第4話 「自己紹介後」
その後俺はいつのまにか寝てしまったらしい。
「あ、玲起きた?」
目の前に美花の姿が…あれ?みんないない。
「あ、うん…。みんなは?」
「玲が寝てる間に下校時刻になったから帰ったわ」
あ、なるほど…もう7時18分ですか。どんだけ寝てたんだよ、俺。
「んじゃもう下校時刻過ぎてるし帰りましょっか」
「あぁ、そうだな…」
俺達は先生に見つからないように、校門の方へと向かった。
帰り道…。まぁ、俺はもちろん美花と一緒に帰っていた。なんら変わらないいつもと同じの帰り道、だけどもう数ヶ月後か数日後かわからないけど、変わるんだよな。隣に美花がいることは変わらない。ただもうこの景色は変わってしまう。
なぜなら俺の母さんと美花の家の親父さんとが結婚するらしく、俺達は同じ屋根の下で暮らすようになるらしい。まだ美花は親父さんから何も知らされていないようだが、絶対にいつか知ることになる。俺はその時美花に対してどういう顔をすればいいのだろうか…
「どうしたの玲?そんな深刻そうな顔してー。」
「え?あ、いやごめん。なんでもないよ!」
「またまたぁー。どうせ香奈枝ちゃんのこととかでしょー?」
「う、うん。まぁそんなとこかな」
うわっ、俺知らないうちにそんな顔してたんだ。気を付けないと。
美花にはまだばれてはいけない。絶対に親父さんから教えてもらったほうがいい。自分のことだから美花が「なんで!?」とか言ってきても、絶対に対応してくれるだろうし、納得もさせてあげられると思う。
俺だったら絶対に納得もさせてあげられないし、逆に混乱させてしまうだけだ。ただ再婚するということだけしか知らない俺には、説明さえもできなしな。
「んもぉー…。玲、この頃私に隠し事多くない?」
「なんだよー。別に彼氏彼女でもないし、美花だって一つや二つ隠し事はあるだろ?」
「あ、あるわけないじゃん!私は玲に隠し事なんかしないよ…」
「じゃあ、彼氏とかいんの?」
「い、いるわけないでしょ!そっちこそどうなのよ!?」
んー、いないけどここは嘘ついてみようかなー。美花って、からかうとおもしろい部分あるからなぁー。
「うん、いるよ」
「…!?ほ、本当に?」
やべっ、泣き出しそうな顔し始めちゃったよ…。さすがにかわいそうになってきたな。ばらすか…。だけどなんでこんな顔してるんだ?
「冗談だよ冗談!本気にした?」
「も、もう玲のバカ!嘘つき!!」
いってー…。右足首蹴られたー…。ただ、冗談と言った時にほっとしたように見えたのは気のせいだったのかな…。
「ご、ごめんて。許してよ…」
「むー…。仕方ないなー今回だけだからねっ!」
と、いつも許してというとこうやって言っていつも許してくれた。今回って言葉何回聞いたことやら…。
「ありがたやー、ありがたやー…」
「もう。いつもそうやってー…。あっ、私こっちだから。じゃあね!」
「おう。またなー!」
といって俺達はそれぞれの家へと帰っていった。
結局家に帰った後、家が真っ暗なことに気づいて、リビングの電気をつけ、自分の部屋へと向かった。その後俺はなんでだかはわからないけど、部活で1時間近く寝ていたのに、制服を脱いだ後に布団にダーイブっ!したら、いきなり睡魔が襲ってきて寝てしまった。…疲れてたんかな。
そして、次に起きたときは親が帰ってきて、玄関のドアを開けたときであった。時計は八時二十三分を指していて、帰ってきたのが七時四十八分だったから、だいたい…四十分ぐらいか。…にしても、今日は母さん帰ってくるの遅かったな。珍しいものだ。
その後、寝ぼけながら風呂に入り終わった俺は、リビングに行きいつのまにか用意されていた夕食を食べることとなった。
飯を食べ始めて、ちょっと経った頃…。
「玲。母さん、美花ちゃんの家のお父さんと婚姻届出してきたから、多分今日の夜にでも美花ちゃんに伝わると思う…」
ついにか…。今日一日ずっとどうしようかと思っていたけど、今日のうちに結論は出さないといけないみたいだな。随分といきなり時間が減らされたものだ…。
「そっか…。まぁ、こっちはこっちでどうにかしとくよ」
「どうにかって?」
母さんはきょとんっと小首を傾げて聞いてきた。
「え、あ、いやぁ…。こっちの問題だよ!気にしないで!」
「う、うん…。わかったよ…」
なんか、色々と察しられた気もするけど…。まぁ、いっか…。またなんか言われたときは、さっきみたいにはぐらかせばどうにかなるさ…!
と、まぁなんかいろいろとそういう話をずっと夕食時には話していた。それで、一緒に住むのは二週間後らしく、もうすぐだった。
いきなりすぎて困るなと俺は思っていた。まぁ、昔から俺には相談なしに勝手に決める人だったから別に気にしてはいないいんだけど、やっぱりもうちょっと早くから教えて欲しかったな…。さて、部屋に行くかな。
その後、俺は明日どう美花と話せばいいか考えていた。こっち系の話はもちろんするつもりだった。俺は、はやく現実を受け止めようと思ったからな。だけど何を話そうかな…。ストレートに言ってみようかな。まぁ明日にはどうなってるかわかってるさ!そう思いながら俺は寝た。
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