第4話 参拾参
【こんにちは】
「はい、こ~んに~ちは~…すみません」
【いえいえ、お気になさらず】
「今娘と挨拶の練習をしていまして。その、普段からああじゃないんですよ?」
【なるほど、そうでしたか】
「そうですそうなんです…それで何かご用ですか?」
【はい。おめでとうございます】
「は?ええと、何でしょう?」
【その子の出産のお祝いですが?】
「っぷっくふ、ご…ごめんなさい。この子もうすぐ2歳になるのにいきなりそんな事言われると思わなくて。ふふ」
【確かに。生まれた頃に来れれば良かったのですが、中々タイミングが合わないのもので残念です】
「ふふふ、ありがとうございます。最近じゃ誰もそんな事言ってくれませんし嬉しいですよ」
【そうでしたか】
「なんだか不思議です。初めて会った方なのにこんなにリラックスして話せるなんて。実は私結構人見知りする方なんですよ」
【そうでしたね。確かに以前お会いした時は少し緊張なさっていました】
「え!?すみません。その…初対面だとばかり…」
【お気になさらず。会ったと言ってもほんの二言三言話をしただけですから】
「そうなんですか?ん~…ひょっとして以前の勤め先で?」
【ええ。実は今も外回りの途中なんですよ。そんな訳でしてそろそろ失礼します】
「そうなんですか、お仕事お疲れ様です。あの…もし良ければまた話し相手になっていただけませんか?」
【ええ、また会いにきます。それまで貴方と貴方の小さな命をお大事に】
「ありがとうございます……あら?もう居ない。そういえば子供の頃同じような事が有ったような」
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