ



例えば

そのお店の寂しい雰囲気だとか

店員さんの優しい笑顔だとか

偶然出会った少年の甘い視線だとか

(彼は私の持っていたチョコレートに

釘付けだったの!)



そういう目に見えないものが

閉じ込められているからこそ

瓶は私を虜にするの



その瓶を透かしてあちら側を見ると

同じ景色でも

まるで違って見えたりするでしょう



それはきっと、

瓶の中に宇宙があるからだと

私は思うの



目に見えない

その店の、その人の、その瞬間が

宇宙を構成しているのだわ



だから、私は、

瓶を通して宇宙を覗き込んでいるのよ

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