第2話

かれは終始紳士的でいて、かつ、

節々に私の心を掻き乱した。

理由は曖昧だ。


初対面で会った私、もとい、

肉体関係のみを目的にした逢瀬のはず。

なのに、ホテルにチェックインしたのち、

彼は、欲情よりも愛情による笑顔を私に向けた。


その後談笑と呼ぶものかも、また曖昧だが、

また心が掻き乱された。



私は、突然心の臓に空いた穴を、

とかくふさぐひつようがあったのだ。


はやく塞がなければ、

私自身が、現とさようならと、わかれを告げる程だ。


その様々な決意を、私の選択なのか、

運命の悪戯といえば陳腐だが、

この数日のありとあらゆる決意も大きく左右されてしまったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る