夜の海底で死にたい



暗くて温かい海水に包まれて


綺麗な岩に腰掛けて


微睡みながら白魚のような君の腕が躍るのを眺めて


塩辛い水を少しずつ飲み込んで


少しずつ泡を吐き出して


優しい波の音に身を委ねて



わたしはゆっくり溺れてゆく



視界は不明瞭だけれど


息がしやすくて


言葉なんて必要ない



なんて優しい世界なんだろうここは



酔いが覚めてしまったら


夜が明けてしまったら


海底はまるでなにもなかったかのように


ただ薄暗い空間が照らされている






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