たんたんたんっ、と。

「それって…」

「本当になんでもないから!」

「………むぅ。分かりました。」


 少し落ち込む。やっぱり、武さんの気持ちのなかには私なんて…。でも、いまの立ち位置もそれなりに楽しいし…。


「あの、一つ聞いてもいいですか…?」

「いいけど、何?」

「私って、武さんの何なんですかね…。」


 うわっ…。これって、私が彼女みたいじゃん!だめだめ、武には、心に決めた人が…!でも、聞いてみたかったんだもん…。


「うーん…。俺の大事な後輩であり、師匠であり、先生であり、大切な人…かな?」


 だめ、やっぱり諦めきれない。あんなにボロクソいっても…、ホモでも、馬鹿でも、頼りなくても、どうしようもなく武さんが…。


「分かりました。ありがとうございます。」


 でも、私はこうやって微笑むことしかできない。私の笑顔を見た武さんは、はにかんで、「もうちょっと、ゆっくりしていっていいよ?」と、優しく声をかけてくれた。


「ありがとうございます。」


 もう少し、この優しさに甘えてもいいのかな?


 その後、ご飯をいただき、私は帰ることにした。玄関で、


「今日はありがとうございました。では、また明日…。」


 そう言って、家を出ようとしたら…。


「今日は帰らないで…。」


 武さんに手を捕まれた。私はそれに逆らえなくて…。


「はい…。」



 家からお泊まりセットをとり、武さんの家に帰宅(?)。すると、武さんが洗面所から出てきた。上半身裸で。


「///」


 現進で赤面中…。


「ん?どうしたの?ロアンちゃん。」

「………く…。…………ぃ。」

「え?」

「ふく、きてください……。」

「///。ごめん……。」


 現進で二人赤面中…。


 ……………


「………お風呂、いただきましたぁ~。」

「はーい。服、ちょっと大きかった?」


 絶賛彼(?)シャツ中…‼

 武さんの服はかなりダボダボで、シャツだけでもワンピースみたい…。


「まぁ、大丈夫です!」


 武さんの香り…。くんかくんか。


「じゃあ、なにか話す?」


 ニコって武さんに笑いかけられて、私は失神しそうでした…。


 それから、いろいろ話して(駄弁って)夜遅くになりました…。


「じゃあ、俺、ソファーで寝るから、ロアンちゃんはそっちのベットで寝て?」

「いえいえ、私が床で寝るので…。武さんはちゃんとベットで寝てください!」

「じゃあ……。狭いけど二人で寝る?」

「///。……はい。」


 また現進で赤面中…。


 背中合わせで横になる二人…。


「きゃっ!」

「あぁ、ごめん。驚いちゃった?嫌ならやめるけど…」

「いいえ!全然!」


 急に武さんに抱きつかれた。現在、ハグしてる状態…。


 その日は暖かい人肌に包まれてゆっくり眠った…。


 チュンチュン。小鳥がなく朝。私は家に帰ることに…。


「じゃあ、お世話になりました。」

「気を付けてね。」

「はい。では。」


 こうして、私のドキドキお泊まりが終わった。その日の帰りはスキップしながら


「たんたんたんっ」と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る