始まる新たな物語

「……はっ?」


 思わず聞き返す。


 だって、いきなり「俺と付き合ってください!」なんて言われたら、「はっ?」以外の答えが返せる?


 でも、相手が先生だったから、ちょっと、失礼なのかも……


「あぁ。いきなりごめん。」

「でも、なんで私なんですか?」


 先生は、こう言った。


「その日見た夢はな。俺が、憧れの高校教師になったときの夢だったんだ。」


 そして、その生徒に、同じ『夢空間』を知っている子がいて。その子は、今日遅刻してきた子で。友達と『夢空間』について話していて。しかも、女の子だったと。


 まるっきり、私のことだ。


 さすが『夢空間』としか言いようがない。


「だから……」

「だから私に近づいてきたんですね。」

「……あぁ。」


「そのあとの夢は見ましたか?」


「いや。今日の朝見た。」


「………どうでしたか?」


 ドキドキしてきた。



「結婚してた。…真面目に。」



 私は、ポカーンとしていた。


 いやいや。だって、今日あったばっかりなのに、「結婚してた。」なんて言われても、どうすることも出来なくない?


 私は、この状況にバイバイサヨナラをするために、


「あの、亜矢を……友達を待たせているので、帰ってもいいですか?」


 と、聞いた。自分で言うのもなんだが、




 バカじゃないの?


「あっ!あぁ。ごめん。帰ってもいいよ。」

「はい。失礼しました。」

「さようなら。」

「さようならー。」


 走って立ち去った。


 *


 その頃、進路相談室にて。


「はぁー。」


 俺は、一人ため息をついていた。



「やっぱ、覚えてねーかな。俺のこと。」



 心に残るあの『モヤモヤ』。


 神崎ちひろ。彼女は俺の気持ちに気づかない。


 鈍すぎだろ。






「また、最初からやり直しかな。」

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