夢空間
美織
あなたの夢に
ギィ ガチャ
「今日は、どんな夢を見ようかなー。」
突然だが、今、私は浮いている。
端的に言うと、重力がなくなっている。
ここは何処と言われても、『夢』としか言いようがない。せめて、言うとしたら、そう。
『夢空間』
「今日は……自堕落ライフ的な夢の気分だな。」
まぁ、夢を見ている行為事態は、いいのだが、私の場合、少し違う。
私の場合、
約50%の確率で正夢になる。
まぁ、嘘だが。
それでも、正夢になる確率は低くはない。
だから、『シリアス系』の夢は見ない。
どこかのラノベでありそうだな。そんな風な
では、今日も夢に……
「ちひろー!起きなさい!」
語りすぎた。くそっ。
あぁ。申し遅れました。私、〇〇高校の2年4組、神崎ちひろです!
高校の名前? うーん。そんなの知るかっ!
「まーた怒られてやんの。」
「ちょっと!
「わりー。わり。」
こいつは、幼馴染みの海堂大樹。
いっつもちょっかいばっかかけてきて、いけ好かないやつ。
でも、こいつはモテる。
「ほら、学校行くぞ!」
「わかってるってー!」
あー!そんなこといってたら、時間がなくなっちゃう!
「いってきまーす!」
「お前、今日も行ったのか?『夢空間』。」
「うん。でも、今日は、夢見れなかった。」
「ざまぁ。」
「うっさい!」
今の会話で分かっただろうか。
こいつは『夢空間』を知っている。
私が教えたんだけど……
そして、今日は、高校の始業式。
新任の先生が来るって、みんな噂してるけど…
キーンコーンカーンコーン
「やべっ!ちひろ!走るぞ!」
「言われなくても!」
ガラッ
「すみません。遅刻しま………」
私は目の前にいる人に目を引かれた。
「まーたお前らか。はやく席につけ!」
「「はいー!」」
「ねぇ、亜矢、前の人、誰?」コソッ
「あっ、あの人はね……」
「おっし!全員揃ったところで、もう一回紹介するが、」
「今日から、皆さんと一緒にこのクラスにいる、
あっ、新任の先生か。
勝手に納得した私。
「教科は、数学です。さっそく明日から授業がありますが、よろしくお願いします!」
カッコいい。
「ちひろ、また夢空間にいたの?」
「うん。でも、今日は、夢見れなかったんだ。」
「……ドンマイ。」
もう、言わずと分かることだろうが、亜矢も、夢空間を知っている。
「じゃあ、体育館に行くから、廊下にならべ!」
ワァワァ ガヤガヤ
「あっ、神崎……さんで、合ってるよね?」
「はい。どうしましたか?」
「ちょっと後で、話したいことが……」
私、何かしたかな?
「わかりました。」
「じゃあ、後で、職員室に。」
そして、始業式。
「えー。今年度、新しく入ってきた先生です。」
校長が、そう促すと、数人の先生が壇上に上がっていった。
「あっ!原田先生だ!」
「本当だね!」
そして、先生たちの挨拶。
原田先生の番が回ってきた。
「今年度、本校に数学教師として来ました。原田基弘です。これから、よろしくお願いします。」パチパチパチ
やっぱ、カッコいい!
そして、HRが終わり、
「ちひろ、一緒に帰ろ!」
「ごめん。亜矢。ちょっと、原田先生に呼ばれてて。」
「あー。じゃあ、待っとくね。」
「ごめんね!」
そして、職員室。
コンコン ガラッ
「失礼します。2年4組の神崎ちひろです。原田先生はいらっしゃいますか?」
「あっ、神崎さん。」
「先生。……それで、話って…。」
「ちょっと、来て。」
そう言われて、私は進路相談室につれられた。
「ごめんな。他に部屋が空いてなかったから。」
「いえ。それで、話って?」
「あぁ。話って言うのは……」
「『夢空間』って知ってるか?」
ギクッ
「………知ってるようだな。」
「なぜ……」
「……ん?」
「なぜ先生が知ってるんですか?」
私は緊張しながら聞いた。
「俺も、夢空間に行けるからだ。」
は?
「そこで、神崎さんとの夢を見た。」
納得。
夢での私も、夢空間を知っている前提なのだった。
「ということで、神崎さん。」
「何ですか?」
「俺と付き合ってください!」
…………………………は?
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