その名は
「えー、では八十六番大当たり、尽きぬ泉の霊宝珠プレゼント」
ゴソゴソと漁る袋は既に底が見えている。うむ、そろそろ景品も終わりだな。出血大サービスの名に恥じぬばら撒き、魔力はほぼ尽きたがまぁ面白かったからよしとする。
最後の景品である智慧深き巨人の首を娼婦のおねーさん、シャーリィとかいう人にプレゼントしてふりふりと袋を振って中身がカラになったのを確認。
ウルトの奴が大暴れしすぎたせいで興奮したマリーさんとクロウディアさんの一大決戦となった大地はえぐれ、蜃気楼のようなものが立ち上がる地獄の様相でもはや見る影もないが関わりたくないので言及は避ける。
このまま自然解散と行くべきであろう。さて、ユグドラシルの神泉とやらを観察してみるとするか。
しかし氷ばかりで面白いものはなさそうだ。
「おい、大将」
「ん、何さ」
一個だけ取ったモチで見事永久に消えぬ儚き光とかいう賞品をゲットしたカグラである。俺に光なんざあってもなくても一緒じゃねぇかと文句を言っていたが。まぁ目が見えないのに光があっても困るのはわかるが。
なんだ、なにか用か。私は忙しいのだ。
「アンタは良いんだろうが、亜人も魔族も食料が要るんだよ。
水はまぁ、氷でも溶かしゃいいだろうが環境を整えなきゃ人が住める土地じゃねぇ。
あの変な魔物はどうした?」
「む」
ナカナカ良い意見を言いおった。生意気な。まぁいい。確かにそれもそうである。地獄の輪っかを設置し引っ越し道具たる魔物を呼び出す。名前なんだっけ。忘れたがまあいいか。
へっへっへと出てきた尻袋のデカイ奴をひっ捕まえてカグラに投げつけておいた。
「おりゃーっ!!」
「投げるんじゃねぇ!!……ったく、適当にやっとく」
「……そうね、資材は仕方がないわ。わたくしがまた身を削りましょう。
クーヤ、あのギルドから送られてきた役立たず達とともに神泉の探索をお願いしてもいいかしら?今ならブラドもつけてよ。
出来れば食料、食料でなくともなにか使えるものがあればいいわ。
貴女の本でこの神泉の地図は作れるのかしら?何処に何があるかを調べて来て欲しいのよ」
「むむ!」
任務を言いつけられてしまった。だが何気に重要な事な気がしなくもない。マリーさんが言えば何でも重要な気がしてくる。
ここは一つ、この暗黒神ちゃん身を粉にして働くべきであろう。
「ウルト、貴方は氷の切り出しよ。少しは役に立ちなさいな。クロウディア、お前はその炎くらいしか役に立たないのだから火でも起こしなさいな。
では始めましょう。休んでいるのは終わりよ。全てを整えてから好きなだけ休みなさいな」
「仕方ないのう……」
「クーヤちゃん、いってらっしゃーい」
「おー」
本を開いて神泉の地図を購入。うーむ、かなり広そうだが。まぁ人海戦術という奴だ。先日来た10人とブラドさんも居るなら三日もあればなんとかなるだろう。
せめて食料は今日中に見つかればいいのだが。まぁ水があるぶんだけマシといったところか。
クンクンと鼻を鳴らすが芳しい香りはない。これはかなり難航しそうだ。
「ふむ、おチビ。その地図はまだ出せるかね?
この極限の環境下に危険な生物も居ないだろう。手分けして探す方がいいと思うが。そうだな、ツーマンセルでいいだろう」
「はーい」
確かにそちらの方がいいだろう。地図を五枚出して適当に配る。集落にご丁寧に印が付いているので親切なことだ。まぁ篝火を大量に炊いてることもあってそもそも見失いようがないが。コンパスもあるし迷うことはあるまいて。
さて、私は誰と組んだものか……。ブラドさんは飽きたし犬くさいのでお断りだ!
「じゃ、私ソイツと組むアルよ。地図寄越すヨロシ」
「ん」
やたらめった髪の長いあんちゃんだった。口調が面白いのでまあいいか。
ぺろっと地図を渡しておいた。
「……………………何故ここに居るのかね?」
「様子見に来たネ。前々からそのうち来る言うてたヨ」
「言ってはいたが、いくら何でも急が過ぎる上に何も聞いていないのだが。少しは常識を身に着け給え」
「常識?世界が自分に合わせて当たり前とかいうクソッタレな考えアルな。
そんなもんは犬に食わせとくヨ」
「常識とは同じ世界に生きる者たちが不要な争いを避ける為の便利なツールなのだが。
……まぁ不動のニ位に言っても仕方がない上にその非常識さが我々の武器という現状を思えばまさしく犬に食わせるしかないのだがね」
「よろしい。流石マリーベルに付き合い続ける人狼ネ。
さて、なんだたか。クーヤだったアルか。私九龍ヨ。よろしく頼むアル」
「おー」
ぎゅむと握手を交わしていざ出発。……やけに手がかってぇな。
まあブラドさんの知り合いっぽいし変人みたいだが問題はあるまいて。
それぞれエリアを決めて私達は右端辺りの探索である。何故か居座ったままの馬がこっちを見ているがあれは使わないで置いておこう。こっちで荷馬にでもされればよいのである。若干切なそうな顔をしているが気の所為。
「多少は生命の気配はあれど、食える物となりゃあ難しいところアルなぁ」
「うーむ……」
確かに。全く生命体が居ないというわけではないが……人の食料になれるかというと難しいのではなかろうか。
コツコツと反響する靴音。何処まで行っても氷しかねぇ。ごぉぉおと何処からともなく音が聞こえてくるが。水の音であろうか。そういや滝とか言ってたな。
こちらには無いようだが他のメンツは滝を見つけたかもしれない。時折どしゃあと砂か霜が崩れる音も響いている。
む、変わった形の氷像発見。地図にぐりぐりと変な像を書き足しておく。……さて、どれほど歩いたか。
「ここが果てアルか」
「みたいですな」
行き止まりである。巨大極まる氷の壁。パリパリと時折氷が降ってくる。ふむ。見上げても氷壁を吸い込む昏い虚が見つめ返してくるだけでその果ては見えない。
ずいぶんとデカイ空洞のようだ。崩落したりしないのだろうか。
「…………暗黒神ちゃんだぞーっ!!」
だぞー、だぞー、だぞー……虚しく反響して消えた。動くものも反応するものもない。
「じゃ、二手に分かれてその辺散策するヨ。視界からは外れねーよーにするアル」
「はーい」
ささっと壁にダッシュ。気になる気になる。あの壁が気になるのだ。私の暗黒神ちゃんアホ毛が受信している。
なにかある。いざいざいざ、参らん参らん!!
「むむ!!」
何かの卵発見。多分卵だろう……卵か?卵な気がするが。氷壁にびっちりとつんつんとしたものがこびりついている。食えるのかこれ?
卵といえば栄養満点というのが当たり前だが。ふんふんと匂いを嗅いでみる。アンモニアにも似た刺激臭。うーん、一応採取しておくか。
両手で卵らしきものをすり合わせてみると粉をふいた。粉になるならなんかになるだろう。うむ。ごりごりとヘラで採取採取。
てってけ走って次は岩の角にちょんと生えている謎の植物である。きのこに見えなくもない。白っぽくカサカサしている。これまた匂いを嗅いでみる。うーん……炒った豆っぽいような。
食えないこともないのではないだろうか。ちょっと幻覚見えそうだが逆に麻酔にでもなるかもしらん。袋に突っ込んでおく。
きょろきょろ見回し気になる脆そうな霜の山。
「おりゃーっ!!」
頭から突っ込んで掘りに掘りまくってやった。妙な多肉植物発見。ずぼっと引き抜いてくんくんと一嗅ぎ。
「くさい!!」
三日くらい洗ってない靴下の匂いがした。
一応これも取っとこう。あとは……。たかたか走り回って再び発見。
「む?」
なんだこりゃ。でっかい氷かと思いきや氷漬けの、木の根っこだろうか?
妙な形をしている。うーん……?しかも転々と密集している様子にただの岩とか木とかいうわけでもなさそうだ。
「こりゃ面白いアルな」
「うわぁ!!」
「視界から外れるな言うたヨ。なんか来ても知らねーアルからな。
ま、これを見るに生きて動く動物なぞ生き残ってるとも思えねーアルが」
「む……?」
どふどふと木の根っこらしきものを叩くあんちゃんは何やら頻りと頷いてなるほど顔をしている。なんだ、なんだというのだ。
気になるぞ。顔を近づけてみるが……む、多少暖かい空気が漂っているような。
「次元断裂より四千年、当時のユグドラシルの神泉と言えばそれこそ楽園と称されるような肥沃な大地だったと聞くアル。
巻き込まれ地下に呑まれた動物も多かったんであろ。生き延びるためにこれを選んだ」
「えーと、つまり?」
「よく見るアル。四足の生き物が身を丸めているようであろ?
これは動物の成れ果てアルよ。元が何かなんざわからねーアルが。動かず、必要最小限の栄養のみでただ生き続ける。ホヤみたいなもんアルな。四千年を掛けてこの姿に進化した。
運がいいアル。後で人を寄越して回収するヨ。見た所、一応生殖する生き物みたいアルからな。足元にある小さいのが子供ネ。
養殖出来ればしめたものアル。多分食えるヨ」
「へぇ……」
すごいな。これが動物とは。元はなにか、四足の獣か何かだったのか。画期的な進化を遂げたなお前ら。
ほぼ氷漬けだがそれをものともしていないようだ。これ毛皮か?剥いだら使えるだろうか。
地図にぐりぐりと動物園と書き込んでおいた。さて、一通り見て回ったと思うが。あんちゃんも何やら袋に詰めている様子だし何か見つけたようだが。それでももう少し探索しようという感じなのかてくてくと方向を変えて歩いていった。
私は勿論その後ろを歩くのみである。付かず離れず、後ろから来ても前から来てもこのあんちゃんを盾に出来る寸法だ。ふはは。
「なんぞ釣り道具持ってるアルか?」
「釣り?」
「ユグドラシルの神泉というだけあって元は巨大な湖畔ヨ。
動物が生き残ってるくらいアルから魚だって多分生きてるアルよ。食えるかどうかは見ねーとわからんアルが」
「あー」
なるほど。魚か。確かに食料としてはそちらの方が可能性があるだろう。何よりここに来て新鮮で美味しい魚が食えるかもしらん。
あんちゃんがついと爪先を立てて氷床にくるりと円を描く。なんだろ。
「アチョー」
棒読みでその中心を踵で踏み抜いた。冗談みたいな話なのだがそれだけでずるんとそのまま氷は抜けていってしまった。後にあるのは丸くくり抜かれた氷だけである。
ちゃぷちゃぷと水面が揺れているのが見えた。綺麗な断面は道具を使ったってここまでにはなるまい。
「………………え?手品?」
「種も仕掛けもないネー」
とんとんと爪先を立てているが確かに種も仕掛けも無いようにしか見えない。こやつ、ナカナカ出来る手品師だな……。
面白かったので本で適当に釣り竿を出しておいた。ちょこんと二人座って釣タイムと洒落込むのである。
ついっとあんちゃんの釣り竿が反応したのはすぐである。なんだ、結構魚いるのか?
「掛かってるアルな。毒がなきゃいいアルが」
「おー」
ぐいぐいと引きずられる水中の魚。釣り竿のしなり的に相当な力を持つ魚な気がするが。このあんちゃん見た目によらず力があるようだ。
鼻歌すら歌いながら重さを感じさせない動きでぐいぐいと釣り上げていく。はええぇ……。やがて掛かっていた魚がばしゃっと打ち上げられた。わずか5分で釣り上げられた魚にナムサン!!
「………………」
「………………」
バババババと身をのたうたせて上がった魚は、魚かこれ?
深海魚って奴らはどうしてこうデンジャラスな見た目なのであろうか。いやここが深海なのかは知らないが。
半透明の顔に芋虫のような胴体、ヒレは小さくクラゲのように明滅している。いや食えないだろうこれは。私でも食える気がしない。
「一応〆るアルか……」
食うのかコレを。すげぇなこのあんちゃん。きゅっと捻り息絶えた魚をしげしげと眺めている。煮ても焼いても食えないだろソレは。
「この世界で生きるコツはなんでも口に入れる事よ。陸にあれば足が四本あればネコ以外は食える、海にあれば釣り上げた物は運が良ければ食えるアル」
「ただの運任せじゃん」
「運も実力の内ネ。茶やる。少し休憩ヨ」
「わーい!!」
暖かいお茶を貰ってしまった。ウマウマ。そのへんに腰掛けて休憩タイムである。
ごそごそと袋を置いて地図を開く。ぐりぐりとその辺にあったものを書き加えて完成。暗黒神ちゃん頑張ったアル。
「さて、やることは山積みアルな……」
「む」
「いくら何でも資源がなさ過ぎネ。輸送ルートを確保しなきゃ話にならんアル。
地下をこのまま拡張するにしても距離があり過ぎるからネ、どっかこの近辺の街に繋がるのを一本が精々。
魔王の遺産でもありゃあ楽アルが……食料ならさっきの動物に、魚もまぁ見てくれはアレあるが恐らく食料足り得る種類もいるネ。
それでもそれだけじゃあ人は生きていけねーアルからな」
「ほほー」
それもそうだ。なにがしか、他所から仕入れねばここは立ち行くまいて。輸送ルート、輸送か……なんか本で出せたっけ。
考えて、ふと閃く。いや本当に使えるかどうかは知らないが。せっかく作ったのに利用しないのもなんである。
確かそう、あのウルトの巣と綾音さんの街にトンネル付き地獄の穴がある筈だ。物質界の物を転移させる、地獄を通るので不安が残るが物は試しであろう。
「綾音さんの街とあとウルトの巣……西大陸のなんちゃらの樹だったらトンネル作った」
「トンネル?」
「なんかこう、こう……物を転送するけどお代は見てのおかえりのような……」
両手でろくろを回しつつ説明する。
「ふぅむ、面白い話ネ。少し考えるヨ。後で試すヨロシ。
……その本が例のアレか。少し拝借しても?」
「まあいいけど」
例のアレ、例のアレってなんだ。ギルドになんか情報が出回っているのであろうか。もしや私は有名人?
凄いぞ暗黒神ちゃん大ハッスルだ。
「…………中身は見ないほうがいいアルな。ふむ、これ興味深いね。
しかし安心もしたアル」
「安心?」
何の話だ。
「思ったよりその本が大したこと無くてヨ」
いきなりバカにされた。
「なんだとーっ!!」
「事実ネ。その本そのものは大した力は持ってねーアル。たとえその本奪ってもアナタ普段つかてる力は無いネ。
力の核はその本じゃあ無い。となると脅迫拷問洗脳アルが……それもアナタ多分効果ないネ。事実上他者の本の使用は不可能と見ていいなら安心ヨ」
「む?」
「コレ
「むむむむむ!!!」
本のぺろんとめくった一枚目、そこには本の絵が描いてある。神の代理人、カリス?
えーと、製作者はレガノア、サリャール修道院図書館所蔵。神の奇跡を秘めし本。審判の時に救世主がその手に持つという神の代理人たる証を立てる本である、とな。
そんな凄い本があるのか。驚きである。
「アナタの本の事よ」
「な、なにぃ!?」
この本がサリャール修道院とかいうところにあるというのか!!暗黒神ちゃんもびっくりだ。あれ、ではこの手にある本は一体……?
「まさか偽物かお前―っ!!」
地面に投げつけてこの幼いむっちりボディから今放つ、必殺のぉー……ボディープレース!!
華麗なるボディプレスを決めた所で頭の上から呆れたような声が降ってきた。
「んなわけねーアル。要するに、宣言ヨ。その本教団が徴発する言うネ」
「なんでさ」
「端的に言えば欲しいからアルな。ま、徴発された所で痛くも痒くもないアル。
その本だけ持っていった所で意味なんざねーヨロシ」
「へえ……」
何だ偽物じゃないのか。ならいいや。
のっしりとケツをおろして再び釣り竿を握った。あのあんちゃんが釣り上げた以外の魚が食いたいので。
この本が偽物じゃないという話以外はまあ難しそうだったのでどうでもいいのだ。わかるヤツがあとで聞けばいいのでアル。
「むむ!!」
ざばぁと釣り上げた魚はいい感じにぺったんこで小さな目玉にはまつ毛びっしりで硬そうな胴体からカサカサカサとムカデのように大量に生えた足を蠢かしている。
「諦めるヨ。この土地にはゲテモノ魚しか居ねーアル」
「なんてこった!!」
だがしかし事実だ。先程からゲテモノ魚しか釣り上げられていない。あんちゃんはもはや慣れたものなのかこきゃっと私が釣り上げたゲテモノ魚その7をシメている。
「ジャガラの糞持ってきてるアルからちゃっちゃと捌いてみるヨ」
「ジャガラの糞?」
あんちゃんが小袋から取り出したのはコロコロとした糞ていうか土塊みたいなヤツである。なんじゃこりゃ。実は糞収集家だったりするのか?
私にそのコレクションのコメントを求められても糞の良し悪しはわからんのだが。
「南の一部の森林に住んでる獣ヨ。木クズやらなんやら食べて腸内で脂で固めて排出する、要するに体のいい燃料になるので旅をするなら必需品アルな。
ここじゃ薪なんぞ期待できねーアル」
「あー」
なるほど。いつも本で焚き火だしてたから逆に新鮮だ。ここじゃあこんなのを使ってるのか。ほほー。
カココンと何やら缶に糞を放り込んで指パッチン、それだけで糞は燃え上がった。すごいぞ指パッチンで付くとは。奇跡の燃料ではないか。
「じゃ、捌いてみるアルか」
「おー」
ぶりゅんと引き出される目玉。小刀で腹を裂いてモツを取り出し……臭いな。刺激的なこう、腐った海の匂いがする。これ食えるのか?
「胃の中身を見るに藻を食ってるみてーアルな。腸は食えそうにねーアルが……身体のほぼ全てがゼラチン質の塊、骨は軟骨に似てるな……煮て固めればイケるんじゃねーアルか?」
「煮こごり的な……?」
「目玉はやるネ」
ぶりゅうとほじり出された目玉を渡された。いやいらんけど。いやでも美味いかもしれん。うーん……。
しばらく悩んでみたが、身内から湧き出る大いなる食欲の前にゲテモノさはついに敗北した。
「むちゃあ」
「すげーアルなマジで食ったネこいつ」
「!?」
騙された!!いやでも、これは……イケる。目玉うめぇ。とろける触感にイカとかあのへんに似た味がする。普通に美味いぞ。
反して身の方は食えたもんじゃないようだ。あんちゃんは煮ている魚をぺろりと舐めて一瞬、間を置いてからブッと吐き出してしまった。
私を騙したバチがあたったのであろう。ざまーみろ。
「身は駄目アルな……。しかしこの味、多分ジャガラの糞代わりになるヨ。
これはこれで目玉も食料になって身も燃料になるならいいアルな」
「ほほう」
言いながらさらさらと何やら紙に書き付けている。目玉をしゃぶりながら覗き込んで見れば、絵めっちゃうまいな。さっきの魚だ。
シキシネプ、これを名前にするつもりらしい。名前をこっちで勝手に付けていいのだろうか?
なんかこう、学会的な所で相談して決めたりしないのか。
「私が法で私が決めたモンが名前ヨ」
言い切った。すげぇな。でも目玉魚でいいだろう。わかりやすいし。次のゲテモノ魚はさっき私が釣り上げたムカデ足魚である。
ぐったりと力なく横たわる姿に哀愁が漂っていた。
「その足煮ればカニみたいになるんじゃね?」
「奇遇アルな。私も同じこと考えてたヨ」
足は哀れにバキバキとむしり取られてぽいと鍋に放りまれた。ぐつぐつと煮ている内に足が真っ赤になってお湯が一気にどろりんとしたヌメリへと変化していく。
お、おお……なんか出てる、絶対なんか出てるぞこれ。
「胴体の方は……液状の腸しか詰まって無いネ。外皮が袋みたいになってるアルな……多分水を取り込んで吐き出して泳ぐ魚ネ。
この匂い、毒があるな。煮沸しても無理な類ネ。足はどうアルか?」
「うーん……」
木の匙で鍋をかき混ぜてみる。どぅるんとした重み、かつてお湯だったものは謎の物質によりただのヌメリと化して鍋をいっぱいに満たしている。
クンクンと匂いを嗅いでみる。ヘドロの匂いがする。取り敢えず火から上げてみた。ごぼ、ごぼっと沸騰して泡立っていたヌメリはそのまま動かなくなって死んだ。
木の匙でなんとか足を穿り出してみるが。あるのは殻だけで身は既に失われてしまったようだ。からからと残っていた神経だけが悲しげな音を立てた。まあ楽器にはなるんじゃないかな多分。
ゴロンと鍋を逆さまにしてみると、ボリュヌンと固まったヌメリが氷の上に落ちてブルンと固く揺れた。残った足の殻だけがその中に取り残され若干虫入りの琥珀に見えなくもない。
寒天のような強度を誇るそいつに無理矢理匙を突き刺して一掬いして口に入れてみた。何事も挑戦なのだ。あんちゃんがうおぉ……と呻いたが知ったこっちゃねぇ。
もっちゅもっちゅとゴムのような噛みごたえを堪能。味は焼いたゴムに似ている。鼻を抜けていく臭気、要するに食べ物ではないということだ。残念なことである。
「煮えたゴムですな」
「確り飲み込んでおいて感想がそれアルか。しかしゴムになるなら使い道もそれなりにあるであろ。
書いとくネ」
「おー」
それなりに役に立つらしい。なら食べた甲斐もあったというものである。
「そろそろ出るヨ。残りはブラドにでも食わせるネ」
「うむ!!」
それがいいな。ブラドさんならなんとかなるだろう多分。釣り上げた魚を括っていざ出発。他の皆さんは何か見つけたのだろうか。
美味しいものがあればいいのだが。やがて見えてきた合流地点、そこには既に他の皆さんの姿がある。うーん、色々持ってはいるようだが。
「戻ったか。そちらはどうだったのかね?
私としてはおチビの神の幸運に期待をしていたのだが」
「ま、それなりに収穫あたヨ。次からコイツがメインで探索チーム組んでやらせたほうがいいネ。
私も見つけたいう事はその幸運に他者もあやかれるいう事ヨ。資料だとアイテム収集ランクSっつーことアルが。
どっちかっていうと幸運値がランクSネ。招き猫?、言うたか。まぁとにかくラッキーアイテムアルな」
「では次からはそうするか」
「ひとまず人入れる。養殖できそうな動物居たヨ。あとは破壊竜に氷抜かせて水中を総ざらいアルな。
あーと、クーヤ。なんだたか、トンネルはどうね?」
「む」
そういやトンネル試すのだった。地獄の穴をちょんと設置。さて……本をぱかりと開けばトンネル作った時に放り込んだ小石が二個そのままの状態で放置されている。
トンネル移動
移動元
ル・ミエルの樹の窪地 石×2
移動先
ユミルの街の祠
取り敢えずここにもトンネルを設置せねばなるまい。あとは一応モンスターの街の下の地下空洞に設置したヤツも一応トンネル化するか。
地獄の輪っかをもう一つ購入して腕に付けて地面に置いたものはトンネル化しておいた。移動先に新しくユグドラシルの神泉と暗黒神の大空洞が追加された。これでよし。
ふむ、あとは物の行き来である。というか生き物が行き来できれば一番いいのだが。あんちゃん達にもそのまま本を見せる。
「ユミルの街はわかるが。ル・ミエルの樹の窪地とは何処かね?」
「ウルトの巣ですな」
「……西大陸か」
「……もう一つはユミルの街アルか。綾音と連絡取れるか?
そういう道具持ってる聞いたヨ」
「ちょっと待つのだ」
ラーメンタイマーを取り出す。えーと、綾音さんと。む、何やら安いな。まぁ安いのはいいことだ。
がちゃんと魔力を支払って電話を掛ける。ジリリリリン、ジリリリリリン、暫く音が鳴っていたが。がちゃんという音と共に騒がしい喧騒が聞こえてくる。
「……はい?」
「お、久しぶりですな」
「えーと、その声……もしかしてマスターですか?
私が食べているエビフライの尻尾からマスターの声がします」
「エビフライて。しかも尻尾て。いやいいけど。ていうかマスター?」
なんだそりゃ。
「はい。私はもう名を呼べませんから」
「………?
まあいいや。綾音さんに用事があるっていうあんちゃんに代わるー」
よくわからん。まあいいか。取り敢えずあんちゃんに代わっておいた。ラーメンタイマーに向かって何やらあれを入れるネこれ試すネと指示を出しているらしいあんちゃんを眺めてからトンネルに視線を戻す。
トンネルを活用するならもうちょっとトンネル設置しておくべきだったか。まぁしてなかったものは仕方がないのだ。
しかしこのトンネル、大した大きさが無いが大きさはどれぐらいまで行けるのであろうか。もしかしたら拡張機能とかあるのかもしれん。
地獄を通った物が無事で済むかどうかは未知数、下手すりゃ悪魔にとっ捕まることもある、よく考えなくてもろくでもないな。使えるのか?
今までも魔物が行き来していたとは思うのだが。私が使うのは初めてである。あのクッキーモンスターにした魔物を使ってなんとか運搬するとかだろうか。それなら大きさも気にする必要がなくなる気がしなくもない。
暗黒神ちゃん脳をフル活動で考えていたところ、足元から声。
「ぎぃー」
「ん」
いつの間にやら生首ちゃんである。いつもはカグラに乗っているのだが現在カグラは体力の限界となって力尽きて死んでいる。生首ちゃんなりに自由に探索中といったところであろうか。
興味深そうにトンネルを覗き込み、そのままガサガサと入り込んでいった。
沈黙が落ちる。
「…………………おおー……?」
大丈夫なのか?なんかそのまま見送ってしまったが。
本を開いてみる。
移動元
ユグドラシルの神泉 リレイディア(肉)
肉、肉!?肉にされた!?
流石にそれは困るというかヤバイ。
「こらーっ!出てこーい!!」
トンネルに向かって叫ぶ。やがてガサガサとトンネルに足先が掛けられリレイディアが元気に飛び出してきた。なんだ良かった。
「ぎぃー」
その額に油性ペンでデカデカと肉と書かれていたが。まぁ無事で何よりである。うむ。
「ふんふーん、ふんふーん」
鼻歌を歌いながらウルトがザクザクと槍で氷をブロックにして積み上げていく。
神器とかいう大事そうな武器だというのに完全にシャベル化している。ざくっと切ってぶすっと刺してぽいっと投げる。
それを繰り返して見事なピラミッドを作り上げている。ちなみにピラミッドは完成する傍から何処からか街の住人がやってきて資材としてするーっと氷の上を滑らしながら持っていくので増えることはない。
かまくらのようなものを作っているらしい。再び資材代わりのコウモリを放って縮んでしまったマリーさんによってある程度のものは確保出来たのだがやはりそれでも足りないのだ。で、足りないぶんをウルトが切り出した氷レンガでなんとかしているらしい。
そんなもんで家を作るとか凍りついて死ぬんじゃないかと思うのだが流石の元魔王さま、何か氷を切り出す際に加工しているらしい。それにウルト制作氷レンガで作った家の中にクロウディアさんが付けた焚き火を設置してそれなりにヌクヌクと暮らしているようだ。
住人たちも大分休んだせいかぼつぼつと釣りに勤しんだり集めてきた素材で何か作ったり辛うじて採取できる植物や魚を捏ねて焼いて挽いて乾かしてと色々試してパンのようなものを作ったり麺のようなものを作ったりとナカナカやっているようである。
しかし思い返すとあの船に乗っていた一般人もここには居た筈なのだが、あの過酷な労働と現状の開墾作業で染まったのかもはや見分けはつかない。イキイキと色々試している。まあいいけど。
釣り上げた魚の毒味は私が毒が効かないということで基本的に私になっているがたまにブラドさんもマリーさんと九龍に抑え込まれながら高笑いを決めるクロウディアさんに妙な色をした食料を口に流し込まれて白目を剥いているがまぁブラドさんなのでいいだろう。
「ほれ」
ぽいとゴム魚が泳ぐ養殖場にリレイディアを放る。
「ぎぃー」
ぼちゃっと水に浸かった生首ちゃんがぱちゃぱちゃと泳ぐのを眺めながら氷に開いた穴に釣り糸を垂らした。
この神泉についてから大体一週間程経っただろうか。ある程度探索も終わって九龍の指示の下色々資材が行き来しているようである。ちなみに私のラーメンタイマー連絡機はトンネルの横に設置され魔石で動くように魔改造されている。
たまにマリーさんたちも誰かと連絡を取っているらしいが私にはまああまり興味の無い話だ。ちなみにあの九龍とかいうあんちゃんがギルドの総裁だったらしい。お偉いさんだったというわけである。その割には自由主義すぎる気がするがそれがいいらしいのでまあいいんじゃね。
「クーヤちゃん暇そうですねー」
「まあ暇だけど」
探索が終わったので私はやることがないのである。トンネルから次々にゴロゴロと転がってくる樽を眺めてあくびを決める程度には暇である。
樽には食料やらなんやらが積んでいるらしいが数が少ないので食料制限が掛けられているので暗黒神ちゃんとしては実に不満極まりない。だが少ないのはどうしようもないので我慢である。そろそろ我慢ができなくなって暴飲暴食を決めそうな感じがあるが。
トンネルを通った樽はたまに悪魔が悪戯するらしく中身が変質していることもあるらしいが今のところ順調に輸送手段として立派に活躍している。
と、魚釣りを堪能しているところで背後から声を掛けられてしまった。
「クーヤ、ちょっと用あるネ」
「む」
噂をすればなんとやら実はギルドの総裁だった。まぁ確かに九龍とかいう名前はどこかで聞いたような……聞かなかったような……。聞いたような気がしなくもなきにしもあらずんば虎子を得ず。
したり顔でうんうんと頷いていると眼前に何やら突きつけられた。
「これ見るアル」
「ん?」
ぴらっと渡された紙切れ。うーん、賞金首的なアレっぽいが。
「なにこれ?」
「手配書ヨ。あなたの手配書」
手配書……手配書。手配書はまあいい。いや良くはないが。それよりも気になることがある。コレが私の手配書、手配書だと……!?
ガバっと顔をあげてグルンッと後ろを向いた。ゲルの中でぐったりと座り込んでいたカグラが気まずそーに頭を掻いてしっしと手を振ってくる。
お前か、お前のせいなのかこの惨状は!
「……………あー、大将。言っとくが俺がせいじゃねぇからな?
確かに情報は流したけどもう何も連絡してねぇよ。あの時よりヒデェことになってるけどノータッチだ」
「な、なにぃ!?じゃあなんでこんな事になってるのさ!!」
ブルブルと震えながら手配書をくわっと広げて掲げる。
「あははー、クーヤちゃんすっごい事になってますねー。ゴツくて髭だらけでもじゃもじゃですよ」
ウルトが笑顔で手配書の感想を述べた。そう、描かれているのはどうみてもむくつけきおっさんじゃねぇか。
これが私だというのか。なんだこの手配書。一体誰がこんな酷いことを。
怒りに任せてビリビリに引き裂きまくってやった。ざまーみろ。が、予備として大量に持っていたらしく九龍が同じ手配書をドサッと渡してきた。
「このやろーっ!!」
全部破いてやった。破いて破きまくって暗黒神ちゃんたら読まずに食べた。
「あら、最新の手配書ね?更新されたのはクーヤだけなのかしら」
騒ぎに気付いたらしくこちらへ歩み寄ってきたのはマリーさんだ。
すっかり縮んだマリーさんにがばりと食らいつく。クンクンしておいた。いい香りである。
「マリーさーん!!酷いのですその手配書は!!」
「そうアルな。今回の更新分はそれだけヨ。他にも何人か上がるかと思ってたアルが……。
まあ教団も一枚岩というわけにもいかねーって事アルかな」
言いながらまだ隠し持っていたらしい手配書をマリーさんに手渡す九龍の腕に齧り付いた。
ガルルルルッ。
ちょんと摘んでひらひらと揺らしながら手配書を眺めるマリーさんは優雅に微笑んでパリッと雷を放って手配書を炭に変えてふっと息を吹きかけ拭き散らした。
おお……ゴミ捨て一つとってもなんと優雅な。
「そうね。あの騒ぎだもの。姿も見られていないようだし、こうなったら何か決定的なことでも無い限りクーヤに辿り着く可能性は低いでしょう。
彼らが探しているものはあくまで力の強い神だもの。放置していればこの手配書は更に実際のクーヤとかけ離れたものになっていくでしょうね。
それに
聖都ではオカルト関連の魔導書を片っ端から回収して民間伝承に至るまで呪いの類を集めているというから既に暗黒魔法の研究も始まっているでしょうに、あの本と暗黒魔法をまだ関連付けて考えていないのは……ああ、ただの偶然の産物だったけれど、クーヤをギルドに登録させたのは今となっては僥倖だったわね。
そうね、ギルドの真実の石板で異界人とされた以上、悪魔の召喚を見られたりクーヤに気付いた神族を逃したり、そういった致命的な事をしでかさなければ疑われることはまず無いわ。
その本で出したものもあくまで異界人としての力、異界の本として扱われるでしょう。
真実の石板は御使いからの賜り物、レガノアの眷属から与えられたもの。つまりはレガノアの魂を選定する為の神としての力そのものよ。
あれを欺くだなんて、並の神族でも不可能よ。何より教団があれを疑うことは戒律に反するわ。時期が一致しすぎているし、教団の内部で考えるものはそれなりには居るかもしれないけれど……どちらにしてもそれを口にすることは出来ないの。異端審問にかけられかねない。
そういうことだから、手配書は暫くは放置するほうがいいでしょう。神の炉の破壊、武神と人形姫に泡雲の君の消滅、発動する暗黒魔法に何人かの勇者殺し。これらが勝手にクーヤを実像とかけ離れた異形の神に仕立て上げてくれるわ」
「え?」
よくわからん。ちんぷんかんぷんである。
「あー、なるほどアルなあ……」
「どういうことさ」
「そうアルなぁ、わかりやすく言えば探している獲物が残した排泄物がデカくてその内容物が危険生物の死体や食えやしねー合金やらだったらそこからそれ相応の生き物であると狩人は判断するって事アル。
その横にちっこい力の無い草食のチビが立っててもその二つを結びつけるヤツは居ないってこったアルな。
言われても実際に出してるところを見るまで誰も信じねーアル」
「きたねぇ」
最低な例えだった。いや、わかりやすいけど。
「……そうね、美しさの欠片もない下品極まりない例えだけれど大体あっているわ。
人間にとって神とは完成された究極の生命体のことを指すわ。世界を創り出し、魂を管理する力在る生命体、遥か天に住まう者達。
それ以外は神ではない、というより神とはそういうものという認識なの。完成されたエネルギー体、それが神というものよ。
太陽は東より昇り西へと沈む、それと同じくらいにごく当たり前の事。そしてそれは決して間違いではないの。神なる言葉は元来そういう存在を指すのだもの。
そして力が強ければ強いほどそれに相応しい神気を纏い、それに伴う巨大なエネルギーを内包するというのは神秘学の理よ。
神としての力が恐ろしいほどに強いのにほぼ無名で本人の肉体もか弱い、そんな矛盾は元来ありえないわ。
人間達が探している存在はあくまで勇者や神族を消滅させ、神の炉を一時的にせよ使用不能にする力強き神。だからクーヤとかけ離れた像になっていくのよ。
力無く、未熟で欲に弱く魂の管理にも興味がない、そういう存在は本来ならば神というカテゴリに入らない。
概念としての立場や役割を思えば確かに神と呼んで差し支えないわ。けれど、正確に言えば神と呼べる存在ではないの。
エーテルというものを知っているかしら?
昔、説明の付かない背反する事象を同時に成立させる為にXとして打ち出された架空の物質の名前よ。柔らかく、硬く、光を通さず、透明で、軽く、重い物質。
物理学や魔道学、それらがまだ未熟だった時代には研究者達によって多くの理論が発表され、そして議論されたわ。
その中で既存の力学や法則、数学的にも間違っている筈がない、しかし極一部にはその理論に当てはまらない事例が存在する、という事もあったの。勿論後の時代の研究や技術の革新によって修正されたものばかりだけれど。
当時はどうしても正しい答えも導き出すことが出来なかった。だからエーテルを作り出したのよ。こんな物質、法則があればこの例外も有り得る、そういったものを詰め込んだ言ってしまえば帳尻合わせの浪漫溢れる物質。
矛盾した属性を複合的に持った何処にも存在し得ない虚数から成る未知なる物質。
神としか呼べない、けれど神ではない。古く、強く、そして新しく無力。エーテルのような存在」
マリーさんはなんだか大事な秘密を打ち明けるような、とんでもない悪戯をするような微笑みを浮かべた静かな囁き声で紡いだ。
「だから悪魔もわたくし達も、その存在を示す時はこう呼ぶの。
僕らの暗黒神様 ひよこちゃん @hiyoko_chan
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