第四のページ
人が交通事故に遭って死ぬ確率を1とすれば、殺人鬼に出会って命の危険にさらされる確率は果たしてどの程度だろうか?
まさか校舎に少し残っていただけで殺人鬼に出くわすとは思わなかった。
殺人鬼――いや、言葉を濁して誤魔化すのはやめよう。
あれは殺人鬼だなんて生やさしいものではなかった。
人間ではなかったのだ。そもそもこの世の生物ですらないのかもしれない。
だからこそ、あの存在を表現するにはこの言葉がふさわしい。
あれはバケモノだ。
あの場所でバケモノに出くわして無事だったのは三人。僕と妹、そして幼馴染みの
残念ながら一緒にいた担任の先生は恐ろしい凶行の餌食となってしまう。
詳細を記すことすら憚れるような、不気味で、非現実的で、
ソレが校内に侵入して騒ぎになった後、警察や他の教師に事情聴取を受けた後の話を少し記したい。
実はこっそりと先生が殺された放送室へと足を運んだ。
それがどのような感情だったか思い出せないが、つい数時間前まで話をしていた先生を見送りたいという気持ちがあったからかもしれない。
僕が教師と警察、そして妹たちの目を掻い潜って放送室に到着した時、ちょうど先生の遺体を運ぶタイミングだった。
現場の警官は少々嫌な顔をしたが、僕がシーツを被された担架に向かって手を合わせるのを見ると黙って見過ごしてくれた。
恐らく見せたくなかったのだろうと、先生の遺体を見た瞬間に分かった。だからこそ僕もあえてその状態について尋ねるようなことはしなかった。
先生の遺体を運ぶ担架、遺体にかけられたはずのシーツは明らかに人の形とは似ても似つかない盛り上がり方をしていから。
人間一人をあの様な状態にするなんて、果たしてそれはどんな存在なのだろうか?
僕らは無事だったが、一歩間違えればあの先生と同じ状態になっていたのだ。
妹だけは唯一バケモノを直接見ていたので興味が湧き、それとなく尋ねてみた。
彼女は一言「知らない方がいい」と教えてくれた。
この世界は狂っている。
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