第九のページ
ずっと考えている。
あの時、もっと良い方法があったのではないかと。
僕と叶ちゃん。そして夢衣と……。
三人が笑って暮らせる選択肢が僕には用意されていたんじゃないかって。
でも結末は全然違っていて、僕はずっと間違った選択ばっかりしてしまっていた。
ああ、なんてことだ。こんなことになるなんて。
最悪の選択をしてしまった。
僕が叶ちゃんを殺したんだ。
比喩でもなんでもない。自らの手で、彼女を殺した。
そうせざるを得なかった。
そうすることが彼女のためになると、そうする他ないと、妹に言われたから。
妹がそうしろと、そうしなければ大変なことになると、だから。
……いいや、やめよう。僕が選んだんだ。
僕が自分の意思で、大切な幼馴染みを、小さい頃からずっと一緒だった彼女を殺したんだ。
夢衣は嫌な顔をしたが、叶ちゃんの遺体は学校指定の鞄に入れて持って帰ってきた。
もう原型も分からないほどに破損しているが、それでもこの肉の塊が僕の大切な幼馴染みであったことに間違いはない。
今も僕の横にある。
どうするかは明日考えよう。
今はただ何もかも忘れて眠りたい。
愚かな男が、愚かな選択をして、そして当然のように破滅しただけだ。
終わらぬ後悔。それだけが、僕に許された唯一の贖罪だ……。
叶ちゃんの絶叫が、脳にこびりついて離れない。
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