2個目 戦闘すること
東口ゲートを抜けた世界もまだ壮大だった。
広大な緑の草原、雲一つない青空、心地よい風。
見るとプレイヤーがいろんな所で戦っていた。そんなやつらを見て自分は足早にある場所へ向かった。
『暗き森』。推奨レベル39。慣れて来たプレイヤーがよく立ち寄るゾーンだった。そんな森に自分は何事も無いように入って行った。
「うわ・・・こんなに暗いのか・・って危っ!」
うっかり木の根に足をかけ、転ぶ所だった。
「しょうがない・・・『照らせ
周囲を明るくする魔法を使い、慎重に奥へと進んだ。
進んでいると、魔物が見えた。魔法を消し、隠れた。リーフゴブリン1体とウルフ2体。レベルは39。
現実では狼は見た事がなかった。間近で見るとなんて恐ろしい・・・そんなことを考えてたら急に警戒し始めた。どうやらバレたらしい。
「さすが狼ってこと・・かな?」
背中に掛けてあった杖を持ち、敵に構える。
ウルフが自分に気づいて襲いかかってくる。
そんな中自分は冷静に魔法の名前を唱えた。
「『ファイアウォール』!」
瞬く間に自分の前に炎の壁ができる。炎に包まれたウルフ2体の体力ゲージが0になり、身体が散った。後ろにいたゴブリンも怖じ気ついて下がっている。それもそのはずだ。自分の職業は『
魔法一発当てれば一撃だろう。しかし自分も驚いていた。
「(攻撃魔法が使えた・・・!)」
感動だった。現実ではありえないことが起こせる!感動しながらも次の魔法を唱える。
「『マジックバニッシュ』!」
凝縮された魔力の球体がゴブリンに当たり、そのまま消えていった。
初めての戦闘する体験。現実じゃまずできない体験だった。その嬉しさからだろうか、身体が軽くなった気がした。
次々と現れる魔物を魔法で排除し、森の3分の2は攻略した。(攻略方法を知っていたのもある)気が付けば、MPも残り少なくなっていた。
強い風が吹く。やけにスースーすると思ったら自分は女性で女性用服を装備していたことを思い出した。
純白の服に胸の刻印、まるで某RPGのシリーズ14のヒロインを連動させる格好だった。思えば自分の歩き方や仕草が女の子っぽい。
このゲームは性別と種族は変えられない。変えるならゲームを抜けて別画面にいくしかない。でも今は画面はなく、視界がある。つまり変えられない。詰みだ。
身体は細く、ひ弱に見えるだろう。だけどそんな身体でも戦える世界でもある。なにが良くてなにが駄目なのか。考える必要がある。
「うわぁあああ!!」
悲鳴。誰かが襲われているのだろうか。
とりあえず悲鳴の元に向かうことにした。
向かった先はボスエリアだった。悲鳴はここかららしい。このゲームのボスシステムは自由参加のはず。
参戦するために白い霧を抜けた。広い空間に出た。そしてそこにいたのはかなり大きい狼と、その狼に追いかけられている人がいた。装備を見る限り高レベルのはず。だけどなぜか武器を持っていない。丁寧に分析していたら、
「そこの人!見てないで助けてくれない!?剣が壊れたんだ!」
息を切らしながら怒鳴りやがった。呆れた。助けないで帰ろうか?
「武器の手入れを怠った奴を助ける義理もないな。」
そう言って去ろうとしたが、何かが近づいてくるのがわかった。ボス狼の手下だろうか?5、6のウルフがこちらに走ってくる。
「ちっ、やけに多いな・・・」
愚痴言いながら、魔法を唱える。
「こういう多い敵は・・・・『ヘルストーム』!」
太陽の光線を上から落とす派手な魔法。魔法陣を遠隔配置して、名前通りの派手な光線発射と地響きが鳴り、向かってきたウルフは悲鳴を上げて全滅した。
「コレやるから後は頑張れ!」
ぶん投げたのは荷物にあった中級の剣だった。
それに反応したのかボス狼・・フォレストウルフの頭を踏み台にして投げた剣を戦士の人は華麗にキャッチした。
「ありがとう!よしこれなら・・・」
戦士の人は力を込めるが、フォレストウルフが、彼に走り出した。
「(そんなんじゃ間に合わないだろ・・)」
魔法で足止めしようかと魔法を唱える時だった。彼が動いたのは。
「『
そう叫んだ技はまさに疾風のように速く、フォレストウルフの身体を両断した。
「こんなもんかな?」
ドヤ顔でこっち見やがったこいつ。
黒く長い上着はおそらく高価値の物のはず。高レベルの癖に武器の手入れすらしないのかこいつ。
「その剣、あげてもいいけど武器の手入れぐらいしときなよ。」
「おーありがとう。そして助けてくれてありがとう。お礼はいつかするからさ!フレンド登録してくれない?」
軽々とそういいながら早速フレンド申請送ってきた。
仕方なくフレンドになってやると思い、手を掛けた時、名前に見覚えがあった。何処かで、この世界ではなく、現実で・・・
「・・・?どうした?」
不安だが聞いてみる。
「もしかして・・・良太?」
「・・・・え、まさかマコトか?」
「「・・・・・・・」」
沈黙した。どうやら当たったらしい。
数分後こいつがリア友だったことがわかった。現実のことなので省略するが、プレイヤー名はユウヤ。職業は前線の『
「相当やってるなお前」
「お前もなユウヤ」
「ていうかお前なぜ女キャラ?」
やっぱり言いやがったこいつ。
「男性よりまず女性から手をつけるからな自分は。」
「それ、セクハラになんね?」
今は女だからセーフ・・・なはず。
「とりあえず街に戻らない?お腹すいたし。」
「え?あーそうだな。マコ・・サキって
「あのな・・・私は
そんなこんなで初めてのダンジョン攻略が終了した。
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