悠久の時を経て

平成xx年

遂に日本政府は支配を投げ出した


突如人類の体にAdditionという制御不能で

非現実的で謎めいた能力が現れてから

世界中の犯罪件数が過去最高数に登った

その中でも日本という国は

なかなかAdditionを認めようとせず

法律も何も制定せず国は無法地帯化した

国民の怒りは爆発に爆発

連日に渡るデモ行為

果てには国内で秘密裏に結成されたいわゆる闇組織のテロ


多くの犠牲者が出た

たくさんの国民が泣いた


やっとAdditionを認めた日本政府の対策に国民は最後の期待をかけた

だが政府が行った対策はあまりにもずさんであった



『危険因子隔離措置』



同時期に発令された『能力届提出義務』

これにより政府が危険だとみなした能力者は

政府が作った監獄という名の街

『アスガルド』に移住が決まる

アスガルドの中では法律やルールはなく

警察や政府の介入もほとんどない

いくら犯罪が行われようが政府は知らん振り

つまり犯罪者が集った無法地帯なのだ


犠牲になったのは京都だった

政府は府民を避難させることもなく

何の勧告もなく京都を無法地帯化した

府民はデモなどする暇もなく

美しい伝統的な街並みは一瞬にして壊れ

残ったのは血の臭いだけであった




物語はそんなゴミのような世界から産まれる


たった1人の人間がアスガルドにやってきた


まるで『付け足された』ように


運命はもう、廻り始めているんだ


これは世界一醜い愛の物語


これは世界一美しい死の物語








「忘れないで、この世界を」


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