第六怪奇談 桜井 悠は陰陽師
姫華さんを、座布団に座らせる。
その頃には、大分出会った時より落ち着いていた。
でもやはり、どこかおびえている。
鬼の言う通り、畏れを感じているようだ。
畏れとは、恐れや怖れとは違う。
犬が急に何もないところで吠えたり、赤子が突然泣き出したりと、その生物によって影響は様々だ。
そして、その霊気を放つのは…。
「
後ろから、遅れて登場する鬼は告げる。
そう、霊気はこいつ見たいな現実世界にいない幽世の者から放たれる。
しかも、あからさまに症状が深刻なこの場合は完璧に姫華さんを殺しに来ている。
霊気を対象に対して放っていないとこうはならない。
とりあえず、事情を聴かないと…。
顔を下げている、姫華さんに話しかけるのは少々気が引け…。
「おい、姫華よ。何をした?そして、何を聴いた?何を視た?」
陰陽師が怪奇に触れた人間に聴く、三つの質問をする。
こいつ、なんで知ってんだろ?。
てかそんないっぺんに聴くなよ!明らか返せる状況じゃ!。
と、僕が口にしようとすると。
「廃墟に行ったの…、大学のサークルで…」
姫香さんが口を開いて、説明を始めてくれる。
大学生だったのか、僕より年上なんだなぁ…。
姫華さんは、続ける。
「そのサークルでは、オカルト研究をしているのだけれど、ある廃墟にでるって聴いたの」
「でるって何が出てくるのじゃ?」
「鬼が…でるって…」
「おいこら、てめぇ姫華さんに霊気ただよわすな」
なにかしらの単語に反応したらしい。
「廃墟に鬼とは!けしからん!なんなら、豪邸に居座らぬか!」
「そこかよ!」
こいつのプライドがよくわからん。
「説明続けても、いいかな?」
不安そうに。姫華さんが質問をしてくる。
「続けよ」
「すみませんでした、大丈夫ですよ」
この鬼、本当に上からだな。
「廃墟について、中を歩いていたら本当にあったの鬼に」
そして、逃げて僕らの家に駆け込んだらしい。
「その廃墟は、ここから近いんですか?」
「うん…」
「他のメンバーは、どうされたのですか?」
「逃げるのに必死で…」
わからない…か。
んー、まぁ行ってみるしかないよな。
その廃墟に。
「聴いてもいいかな?」
僕が廃墟の位置を聴こうとする前に、姫華さんから質問が来る。
「ん?どうしたんですか?」
「その…、桜子ちゃんって鬼なの?」
「むろんじゃ」
僕に質問したのかと思って、僕が返事しちゃった…。
恥ずかしい…。
「なんだか…私のあった鬼と違うなって思って」
「それは、たぶん霊気の強さだと思います。こいつからは、そんなに感じないので」
「霊気?」
あぁ、そうだよな姫華さんがわかる訳ないよな。
「霊気っていうのはなんかこう…嫌な感じがする…みたいな感じですかね?」
答えを用意するつもりが逆に質問する感じになってしまった。
そんな、僕にみかねた鬼が僕の説明不足を鬼が補う。
「ワシらのようなこの世にあらざるものが存在するための力じゃ。」
「つまりは、私の見たその鬼の力が桜子ちゃんより強いってことかな?」
「ワシは本来はめちゃめちゃ強いんじゃ、しかしちょいと厄介な陰陽師に本来の姿を封じられたのじゃ」
なるほど、それで幼女になったのか。
え?、もしかして本当の姿ゴリマッチョとか?。
勘弁してつかぁさい。
姫華さんは、なるほどという感じだ。
姫華さんは、
「最後に質問していいかな?」と聞いてくる。
「全然大丈夫ですよ」
と、僕。
「桜井くんは、驚いたりしないで、私の話信じてくれるの?どうして、霊気とか知ってるの?」
あーと、こいつはやばいな。
あんまり僕の素性は知られたくな…。
「こいつの家系は、代々陰陽師をやっているからじゃな」
カミングアウトぅ!。
隠しておきたい問題が第三者によってカミングアウトされる。
最悪だこの鬼。
僕の個人情報の流出は、近いと確信した瞬間だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます