第五怪奇談 その名は酒呑童子
一
僕は、息を切らしている姫華さんを中に入れる。
落ち着かせるためだ。
姫華さんは、会話ができるような状態には見えなかった。
「肉はまだかのう?」
僕は、汗を流す。
冷や汗だ。
こいつ、タイミングがbad過ぎるだろ。
しかも、肉の補充を要求してくるとは。
さては僕の分も食べたな?。
…。
って!、やばい今この状態の桜子を見られたら!。
僕は、姫華さんの方を見る。
姫華さんは、目を丸くしていてパニックの頂点に達していた。
「きゃあぁモゴモゴ…」
僕は、すぐさまに発狂していた姫華さん口に手を当てて耳元でささやく。
「落ち着いて…。安心して、大丈夫ですから。こいつは、鬼みたいなんですけど害はないので…」
先ほどまで、鍋を荒らしていたが秘密だ。
「これは、これは随分と畏れているのう…」
酒が入っているからか、少し顔を赤らめながら桜子は口にする。
そして、桜子は「それに」と前置きをして。
「第一ワシは。酒呑童子という名がある。桜子などと固有名詞をつけるでない」
と、鬼は続ける。
いや、桜子はおまえがいったからそう思っただけで…え?。
今なんつった?
酒呑童子?。
日本三大妖怪の?。
おいおい、調子に乗り過ぎだろうこの鬼。
鬼の戯言は、置いといて僕は姫華さんをリビングまで案内する。
「ん~ホントなのじゃが…。まぁいいかのう…」
鬼の小さい声は僕には聞こえなかった。
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