カズネちゃんとトモキの昔話
今日も、眠い朝がやってきた。
バスルームにたって、蛇口をひねり顔を洗う。
なんとなく目が覚めた気がする。
バスルームからでて、食パンを取り出しトースターにつっこむ。
フライパンをコンロの上において、ちょっと油を引いて卵をコンコン、カチャ。
昨日は結局、夜ご飯を作れなかったから今日の朝ご飯を作る。
まあ、居候の身分としては当然のことだ。
インスタントコーヒーが見つかったので、電気ポットに水を入れてお湯を沸かす。
トースター、フライパン、電気ポッド。どれが一番はやいか・・・もちろんフライパンだ。
適当に皿をだして、目玉焼きをのせる。そしてチンという音。パンのできあがりだ。マーガリンを塗る。するとお湯が沸く。コップにインスタントコーヒーの粉を入れ、そしてお湯を入れる。まあ、どうせ今日も暑くなるんだろうが、目覚ましの一貫だ。
タケルがモゾモゾと動き出した。
「おはよう・・・。」
「ああ、おはよう。朝ご飯を作ったよ」
「おお、悪い悪い。別に俺が作ったのに・・・ふぁーあ」
あくびをひとつ。
「コーヒーあったなあ、そういえば」
コーヒーを飲んでいく。
僕はテレビをつけた。
やっぱり猛暑日を記録するらしく、熱中症対策の話題を取り上げていた。
「うわっ、今日もあちいのかよ・・・。制汗スプレー、何本あったって足りねえな・・・」
「ああ、そういえば僕もなくなりそうだった気がする」
「だよなあ、でかい奴買おうかなあ」
「タオル、忘れんなよ」
「わかってるよ、忘れたらやばいよ。俺滝のように汗が流れるからな」
「おっ、テロがあったのか」
「知らないのか?昨日昼頃にニュースアプリの速報はいったぞ、」
「あんまりニュースってチェックしないんだ。」
「てか俺運勢一位だ。」
「へえ。」
「ま、日頃の行いのおかげだよな。」
「・・・最下位だ。最悪だ。」
「仕事が行き詰まりテンションダウン、きっかけを掴むのに苦労するかもだって」
「はあ」
「おっ、ラッキーパーソンは古い友人だってよ。今日会うんだろ?」
「ああ、会うけどね。」
「俺、また六時頃に帰ってくるけどどうする?」
「またそのぐらいには家にいるよ。そんなに朝から晩まで話すようなこともないだろうしね」
「10年ぶりだろ?俺ら、2,3ヶ月ぶりでまだ話すことがあるんだぞ?」
「とにかく6時にはここに居るよ。それでいいだろう?」
「6時を越えそうになったら連絡してくれよ。テキトーに出かけるから」
「おっけー」
「楽しんでこいよ。あとちゃんとカズネちゃんと連絡着くかどうか聞いてみるんだぞ」
「わかってるよ。なんとかなるさ」
「おし、じゃあ俺はメシ食い終わったし、二度寝でもするかな」
「バイトは?」
「・・・忘れるわけ無いだろう」
タケルは起き上がり、バスルームに入っていった。
「じゃ、行ってくるわ」
「行ってらっしゃい」
「おう」
タケルは昨日とは違ったふうにドアを閉める。
ポカン、と僕は取り残される。
でも忘れちゃいけない。今日は目的と達成目標がすでに掲げられている。今日のそれ以外はすべてそれの付属品だ、と思う。
間違っている?
僕はバスルームに入って歯を磨く、ひげをそる。
うん、悪くない。
昨日と同じようにテレビを観てみる。
今日は夏休みのレジャー特集。北海道に行こうと言ったと思えば、東京に行こう、いやいや京都に、そして実はここが穴場なんだとか、料理がうまいとか景色が綺麗とか。
・・・呆れる。
旧友と会うのは正午からの予定だ。それまで時間はたっぷりある。
そうだ、バイトを探そう。
いつまで居るかはわからないが、免許資金の貯金を食いつぶしているだけではすぐにそこをつきてしまう。
ある程度のことは始めなくては・・・。
僕は持ってきたノートパソコンを取り出した。
『長野 バイト』
すぐに出てきたリクルートのサイトで詳細検索・・・。できれば履歴書不要がいい。面倒くさいから。それでいて高い時給・・・。まあ、出てくる。業種はどうしよう。飲食は嫌だ。パチンコも嫌だ。コンビニも嫌だ。あとは・・・。
軽作業の派遣アルバイトしか出てこなくなった。
・・・まあ仕方ない。それで当分食いつなごうか。
でも、千葉には戻らないのだから、いっそバイトである必要は無い。
むしろ、何らかの形で正社員となることが望ましい。
しかし・・・。それでは保証人が面倒だ。
嘘をつくか?いや、そんなのすぐにバレてしまう。
どうしよう?
僕はタケルの家でモヤモヤと考え事をするのが嫌になり、ひとまず出かけることにした。
最寄りの駅に行って、街の中心駅に向かうことにした。
そこでテキトーにふらつこうという考えだ。どうせ、集合場所はそこだった。
電車に乗っている間、ここが本当に千葉ではないもう一つの理由を発見した。
電車から見る風景が全く違う。
千葉でよく使っていた電車は、単調に住宅街の風景だけが続き、全くそこがいかに東京のベッドタウンとして優秀か認識させられた。
朝のラッシュは最悪で、汗かきの僕にとっては、雪でも降らない限り汗をかかずにはいられなかった。
でも、ここは違った。
ここには東京はない。
線路沿いの風景は畑や住宅だけではなく、途中途中にさまざまな商業の足跡を確認することができた。
だから、ある意味、ここが長野であって千葉である理由としては、隣に東京がないことがあげられるのかもしれない。
伊豆諸島とかの話は忘れるものとする。
まずは書店に向かった。
僕はそれぐらいしか暇つぶしの方法を知らないのだ。
推理小説と時代小説が大嫌い。それ以外はなんでも読む。
適当にパラパラめくって、気に入りそうなモノを何冊か選んだ。
といっても、1時間近くはかかったけれど。
運転免許に関する本をみつけたので、少し読んでみたが、全国の運転手たちに敬礼。まったく、よくこんなことができるもんだ。
サッサと本をレジに持って行き、お金を払った。
さて、まだ約束の時間まで時間がある。適当な喫茶店があったので、そこで本を読んで時間をつぶすことにした。
チェーン店だったので、何が売ってるのかどんな味なのかわかっている。全国統一された味というのは素晴らしいモノだ。コーヒーを買って席に着いた。
周りは主婦ばかりだった。どうせ、ろくな会話をしていないのだろう。見栄と嫉妬が交差するばかりの会話なのだ。
「あそこのおうちね、かなり無理してるんだって」
「あら、やっぱり?外車なんて乗り回してどうしたのかしらって思ってたのよお」
「そうそう。ね、やっぱり、一般人は一般人らしい生活が一番よね?」
「それが・・・うちの主人。今度昇進するんですって!」
「ふうん?ま、うちの旦那はそろそろ部長になれるらしいんですのよ」
そんな会話ばっかりだ。
全くくだらなくて呆れかえってしまうが、BGMとしては最適だ。
だいぶ前にどこかで仕入れた情報だが、人間、シンとした場所よりも少しガヤガヤと会話がされている状況の方が集中しやすいらしい。
とりあえず、さきほど買ってきた本を取り出してみる。
ちょっと前から気になっていた人の物だ。その人の本は前に立ち読みをしたことがあったのだが、今日みかけてみると欲しくなってしまった。
この本とは別にもう一冊買った。
これはある人のエッセイだ。僕はこの人が前から大嫌いで、この人が何を考えているのか心の底から気になっていた。頭がいい人は何かがおかしい。
僕は楽しみな本は後にとっておくことにしている。迷い無くエッセイをよんでみることにした。
本を読む前に旧友にこの喫茶店にいることをSNSで伝え、ここに集合場所を変えようと伝えた。
だいぶページをめくった。
『そろそろ着くけど』
旧友からの連絡。
『わかった。紺色の半袖のシャツと、ジーパンはいてて、窓際に居居る』
『おっけー』
『待ってます』
僕は、なんとなく敬語になってしまう。それもそうだ。彼がどんな成長をしたのかわからないのだから。
トモキ。新山トモキ。彼の名前だ。
少年サッカーをしていて、じっとしているよりずっと遊んでいたいというタイプ。
勉強も苦手なタイプだったはずだ、
SNSによれば調理系の専門学校に通っているらしい。
写真を投稿していたのでみてみたが、素人目にもみてわかるくらい、綺麗で立派なものだった。彼はなんだかんだいって、親の手伝いをよくしているイメージがあったので、そこで鍛えられたのかもしれない。彼の親は飲食店を切り盛りしていたのだ。
若い男の人が入ってくるのが見える。
見た目は学生、おしゃれな学生。
髪の色は茶色。明るい。
一見大人、でもよくみると子供っぽさが残っている。
それが、僕たち19歳。未成年最後の年。
大人であって子供でもある。不思議な年。
「よお、10年ぶり、ってことよな」
「・・・うん、大正解」
不思議な再会。
「ひとまず、この店は出ないか?ここで昼飯を食うと、俺の財布が悲鳴をあげるんだ」
「わかった」
僕は立ち上がる。
とはいえ、トモキが向かったのはそこそこ値段のする、オムレツ屋だった。
「ここさ、女子高生に人気なんだってさ。東京だろ?お前の家」
「いや、あー千葉だよ」
「あっそ。どっちだって変わんなくない?」
「そういう気もする」
「んー、だよね」
久しぶりのトモキとの会話は、どこか噛み合わず、なんだか二人で的とは全く違う方向に矢を打ち合っている気分だった。
「ま、偵察って訳よ。別に洋食やりたいわけじゃないんだけどさ。」
「何目指してるの?」
「親の店継ぐこと。わかるっしょ?」
「うん、何度か行ったことがある」
「ありがと。でも、お前が東京に行ってからウチもだいぶメニュー変わったけどね」
「だから、千葉だってば」
「そうそう、その千葉とかなんとか。」
「・・・わかってるよね?」
「わかってるさ。専門生だからって馬鹿にすんな」
「ごめん」
「とにかく、10年もありゃ、メニューも変わる。人も変わる。お前も俺も変わってる。」
「そうなのかもしれない。」
店員がお水を運んでくる。メニューを置いていく。
トモキはメニューを開いた。
「あれから、俺んちの店にも色々あった。でもなんとか守ってこれてる。オヤジは店の雰囲気守ることに固執して、メニューは新しく追加していくけど、雰囲気は絶対に変えない」
「従来の常連客を守ってる。良いことだと思う。」
「ふん、見たこともないからそんなことが言える。ウチは火の車だよ、ハッキリいって。長野にも、ファミレスだとかファストフードだとか大分増えてきた。ウチの店に来るのは、昔から来るような客ばかり。そんなんじゃ駄目だ、いつか潰れる」
「潰れないかもしれない」
「ロクにウチに来てない奴が何を語るんだよ?・・・まあ、いいや。お前に愚痴ったって仕方ねえや。で、なんだよ?十年ぶりに。サッカーならもうやらねえぞ」
「わかってるよ。まさかそんなことするわけ無いだろう?」
「てか、お前、今何やってるの?大学?」
「うん、大学通ってる。」
僕は面倒くさいのでそうしておくことにした。
「法学部。とりあえず法学部にはいっちゃった」
「そう・・・。大学生、って感じだな」
「仕方ないじゃないか」
「ま、ひとまず頼もうぜ」
僕もメニューを開いた。なるほど、食品サンプルを見て気づいていたが、食べるのがもったいなくなく感じるほど、可愛いオムライスだった。童話に出てきそうだ。オムライスの妖精が居て、妖精がつくる特製オムライス。きっとその妖精はオムライスの森に住んでいる。
「俺、決まったけど、どうする?」
トモキが聞いた。
「うん、僕も決めた。大丈夫そう。」
「おっけ。呼ぶわ」
すいません、トモキが呼ぶ。
僕らは適当にメニューを注文した。僕はケチャップオムライス。彼はきのこソースのオムレツ。
「で、話がしたいって何。いまさら。」
「・・・・?」
僕はわけがわからなかった。トモキは何か、僕にいらだっている。
「あのさ、アイツが何言ったか知らないけど、ちゃんとアイツだってOKって言ったんだからな。それに、俺はアイツに何も強制してない。全部アイツが望んだんだ。俺は命令してない。」
沈黙・・・。
「だってさ、そうじゃんよ。俺は言ったんだ。本当に良いのか、って。全部パーになるんだぞって。でも、アイツが構わないっていったんだよ。」
さらに沈黙。
「アイツだって他の奴とよろしくしてたんだぜ?そりゃあ、俺だって悔しかったよ。でも、アイツがやったんだ。」
僕はなんて言えばいいのかわからなかった。
いったい何の話をしてるんだろう?
「お前、なんで何も言わねえんだよ。俺に何もかも喋らすつもりかよ」
僕はひとまず心を落ち着けたくて、水を口に入れた。
あまり休まらなかった。
「呑気に水飲んでる場合かよ。そりゃ、悪かったよ。お前とアイツの間は知ってたしな。でも、アイツがハイ、っていったんだよ。アイツがよろしくお願いしますって言ったんだよ。俺は絶対、絶対脅したりして女を支配しようとするような男じゃない。気に入られたくて、アイツをちやほやした。そしたらアイツは乗ってきた。そういうことなんだよ」
なんだか状況が見えてきた。
「だって、ほら、アイツは可愛い。でもお前ばっかり見てた。正直、何が良いんだかわかんなかったんだけどな。運動はへたくそだったし、別に特別面白い奴じゃないしさ・・・。いや、その逆だった。おとなしくて、なんだかナヨナヨしてて・・・。俺の方が絶対イケてるだろ?昔も今もさ。」
「ああ」
「ほらみろ。そうだろう?そうさ、そうなんだよ。でも、アイツはずっと、馬鹿の一つ覚えみたいに、シュウがシュウがって。中学になってもそんなこと言ってたから、別の小学校から来た中学時代の連中なんて、みんな面白がってたんだぞ。顔は可愛いのに、脳内彼氏で満足してるっってな」
トモキの目が僕の目をとらえた。
「なあ、お前、連絡の一本すらしなかったんだろう?でも、それがなんだよ。今更になって、俺のこと掘り出すっていうのかよ・・・。なあ、アイツは結局、俺のところにきたんだ。一度はお前のことを捨てたんだ。お前に捨てられたからな。アイツ、きっとまたお前のことを捨てるぞ。もうお前も、アイツも、ガキじゃないんだ。ガキの恋愛ごっこなんてとっくに終わったんだよ。全部、全部・・・。」
でもひとつひっかかる。僕と「アイツ」は再会できてない。それを求めた結果、トモキにたどり着いている。でもトモキは、僕と「アイツ」が再会したから、僕がトモキを責め立てにやってきたと思い込んでいる。
「なあ・・・。俺、めちゃくちゃ好きだった。最初みたときから、俺にはこの人しかいないって思ってた。だからガキの頃はアイツにモテたくて、足も速くなったし、サッカーだって始めた。わかるだろう?それが突然消えて突然捨てられたのに、忘れられないから約束だからって・・・。なんだよ・・・、約束って・・・。全く、ガキかよ・・・」
トモキは水を飲んだ。
「だから、これはあいこだよ。お前もアイツを傷つけた。アイツは俺を傷つけた。俺はお前を傷つけた。みんな傷つけ合った。しかもみんな幼かった。許してくれよ、もう終わったことなんだ」
「許すも何もないんだ」
「はあ?」
「だから、許すも何もないんだ。全く。むしろ、今の話を聞く限り、許しを請うのは僕かもしれない」
「はあ・・・?」
「だから、僕は君に傷つけられてない。僕とカズネは、再会していないのだから」
「失礼します、お待たせしましたご注文のお品ですー」
店員が僕らの会話を邪魔してくる。
「失礼しますー」
「・・・とにかく、食おう。食おう。」
「そうしよう。実は、僕も今のことで聞きたいことがあるんだ」
オムレツはあまりおいしくなかった。というより、あまりの衝撃で味を感じなかった。僕らは食べているとき、何も会話をしなかった。
僕らはちょうど同時くらいに食べ終わった。
「で?どういうことなんだ」
「僕らは再会してない。ずっと。僕が長野を捨ててから、ずっと」
「一度も?だって・・・え?」
「そう一度も。長野に来たのは、カズネを探しに来たからなんだ。君の言う、幼い約束を信じてね」
「・・・そうか。で、俺に会いに来たのは?」
「カズネがどんな人生を歩み、歩んでいるのか、聞いておきたいと思って。」
「そうか・・・。そうか。そうだったんだな」
「そうさ。で・・・カズネの色んなこと、知ってるかい?」
「知らないわけがない。というか、お前が知らないことに驚きだよ。」
「なんだって?」
沈黙。
「良いか?これは、幼い頃の幼い話だ。といってもつい最近のことまで含まれるが・・・。これはガキの話だ。今の俺らの話じゃない。解ってくれるよな?」
「いいとも」
「うん。じゃあ話すよ。」
お前が千葉に引っ越した頃、カズネは元気そうにしていた。俺は意外だった。だって好きな人と離ればなれになって、さぞかし寂しかろうと思った。だから俺に千載一遇のチャンスが来たと思ったし、それを俺は疑わなかった。
とはいえ、当初のアイツの心の強さは、いたって普通。手紙のやりとりをするんだとかそのうち電話がくるんだとか、そういう、そのうちやってくる期待によるものだった。まあ、おじいちゃんとかおばあちゃんからの手紙だとか電話を待つのに似てたんだろうな。だから、俺はガッカリしたよ、やっぱり二人の仲は好き好き同士なんだってね。そういう表現しか当時は知らなかったんだ。
でも、カズネはお前に裏切られた。
結局、待てど暮らせど、手紙の一通も来なかったし、電話の一本もかかってこなかった。知ってるか?カズネは帰りの会が終わると一目散に教室を出て行ったんだ。今日なら手紙が届いてるかもしれない、今日なら電話が来るかもしれない。そういう期待で胸をいっぱいに膨らませて、電話の前で待ってたらしいんだ。知らない電話番号をみると、すぐに受話器をとった。お前からの電話だと思ったからだ。
裏切られた後も、お前のことを信じていた。
中学に上がった頃には、カズネはもう電話も手紙も期待してなかった。でも、ひとつだけ信じてることがあったんだ。『シュウは18歳になったら車に乗って迎えに来る』、同年代の女子は平気で白馬に乗った王子様を信仰してた時期に、だぜ?冴えない男が大衆車に乗ってやってくるって?マジ笑っちゃうよな。でも、カズネは平気な顔をしてそう言ってた。アイツはモテたんだ。俺も夢中だったし、学年中が夢中だった。なんせ、やってきたばかりの子犬みたいに、大人しくて・・・、それでいて愛嬌にがあって・・・。しかし、カズネが夢中だったのは大衆車に乗った冴えない男・・・。
一緒の高校に進んだんだ。高校受験をするときに、偶然を装って同じ学校を受験したんだ。
やっぱりカズネが好きだった。だから、俺は同じ高校に行った。高校になってくると、いろんな奴が居る。自分が可愛くて仕方が無い女の子。やたらとハイテンションの男。そして、顔は良いけど、脳内彼氏をつくっちゃうイタいあの子。それがアイツに張られたレッテル。俺は、部活でエースのスポーツ少年。アイツはもうモテなかったし、俺はまあまあモテた。俺はそれでも、アイツが好きだった。
2年生になる頃だった。俺はアイツに、SNSで「相談がある」と言われた。今でも忘れない。夕暮れの教室だよ。そのときは冬だったから、陽が落ちるのが早くて、少し暗くなり始めてたんだけどな。
「・・・相談ってなんだよ」
アイツはその日、いつも長くしているスカートを、他の子みたいに短くしてもじもじしていた。それでもやっぱり、外の世界におびえる子犬のようにぶるぶる震えているように見えた。
「うん、うん・・・。ちょっと、話したいこと、っていうのかな・・・。ね・・・。」
「あ、ああ、うん。なんだよ」
「えぇっと・・・。」
スカートの裾を引っ張ってた。顔が真っ赤だった。これまでにないくらい、可愛かったんだ。抱きしめたかった。
「ね、私、やっぱり、子供、なのかな・・・。」
「え?」
「あの、シュウのこと、についてさ・・・。ほら・・・。」
「ああ・・・。うん。えっと・・・。子供、だとは思わないけどさ・・・。でも、もうずっと音沙汰なし、なんだろ?」
「うん・・・。」
「なあ、お前がそんなに苦しい思いをする必要、あるか?」
あたりがシン、とする。どこかで補修をやってる教師の声がする、そういう時間だよ。
「わかんない・・・。」
「ねえよ!全くねえんだよ!もうわかんだろ?シュウはお前のことなんて忘れたんだよ!」
「でも・・・。18歳になって、会いに来るって・・・」
「ああ、新幹線が通ってたって、車に乗ってやってくるんだろうな。アイツは高校生になってもそんなことを知らないし、そうすることもできないんだろうな」
俺は全く、そんなこというつもりはなかった。でも、口からでてしまったんだ。何年も積み重なったものがあったからだ。
「・・・、・・・。ひどいよ・・・。」
「・・・ごめん。ほんと、ごめん。そんなこと、言うつもりじゃなかったんだ」
「ううん。わかってるの。本当はあのときから、ずっとわかってたの。電話も手紙もこないってわかったときから、ずっと・・・。」
「うん」
「私、シュウに捨てられたんだって。シュウは、他の女の子が好きになったんだって。」
「そうだったのか・・・」
俺、正直言って何言って良いかわかんなかった。だからテキトーに返事するしかなかったんだな。
「私、馬鹿な女だよね・・・。幼稚な約束信じちゃってさ・・・」
「俺、俺、そうは思わない。もちろん、ガキっぽい約束だけど・・・。でも、だからって馬鹿な女だとは思わない。俺、そういうのって・・・。」
「いいよ。ゴメンね?弱音吐いちゃって。私、決めたんだ。もう、全部全部忘れちゃおうって。」
「え?」
「私のことを忘れた男のことなんて、忘れちゃうの!バイバイ、って!」
アイツは泣きながら笑ったんだ。同時に2つの感情、もったことあるか?俺にはないね。
「全部忘れて、私の思うことだけをするの。これからはね。」
「いいじゃん。その意気だよ」
「そう?そうだよね・・・。そう、なんだよね・・・。」
「なんだよ、なんで、泣くんだよ、泣くことなんて、ないだろう・・?」
アイツは膝から崩れ落ちた。嗚咽をあげながら泣いたんだ。
俺はおもわず駆け寄った。そして、抱きしめたんだ。そうするしかなかったんだ。そうすることが、一番の正解だった。
「ごめんっ・・・ね、あり、ありがと・・・ッ・・・。な、なんで私こんな思いしなくちゃいけないのかな・・・・ッ・・・?なんで、なんでよ・・ッ・・・。私、私、好きな人を好きじゃいけなかったのかな・・・ッ・・・。ねえ、なんでよ・・・」
「忘れよう。全部、忘れよう。」
「うん・・・・。忘れるの。ぜっ、ぜん、全部・・・、全部・・・忘れるの。忘れちゃうの・・・。」
「うん。それでいい。それでいいんだよ」
「ねえ・・・?これ・・・。」
アイツはポケットから、くしゃくしゃの紙一枚を取り出した。何だったと思う?幼稚園の頃さ、みんなの将来の夢つって、寄せ書きみたいにして一人一人全員の将来の夢を書いたヤツがあっただろう?お前とアイツが、結婚するとか書いてたヤツ。あれを後生大事に持ってたんだよ。もちろん、いろんな感情がぶつかってぼろぼろだったけどな。
「これ・・・、一緒に、破ろう?一緒に・・・。」
「一緒に?なんで?」
「いいから・・・。お願い・・・っ」
「わかった。わかったよ。破ろう。」
「じゃ、じゃあ、いくよ・・・?せ、せーのだよ?せーのっ」
ビリってね。
「なあ、俺たち、つきあわないか?」
俺は何にも考えてなかった。口が勝手に動いてた。だからそういうことを言って自分でも驚いた。アイツだって驚いてた。目がね。でも、こうなることがわかってるような顔だった。
「いいの・・・?私、妄想に溺れてる不思議ちゃんだよ?」
「それはもう、昔の話だろ?遠い昔の話さ。誰かの昔話だ。」
「そっか。」
「だからさ、な・・?俺たち、つきあおう。2人で、新しい物語を作っていこう」
「・・・ふつつかな私だけど、よろしくね」
俺たちは抱き合った。そして、キスした。
この実に運命的な告白には、もちろんキューピットがいたんだ。そいつは俺がカズネを好きで、カズネがお前のことを忘れなきゃいけないっていうのがモットーだった。今はなにしてるのか知らないけど。
で、俺たちはつきあった。アイツは次の日生まれ変わったみたいに可愛くなってた。もちろん今までも可愛かったんだけどさ。こう・・・。普通の女の子になっていうか・・・。元々持ってる素材が、活かされ始めたというかね。
アイツは普通になるまでに長いブランクがあったから、自分が何をすべきかどうすればいいのかわからなかった。何せ、一瞬でガキから成長しちまったんだ。で、どうやら俺好みの女になることをひとまずの目標にしたらしい。俺はアイツが茶髪が似合うと思ったから、茶髪にしろとか、あと私服の露出を増やせとかもっとスカート短くしろとか色々いった。いや、本当にゴメン。でも、あいつはよく似合ってた。
でも、完全に俺好みの容姿だった。で、俺はもういろんなモノが爆発した。
俺は焦っていた。またお前のことを思い出すんじゃないかって。だから、早く心も体も何もかも、俺のモノにすることで頭がいっぱいだった。
「大丈夫、みんなやってるから、愛し合ってるのを確認するだけだよ。たったそれだけだから。」
「本当?でも・・・。」
「なに?」
「こわいな。」
「痛いのは最初だけだよ。優しくするから。」
「・・・わかった。」
許してくれ、一回だけだったから。誓って一回しかしてない。もう俺もアイツもそんなコトできるような間柄じゃなくなってったんだ。ハッキリいって、そのときに俺たちの関係は完全に壊れた。今でも後悔してるんだ、あのときのことはね。
俺もアイツも、その後には心がボロボロの気分で、とてもじゃないがもう慰め合って再起するのは不可能だった。
アイツには、二度目の裏切りを味わせてしまった。後から気づいたよ。
でも、アイツはそれを感じさせなかった。アイツには社交性が磨かれていた。もうつきあうとか愛情を感じるとかっていう慰めは必要なかった。ただ、普通の生活を送る。これがアイツの再起した方法だった。
アイツはもう子犬じゃなくなったんだ。
俺にはそれが、どうしても納得できなかった。
よくも彼氏の目の前でのうのうと男としゃべれるな・・・。嫉妬心や怒りで俺のはらわたは煮えくりかえっていた。付き合ってる実態なんて、殆どなかったのにな。
あるとき言われたよ。もう別れてくださいって。あなたとはうまくいかないと思います。私にはやっぱり、シュウしかいないのだと思います。シュウも私を思い出そうとしている、そんなふうに感じるようになってきました。私は、千葉の大学に進学するつもりです。シュウが迎えにきてくれないのなら、私は自分で追いかけようと思います。あなたはあなたの『好きな人』、みつけてください。
おれは泣いたね。
また、全部忘れて、もう一度・・・。
その望みはなかった。
高3になるころだった。
「・・・これで俺たちの話は終わる。これが俺のしてきたことであり、同時にお前のしてきたことだよ。」
僕は口をパクパクとさせていた。全く、完全に、さっぱり、言葉がでなかった。
代わりに目から涙がこぼれた。
トモキの頬にも、涙が伝わっていた。
「なあ、わかるか・・・?アイツは、心の底から、アイツの体の全身の細胞が、お前のことを好きだって言ってるんだよ。それを、お前は、裏切ったんだ・・・」
「うん・・・・」
「お前が昨日、SNSで連絡してきたとき、ようやく俺の役目が終わったんだと思った。俺は罪人として裁判にかけられる。それですべてが終わる。でも、それがどれだけ恐ろしいことか、俺には想像がつかなかった・・・。それはアイツに俺の存在を全否定することを示しているからだ。」
「そういうことになるんだろうね」
「俺はどうやら、罪の償いのチャンスがあるらしい・・・。だから、言う。アイツを好きになってやってくれ、アイツの愛に応えてやってくれ。アイツは・・・お前のことが好きで好きでしょうがないんだ」
「うん。わかった。カズネのことは、もう全部僕に任せてくれていい。」
「そうか・・・。」
トモキはひとり、つぶやいた。
自分自身を納得させるように、または言い訳をするように、言い聞かせるように。
「そうなんだな・・・? ・・・俺は、これでいいんだよな?これで、正解なんだよな?」
「そうだよ。これが、あるべき姿なんだ。これで、君は完全に解放される。あとのことは君にとって後日談にすぎない」
「そうか・・・よかった。」
トモキは繰り返した。
「よかった・・・。よかった・・・。本当に、よかった。」
タケルは少し、涙をこらえるように上を向いた。
そしてしばらく目をつぶった。
そして僕の方を向いた。
「じゃあ、あいつの進学した先をいうぞ?千葉の・・・大学・・・キャンパスだ」
「・・・僕の実家のすぐ近くだ」
「・・・まったく、お前には呆れるよ」
トモキは泣き笑いをした。2つの感情が、同時に持てたようだ。
よかった。
そのあと、ずいぶん注目を浴びてしまったオムレツ屋から逃げ(もちろん、お金を払ったうえで)そして、駅前で別れた。トモキは、どうにかしてカズネちゃんと連絡をとってくれるということだった。
僕はもう心に決めていた。千葉に帰らなければならない。
つくづく僕は千葉―長野の呪縛からは逃げられない、と思う。
結局、何もかも捨てて、長野にやってきたというのに、求めたものは千葉にあったのだ。
でも、ふと思う。僕が何もかも捨てて、長野で再会したところで、カズネちゃんは喜んだのだろうか?
きっと困ってしまっただろう。
と、なれば、じゃあ僕はなんで疑いの余地もなく行動に出てしまったのだろう?
僕がバカだから?
実際、こうなるべきだったからではないかと僕は考えている。
こうやって、トモキの感情に触れることが必要だったのではないだろうか?
さあ、どうなんだろう。
すべては、カズネちゃんに会って、その結果次第なのだ。
「で、どうだったんだい?旧友さんの方は」
タケルの家。
「ああ、うん。いや、実は居場所が分かったんだ。今も元気だってさ」
「おお、よかったじゃないか!」
タケルは嬉しそうな顔をした。
「で、どこにいたんだい?その子は」
「千葉」
「はあ?」
「いや、だから千葉」
「滋賀?」
「いや、千葉だよ」
「・・・はあ?」
「だから千葉県にいるんだってば。千葉県。僕たちの高校がある場所」
瞬間、タケルは爆笑した。
考えてもみれば無理もない。長野にいると思っていたら、逆に遠ざかっていたのだ。しかも「千葉?本当に?千葉?」
タケルがしつこく聞いてくる。
「そうだよ、千葉だよ」
「お、おい、千葉つっても広いよな?成田空港、ディズニーランド、九十九里
、房総半島。で、どこなんだい?」
「大学も教えてもらった。・・・大学だって」
タケルはまた、笑い転げた。
「それ、俺たちがよくオープンキャンパスで遊びにいったところだろう?食堂がタダで食えるとかいって」
オープンキャンパスでは受験生はお客様。食堂もタダで食べることができる。
「そうそう。そこだよ」
「ええっ!じゃあ、本当に近かったんじゃないか。ハハ・・・」
「本当に。まったくの無駄だったよ。同じ空気を吸ってたのに・・・。」
「それどころか、電車で隣の席に座っていたかもしれない。そうだろう?」
「そのとおりだ」
「それに気づかないで・・・。自分の初恋を思い出したとか言って・・・。」
「うるさいな」
「いや、悪い悪い。だって、ね・・・」
さすがに僕にもこみ上げるものがあった。
「おい、いい加減にしてくれよ」
「うん、悪い悪い。じゃ、お前はもう帰るのか?」
「さすがに今日は帰らない。君に恩を感じてるしね」
「感じてないぜ?だって、3日もいないからな」
「・・・そうなんだけどさ」
「ま、明日ってことか。ゆっくりしていけよ?」
「悪いな、色々」
「明日にとっておけよ、そういう言葉はさ」
僕らはそのあと、初日のようにスーパーで総菜を買ってきて、パーティを開いた。
とても楽しかった。
「じゃ、いくか」
「行こう・・・忘れ物はないハズだ」
「本当か?パンツなんて置いて帰るなよ」
「まさか。そんなものを置いていったら、僕は全く恥じだね」
「違うのか?」
「・・・うるさいな」
タケルは部屋の扉を閉め、鍵をかけた。
タケルはバイトをサボってくれた。僕は一人で帰れると主張したが、それでも見送るといって聞かなかった。
結局、午前中に帰るのはやめにして、午後に帰ることになった。
タケルとテレビゲームで遊んだのだ。確かタケルも僕と同じく、ゲームが苦手だったハズだが、「なんとなく買おうと思ったんだ」と何でもなさそうにコーラを飲みながら言った。
タケルの部屋をでてから、僕らは一言も喋らなかった。ただ、喋ってはいけないという空気が出ていた。
そんなふうに二人でただ黙って歩いて、この街並みを眺めていて、ふと思った。
ここは長野だ、確実に。
ここは千葉じゃないんだ。
もう馬鹿げたことは考えない。空が違う、空気が違う。だからここは千葉じゃなくて、長野なんだ。
それでいい。
・・・それでいいんだ。
僕らは結局、ずっと黙っていた。
こうして改札を目の前にするまで、ずっと黙っていた。
やっと別れを目の前にして、やっと僕が口を開いた。
「じゃ、ありがとな」
「おう。ま、上手くやるんだぞ?」
「任せてくれよ。もう大丈夫だ。」
「お前、家族に書き置きを残したりしてないだろうな?家出します、って出てきたヤツがノコノコ帰ってくるほど滑稽なものはないぞ」
「もちろん、大丈夫だよ。・・・ファブリーズいらないかい?」
「はあ?ファブリーズ?」
「うん。太陽の香りとかいうやつだけど・・・」
「いらない、いらない。そうか、ファブリーズまいてたのか。どうりで気に入らないにおいがすると思ってたんだよ」
「洋服にやってただけだぞ」
「俺、嫌いなんだ。ファブリーズ」
タケルがフッと笑った。
別れが近づいてる。
「なあ、俺今哲学にハマってるんだ」
「そうかい」
「うん。そこで、俺は哲学という学問について、少し思ったことがある。」
「なんだい?」
「哲学なんて、そいつが素晴らしい理論を立てることが素晴らしいんじゃない。素晴らしいことをいったヤツが素晴らしいんだ」
「・・・よくわからないな」
「そこで、俺も何か説を打ち立てたい。そこにくっついてくる理論も根拠もないけどな。
お前に評価してもらいたい」
タケルは少し呼吸をした。
「理性とは、人間が作った最後の砦だ。これが無くなったとき、人間は動物となる」
「わからないよ、お前の言っていることが。」
「わからない?・・・そうか、わからないか」
タケルは苦笑いをした。
僕には意味がわからなかった。
・・・なんだっていうんだ?
「早く言った方が良いぞ。そろそろ時間が近い」
「うん」
「じゃあな、元気でな」
「ああ。そっちも元気で。じゃあな」
タケルは苦笑いをしながら手を振った。
僕は困惑しながら手を振った。
僕は改札に向けて歩き出した。そして気づいた。
「お前が言ってることって―――?」
タケルはまだ、悲しそうに、悔しそうに、笑いながら手を振っていた。
僕は前を向いて歩き出した。
改札に入った。
ゴミ箱を見つけた。
僕はバックからまだ新品に近いファブリーズを取り出し、ゴミ箱にぶち込んだ。
別れだった。
千葉に新幹線は通っていない。
やたらと早い、私鉄の特急列車があるだけだ。
ああ、なんにも解ってなかったんだな。僕はほんのちょっぴり思う。
でも、これでいいんだ。これで。
僕は携帯を開いて、SNSのアプリを立ち上げる。
案の定、タケルは僕をブロックしていた。
車窓の景色が、だんだんと都会になっていく。
そういうことなんだ。
東京の地を踏んで、在来線に乗り換えて千葉に戻ってくる頃には、あたりは
暗くなっていた。
千葉だ、と僕は思う。
なんだか出かける前より気温が高くなっている気がした。
最寄り駅から自宅へはだいたい十分。
ダラダラと歩いていれば、あっという間についてしまう。
「あら、早かったのね」
「えっ?」
「合宿じゃなかったっけ?英会話研究会の」
「そうだよ」
「ふうん。あっそう。・・・一週間ぐらい出かけるのかと思った」
「僕の晩ご飯は?」
「ない。もう食べ終わっちゃったから。何かテキトーに食べて。」
「じゃあ、出かけてくる」
「カップラーメンあるけど?」
「そうする」
帰ってきてすぐの会話がこれだ。
まったく・・・。
だけれど、やっぱり自宅は良い物だ。
心が落ち着く。ここに何もかも守られている気がする。
ここを捨てるなんて、僕には有り得ない。
僕の家はここしかない。
え?誰が家出をしたんだって?
まったく・・・。
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