第二怪奇談 鬼との出会い
一
「ふぃ~ひっく」
酒は良い。私をとても、とても、楽しませてくれる。
でも、やっぱり。
「話相手が欲しいのう…」
うまい酒には、つまみが必要じゃ。
「
と、ワシのちょっとした、ため息混じりの
「
こいつと、話をしても物足りぬ。鬼としては優秀なのじゃが。なにぶん、かたっくるしぃくてしょうがないのじゃ。
やはり、会話は礼儀はあるにしろなるべく対等に接して欲しものじゃ。
その方が楽しい。
「下がって良いぞ」
「わかりました」
さっぱり、とした返事の後。茨木童子は闇に消えた。他の
まぁここには、もうワシしかおらんのじゃが。
「
知ったかぶりじゃ。風情など、みじんも知らん。
バタン!っと、勢いよく人が入って倒れる。
また、ワシを見て気絶かのう?
ここの、部屋に入る人間はすぐにワシを見ると逃げてしまったり、気絶してしまう。
ところがどっこい、こいつは…。
「疲れて寝ておる」
楽しそうな、人間が入ってきよったわい!。
酒呑童子の、胸が高鳴る。
「早く、起きんかのう…」
と、体をゆする。
反応なし。
ぐっすりだ。
「それなら、こうじゃ!」
体をゆするのではなく。雪だるまを作る
「た、楽しいのじゃ!」
鼻歌をしたいぐらいじゃ。
「ふん~♪」
してしまった。
でも、その方が、楽しいのじゃ。
夜も眠る。深夜。
「起きよったか」
ずっと、転がしていたいのじゃがのう。
今宵は、楽しめそうじゃ。
二
その、姿は幼女だ。
間違えた。
その、姿は鬼だった。
朱色の着物を
「取りあえず、明かりをつけなきゃ。」
壁に備わっている、ライトのスイッチを押すため立ち上がる。
ゆすっていたその、鬼は僕の立ち上がる反動でコロコロ転がっていく。
「おいおい、ワシを見て何とも思わないのか?」
寝ながらの、状態で質問してくる。
どうやら、僕のリアクションに疑問を受けたらしい。
「まぁ、慣れてるから」
明かりをつけながら、返答する。
明かりをつけると、やっぱり1LDK。暗がりだから、見間違えたと思ったがこれは広い。
広いと言っても、予想よりもって感じだ。
「妖怪にか?」
鬼は、ポーズを変えないで口を開く。
「まぁそんなとこ。」
淡泊にと答える。
「ふむぅ~。」
と、鬼は少し悩み。
「陰陽師かのう?」
出した答えに、息をのむ。
僕は、詰まり気味に。
「もう関係ないけどな。」
と、続ける。
妖怪に幽霊。そんなの取り扱う職業なんて数が知れてる。
答えが当たったのか。
その、幼女…もとい鬼が嬉しそうに飛び跳ねる。
楽しそうだ。
「ほほぅ…、ならば、ワシを」
その、楽し気な表情のまま少しためて。
「ワシを殺しに来たか?陰陽師よ」
ミスマッチング過ぎだろ。
「いいや、僕はもうそんなのとは関係ない」
そう、関係ない。あらゆるものは田舎に置いてきた。
「無理じゃ」
僕の新たなる
「なんでだよ!?お前!初めてあった人に、ワシを殺しに来たか?とか、何も知らないのに、無理じゃはひどくないかい!?」
「はー、話を戻してもよいか?」
強引に戻されそうになる。
いや、どこに戻すんだよ。絶賛バリバリ一本のレールの上じゃんか。
「酒を呑みかわそうぞ」
話どころか、時間まで戻されそうだった。
三
あれから、酒を呑むだの未成年だので盛り上がった後、すでに酒を呑んでいた鬼は寝てしまった。
鬼は、幼女でも呑んでいいのか?
妖怪の世界怖ぇ。
「何とも、いい朝だなぁ…」
窓を開けると、涼しい風がこの部屋に入り込む。日差しは僕の一歩を応援してくれるように元気に光を、放っている。
「みなぎってきたー!」
取りあえず、今日は買い物をしよう。冷蔵庫に、布団、テレビ、漫画にゲームだ。
って、後半も無駄遣いじゃないからね。これは、生きていくうえで重要な…。
「無駄じゃな」
心を見透かされたあげく、さらに言い訳も一蹴いっしゅうされた。
心の中ぐらい、安全地帯にさせてくれ。
「それよりも、シャワーが先じゃな」
臭うぞ、と続けられる。
たぶん、年齢問わず言われたら赤面ランキングベスト10に入りそうだ。
「は、入ります」
少し恥ずかしのと、幼女に指摘されたためか、口調が
シャワーをすぐさま浴びるため、脱衣所で服を速やかに脱ぎ浴室に入る。
「あひょい!」
シャワーを全開にしたら、冷水が肌を刺激した。たまらず、変な声を出してしまう。
恥ずかしい。
今日はもしやついていない日か…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます