魔王の悩み

果汁

悩み

ペチ。


また蚊が飛んでるな。


おっと失礼。俺は魔王。四十三人いる内の一人だ。そこ! 魔王多すぎと思った君。いいツッコミをありがとう。


こんな俺だが最近悩みがある。それは、


「勇者が来ないな」


そう、勇者が来ないのである。俺は巨人族の魔王であるため、ちっぽけな人間の勇者に会ったことがないのだ。まあ、人間も見たことないのたが。


でも、会ったことがないのだから期待が膨らむばかりだ。勇者とはどんなやつなのか? 男か女? 強いのか、俺を倒せるほどなのか?


せっかく、魔王になったのだから勇者と戦いたいじゃないか。


ぺち。

あっ、また蚊だ。しつこいな。足に触りおって。これだから蚊は好きになれないんだ。あいつら、直ぐ足元を刺してくるからな。全くもって厄介だな厄介だな。


おっ。また、話がそれてしまった。何の話をしていたっけ?


 ......そうそう、勇者の話をしていたね。

要するに勇者が、


.....えぇい、ウザいな。すまん、蚊が気になって話ができん。この話はまた今度にしよう。












「魔王様は気付いていないのだろうか? 蚊と言って潰している生き物は実は人間で勇者だってことを......」



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