第7話 核心
彼女は私の幼馴染だった。地元は少し遠い所で、高校から一緒にこちらにやってきた。幼稚園の頃からずっと一緒で、何をするにも一緒だった。家も近くて家族みたいな感覚だった。少し気が弱くて引っ込み思案だけど、いつも頑固な私に付き合ってくれる大切な友達。一緒に居るだけで楽しかった。そして高校でも今まで通り楽しい毎日が続くと思ってた。でも、違った。彼女はその性格からかいじめの標的にされてしまった。それでも、私が守ろろう、私だけは彼女の見方で居よう…そう思っていた。
しかしいじめはだんだんエスカレートしていった。最初のうちは私が止めに入れば止められた。でも、それも通用しなくなった。
ある時突然、彼女をいじめていた子達が私のところへやってきてこう言った
「アイツのこと嫌いって言えよ。これで録音してアイツに聞かせてやる。言わなかったらお前も標的だ。」
別に標的になっても構わなかった。ただ私は許せなくて、どうやり返そうかということしか考えていなかった。そうだ、嫌いって言って油断させればいい。そのあとに機械を奪えばいい。そんなくだらないことだけを考えていた。だからああなった。
「嫌い。私はあんな奴大嫌い!!!」
言ってしまった。嘘とはいえ私はひどいことを言ってしまった。そして彼女はこれを聞いていた。私を心配して迎えに来た彼女は、聞いてしまった。走り出す彼女の横顔が、こぼれる涙が忘れられない。追いかけたさみしそうな背中が忘れられない。
彼女は途中で階段から足を滑らせた。
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