第6話
暗闇の中ピスカは眺める。少年が泣いている。両手を眼に擦りつけ、肩を震わせてしゃくり上げる。ピスカは近づき声を掛けた。
「どうしたの?」
泣き声はとまらない。
「どこか痛いの? それとも戻るところがなくなっちゃった?」
膝をまげて腰を落とした。手を伸ばそうとしたら、少年の泣き声が止む。
「ねえ……」掌で顔を隠したまま少年は口を動かす。「どうして助けてくれなかったの?」
少年が押さえる手から血が溢れ出てくる。ピスカは飛び退き、後ろにさがった。
「ずっと守ってくれるって言ったじゃん」少年は立ち上がり、俯いたままピスカに寄る。
「なんで、助けてくれなかったのさ――」
お姉ちゃん。
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