千葉―長野の呪縛
僕は大学生だ。
もっといえば文系の大学生、法学部にいる。
結局パイロットになる夢は、著しい視力低下であきらめた。
でも、僕はそれでもよかったと思う。結局、この18歳という年齢になることで、あの幼い約束を思い出すことで、なにもかもを捨てる決意ができたのだから。
とはいえ実を言うと、車の免許さえとれていない。車の免許をとるつもりで貯金を進めていたのだが、カズネちゃんのことを思い出したとき、車の免許など取っている場合ではないと思ったのだ。もちろん、免許をとれるから18で会おうと約束した訳なのだが、改めて考えてみれば新幹線が通っているのだ。身軽な荷物で僕一人が長野に行く分には、新幹線で行けばいいのだ。
それにもう、千葉での生活なんてどうでもよくなっていた。
それぐらい、僕は約束のことで頭がいっぱいになっていた。
すべてを捨て、長野に行く。その日に何もかもを失うんだ。
そして、それは明後日だ。もう新幹線の座席は確保した。もう、行くんだ。
「ねえ、母さん。」
「なに?大学生にあげるお小遣いなんてあげないわよ?」
「わかってるよ、ちょっと来週から出かけてくる。」
「どこに?」
「新潟。サークルの合宿だよ」
「あんたのサークル、なんだっけ?」
「英会話研究会」
「新潟で何を英会話するっていうのよ」
「それは・・・まぁ、旅行みたいなもんだしね」
「そうかい」
今日は土曜日。
そして次の日は日曜日。
この日は荷造りをした。
今までの旅行とは話が変わる。だって家出なのだから。千葉の何もかもを捨てて、居るべき場所へ向かう。
それが僕に与えられた使命なのだ。
とはいえ、そんなに多くの荷物はいらない。何着かの洋服と、下着、そして本を数冊。必要なのはそれだけでいい。あとはパソコンとケータイ、その充電ケーブル、あとマグカップ。これがないと、落ち着かない。これは僕が小さい頃から、長野に居た頃から使ってるコップだ。
僕は明日、精神的な意味での家を失う。明日から、僕が本当に心の底から家と呼べるのは、このマグカップが見える空間だけなのだ。これがあることで、僕はどこでも家を作ることができる。
使うか使わないかはたいした問題ではない。問題なのは、持っているか持っていないかなのだ。
メッセージの受信を告げる受信音。
『明日だよな?来るの。』
『そう。悪いね。』
『いや、全然歓迎だよ。なにせ、一人暮らしなんてつまんなくて仕方が無いんだ』
『実家には帰らないの?』
『そうだな、まあ夏の間は帰らない。こっちでバイトするつもりだしな』
『そっちは暑い?』
『そんなに。きっと、お前が居た頃と変わんないよ。』
『ほんと、不思議な巡り合わせだ。君が、僕の生まれ故郷の街の大学行くなんて』
『そんなに不思議でもないだろう?長野と千葉なんて、新幹線でヒョイじゃないか』
『・・・まあね』
『積もる話はまた明日。1時に会おう。着いたら電話してくれ』
『オッケー』
僕は早めに寝た。明日からのこと考えると、決意したこととはいえ荷が重かったのだ。
千葉に新幹線は通っていない。
新幹線は速い。
注意深く外を眺めていないと、あっという間に景色が流れてしまう。
そんなに車窓からの景色を楽しみにしていたわけではないが。
携帯に目を落とす。今日もくだらないニュースが世間を駆け巡る。
誰が熱愛だ、誰が不倫だ、誰が不正だ、まったく、世の中の関心事というのはつまらないことばかりだ。
僕はゲームは不得意なタイプなので、SNSや調べ物をするぐらいしかスマートフォンの使い道を知らなかった。ジョブズも余計なことをしてくれたものだ。
もちろん、事前にカズネちゃんのことはフェイスブックで検索してある。が、それらしい人はヒットしなかった。きっと、機械モノは苦手だったから、使うつもりがないんじゃないだろうか。
ガッカリ半分、安堵が半分。
よくよく冷静になって考えてみると、棒は約10年近くカズネちゃんとは連絡をとっていない。
カズネちゃんは東京の大学にかよっているのかもしれない。あるいは、もっと遠く離れた、関西だとか九州だとかの大学にいるかもしれない。
もっと気になるのは、カズネちゃんの恋事情だ。
僕はカズネちゃんのことなんてさっさと忘れて、別の女の子を好きになった。カズネちゃんも同じように別の長野の子と仲良く、親密な、恋、をしてしまっているのかもしれない。
そしたら僕はどんな顔をすればいいんだろう?
車窓から見える景色は段々と、緑豊かな田舎の空気を漂わせている。
『着いたよ。長野降臨だ』
『いるべき場所に戻った?』
『わかんない、何も感じない』
『おいおい、思いついてから、今日になるまで、時間はたくさんあっただろう?』
『うん』
『じゃあ、イメトレとか、期待だとかあるだろ』
『うーん。』
なにせ、思いつきで何も計画したり、想像したりしていなかったのだ。
彼は内山タケル。
彼は長野県の、僕が生まれ、カズネちゃんと幼い恋に落ちた街の、工学部に通う。
めがねをかけて、暇があれば創られた『美少女』について考えているタイプ。
よくいる「オタク」なタイプ。
「やあ、久しぶり」
「久しぶり、元気かい?」
「千葉に居た頃の80%運転、って感じだ。なじめない」
「僕が居た頃とこの街が変わらないのなら、ここに住む人間の殆どは、この街が大都会だと思ってる。自分が田舎者であることには気づいてない」
「なら、千葉と一緒じゃないか」
「・・・そうだね」
タケルは笑った。
「俺んちまでは、在来線に乗り換えていくことになる。いいよな?」
「なんだよ、最寄りの駅を言ってくれれば、そこ集合でよかったのに」
「何言ってんだよ、一秒でも早く逢いたかったんだよ」
「気味が悪いな」
「行くぞ」
タケルは歩き出した。
「どうだ?千葉のほうは」
「そういえば、若本が大学やめたらしい」
「なんで?あいつ、頭良かったろ?」
「だからこそみたいだ。浪人するみたいだよ」
若本は文系で一番の成績をとっていた天才だ。
「へえ。ほかには?」
「ほか・・・。水谷が痴漢捕まえたんだよ。知ってる?」
「それは知ってる知ってる。で、駅員が水谷が暴れてるモンだと思って、水谷を最初連れて行こうとしたんだっけ?」
水谷は柔道部の部長だ。ガタイがよく、筋肉では誰にも負けなかった。
「そうそう。それには後日談があってさ、どうやら合意の上だったらしくてさ。その痴漢行為そのものが」
「はあ!?」
愉快そうな驚きの声があがる。
「警察側も、鉄道側も、事件化するのは面倒くさがったみたいでさ。人助けなんて、するもんじゃないなって笑ってたよ」
「そりゃあそうなるわな」
「どう?そっちは」
「コッチ?なじめない、はさっき言ったっけ。いやあ、インターネットだSNSだってあったって、やっぱりさみしいモンはさみしいな。距離を感じるよ。」
「へえ。」
改札をくぐり、ホームへ下った。
「この辺の人はあれだな、なんというか・・・おっとりとしてるっていうのかな」
「おっとり?」
「マイペースが強いんだよ。例えばご飯にみんなで行こうって話になるだろ?」
「うん」
「どこに行くかで雑談が始まるんだ。あそこは旨いが高いだの、あそこに行ったら誰々が働いてるだのさ。結局、そのとき居た奴の家にいって次回の飯をどこで食べるか話して終わったんだ」
「マイペース・・・だな」
「そうだろ?」
電車がやってくる。確かに、なんだかおっとりとしている気がする。
「ここが我が家だ。君の住処となる」
「ほお・・・。うん、いい部屋じゃないか」
「そうか?」
「学生向けとしては上々じゃないか?」
「家賃も安いんだ。少なくとも、最初行こうとした大阪のアパートよりは安い」
「へえ。おっ、風呂洗ってないな」
「うるせえ。閉めとけよ」
電車の中で積もりに積もった話を散々したあと、僕らはタケルがいつも買い物しているというスーパーに寄って夕飯のお総菜を買った。「いや、ほら、歓迎パーティだよ」
タケルの提案だった。
お総菜を買ったあと、タケルが通うキャンパスを少しフラフラした。タケルが大学を紹介してくれたが、理系学部しかないらしく、僕にはさっぱりわからなかった。
「ま、テレビでも見ててくれよ。このアパートすごいんだぜ?ケーブルに加入してるんだよ」
「何か手伝えることがあるんだったら・・・・」
「何もない。見ての通り、使いたいモノは手の届く範囲にあるから、手伝われる方が逆に邪魔なんだ」
「わかった。まあ、暇つぶしてるよ」
タケルは米をとぎ始めていた。
一応、社交辞令というか、確認しておこうと思い、テレビをつけてみた。
ローカル番組がやっていた。どこの商店街がいつから祭りだとか、聞いたこともない会社が何を宣伝したいのかイマイチわからないCMがやっていた。
「やっぱり、○×不動産だね!」
初老の男性がサッカーしていたCMが、なぜ不動産会社につながるのかわからない。
お世辞にも面白い場組はやっていなかったので、僕はポケットから携帯を取り出して、地図のアプリを開いた。
昔の家とタケルの家がどれだけ離れているのか確認するためだ。
経路検索で、タケルの家の住所と、僕の昔の家との住所を結んでみる。
徒歩で30分。ただ、国道に沿っていけばいいので、経路としては簡単そうだ。
昔の自分の家が今どうなっているのかもわからない。だが、僕の本当の父親(いわゆる生物学上の父親)は離婚後に別の市へ引っ越したはずなので、無人か別の人が住んでいるかということになる。まあ、別の人が住んでいるのだろう。
「つまんないだろ?テレビ」
「ああ、正直なことを言うとね・・・。」
「そんなんじゃ、アニメも禄に見られないから、ビデオ配信のサイトに入会したさ。月500円で見放題。最近の悩みの種は寝られないことだ」
「そんなに?」
「これがさ、次の配信を待っている間に、別の奴に手出しちゃうんだよ。そっちも面白くなって・・・。で、その繰り返しだよ」
「僕も入ろうかどうか迷ってたんだ。」
「お勧めはしない。便利なことは間違いない。使いようだね」
「ふむ・・・。」
「米、もう炊いちゃっていいよな?」
「僕はかまわないよ」
「ううんと、よし・・・と。何せ、米炊くのは久しぶりだ。まともに食事してなかったからな」
「やっぱり、面倒くさくなるの?」
「もちろん。だいたい、レパートリーもないからな。自分の料理に飽きて、めんどくさくなる。料理のサイトなんて見る気が起きないんだ」
「そういえば、彼女は?」
「工学部に女のこはいない・・・まあ、ある程度はいるんだけどさ」
「いないのか」
「そうだな・・・。絶えず努力はしてるつもりなんだけどな・・・」
「写真サークル、近所の大学と合同でイベントやるんだろ?そっち方面は?」
「ああ・・・。そういうのはな、しっかりイケメンしかみてないんだ」
「そうか・・・。まあ、いつかできるだろ」
タケルは部屋の方に戻ってきて、テーブルを挟んで向かい側に座った。
「半分、あきらめかけてる。でもそれで俺はかまわないんだ」
「高校の時、好きだって言ってたクラスメイトはどうした?この前SNSで話しかけたんだろ?」
「話しかけたさ。最初の方は、懐かしさでなんとか乗り切れたんだけど、こっちが話を延ばそうとしてるのがバレたみたいで、そのうち素っ気ない態度になったよ」
「落ち込むなよ」
「長野なんて地の果てに居る奴に対する感情なんてそんなもんだよな。インカレ入ったって言ってたから、きっと今頃イケメンと仲良くやってるんだろうよ。」
「男になんの興味も無いとか言ってたじゃないか。あの人」
「それでも、高学歴のイケメンが出てきたら話が別だろ?あの女子大、確か一流私立が近くにあったはずだ」
「よく調べたな・・・。」
「インカレ、って言葉が出てきたときに、どんなとことインカレやんのかなって気になったんだよ」
タケルは怒っていた。
そのあとは、ご飯が炊けるまで特に会話をすることもなく、テレビを眺めてみたり、ニュースを確認したり、だらだらと時間を過ごした。
二人とも、意識的にカズネちゃんの話は避けていたのだ。僕はそんなタケルの計らいに感謝した。
僕が幼稚園生だったとき、お手紙交換というのが流行った。
流行り、というかそれはもはや子供なりの登竜門であったのかもしれないが、とにかくカズネちゃんと僕は文通をしあった。
「おはよ、シュウくん」
「おはよう!カズネちゃん」
「ハイ、今日のお手紙。次はシュウくんが返事を書く番なんだからね」
「うん。わかってるよ」
幼稚園の送迎バスはカズネちゃんと隣の席だった。僕が先に乗り込んで、あとからカズネちゃんが乗ってくる。
送迎バスのルートからいえばそういうことだ。
手紙について、僕らは毎日交換しあっていたので、それは殆ど交換日記になっていた。
「シュウくんへ
きょうは、てれびをみました。
そのてれびは、おもしろいなぞをときあかすてれびです。
シュウくんがすきそうなてれびだったからみました。
シュウくんはみましたか。
わたしは、ぱわーすぽっとがきになります。
そこにいくと、らっきーがもらえるみたいです。
ぱぱにつれてってっておねがいしたけど、だめだっていわれました。
カズネより」
「おはよう、シュウ君。ちゃんとお手紙書いてきた?」
「もちろんだよ、だって昨日帰ったらすぐやったんだ」
「えらいね、シュウ君」
「えっと・・・ハイ」
「ありがとう!」
僕は小さい頃からモノを大事に扱うのが苦手だった。
それはお手紙も例外じゃなかった。
「カズネちゃんへ
ぼくもそのてれびみたよ。おもしろいとおもいました。
ぱわーすぽっとよりも、きょうりゅうのはなしのほうがぼくはすきだな、っておもいます。
らっきーといえば、ぼくはきょう、うらないで1いだったのに、いいことがありませんでした。
しかも、きのうもぱぱとままはけんかしてました。
みんな、なかよくなりたいのになあ・・・。
シュウより」
「シュウ君へ
ままは、うらないはくだらないからみないほうがいいっていってました。
でもでも、わたしはままがざっしのうらないをきにしているのをしっています。
わたしもままがいないときにはざっしのうらないをみます。こんしゅうははーとが5つもありました。
シュウ君のままとぱぱは、きっとなかよくなりたいんだとおもいます。ままがいってました。けんかするほどなかがいいって。けんかしないとなかよくなれないのかなあ。
けんかをしないで、あいてのことをわすれちゃったとき、それがほんとうにきらいになったということだとおもいます。
わたし、ちょっとへんかなあ・・・。
カズネより」
そんなお手紙は、すべて大事に保管してある。
もちろん長野にもってきた。
「なあ、お前今日からどうするんだ?」
タケルは言った。
長野の朝日も、千葉の朝日と変わらず眩しく輝いていた。
歓迎パーティも終わり、狭いワンルームで二人寝た。別に異論は無い、身を置いてくれるだけでありがたいのだ。
ただ・・・。タケルのイビキはおそろしく大きい。壁を貫通して隣の部屋にまで伝わっていることだろう。
「うーん、とりあえず、長野に居た頃の家に行ってみるよ。あるかどうかわからないけど」
「そうか。俺、今日バイトだからさ。家の鍵なんだけど、どうしようか?」
「そうだな、どこかに隠しておこうか?」
「どこに隠す?最近は物騒だぜ」
「こんな学生ルーム漁るか?」
「わかんないだろう」
「オッケーこうしよう、俺、今日は夕方までだから、6時には家に居ると思う。6時が門限だ。君に鍵を渡しておく。6時までには家にいてくれ」
「わかった。異論は無いよ」
「うん・・・。なあ、俺、イビキすごくないか?コッチきてから思ったんだ。最近、自分のイビキの五月蠅さで目が覚めるんだ。」
「いや・・・うん。えーっと。考えすぎ、ってこともあるだろう?」
「正直に言ってくれ」
「・・・けっこう、大きい音だなってほんの少しだけ思った」
「そうか。そりゃそうだよな」
彼のイビキは、高校時代の合宿や修学旅行から有名だった。
「じゃあな、6時だぞ」
「はいはい、わかってるよ」
「俺、今なら母親の気持ちがわかるかもな・・・。じゃ」
ドアがパタンとしまり、タケルは出ていった。
さて、僕は出かける準備をしなければならない。
大きな旅行用バッグのほかに、出かける用の手提げも持ってきておいた。
こんな真夏の中を歩くので、制汗スプレーや汗ふきシートなど一式は絶対必要だ。
ほかには、一応ケータイ用のモバイルバッテリー。これで不自由はないはず。
テレビがつけっぱななしになっていた。僕は少し眺めてみることにした。
夏休みなので、自由研究に関する特集をやっていた。いったい、世の中の10円玉をどれだけピカピカにすれば気が済むんだろう?
僕は呆れてテレビを消した。
服を着替えて、歯をみがく。準備は万端だ。
家を出た。鍵はズボンのポッケにしまった。
夏は暑い。この常識は今も昔も変わらない。温度が多少変動しているだけだ。暑いという事実には変わりない。
ケンの家から少し歩いて行くと、スーパーやドラッグストア、ファミレスなどが並ぶ通りがある。その長い通りを抜けると、国道だ。
歩いているだけで、ダラダラと汗が流れてくる。きちんと調べたわけではないが、何日も猛暑日を記録していることだろう。おそらく。
こうして歩いていると、案外千葉とあんまり変わりが無いことに気づいてくる。千葉にもこんな通りはあって、そして大して変わりの無い人通りだ。
ここは本当に長野か?僕に問いかける。
タケルは居るし、千葉と変わらない通り。僕はどこを歩いているんだ?
地名が書かれているところに目をつむれば、ここはもう千葉だ。
そんな錯覚に陥る。ここは当然長野で、ここを歩いている人たちはみんな長野の人たちだ。長野の常識と秩序が支配する。
僕が長野から千葉へと引っ越したあの頃、おんなじ錯覚に千葉でも陥った。ここは本当に千葉県なんだろうか、と。
僕はそんな錯覚、混乱を、千葉―長野の呪縛、と名付けておく。名前の通り、これは僕固有の呪縛だ。
だいぶ汗を流し、途中コンビニに寄ってジュースを買ったりしながら歩いていると、僕が住んでいた家の近所にやってきた。
これだけ近づくと、やはり記憶はよみがえってきて、あの頃はここは畑だったのにな、とか、このコンビニじゃなくて別のコンビニだったのにな、とか思い出してくる。
記憶と全然違っていることにも気づかされる。
昔すんでいた家の近くには工場があって、そこにいるおじさん達はいつも小学生に恐怖感を与えていた。彼らが意識的にそう見せていたのか、それとも小さな子供の勝手な妄想なのか、それはわからないが、その工場は記憶の中では大きな工場であった気がしていた。しかし、その工場の前を通ると、なんだか小さな町工場で、決して自分が幼い頃に描いていたもの、記憶にあったものとは全然異なった。改築した可能性はあるが、それは考えられなかった。自分が居た頃と、全く変わらないようなことをしていたからだ。
そしてその角を曲がると・・・。
僕の昔の家があった。
何も変わらなかった。約十年を過ぎた今も、僕の記憶にあったとおり、それは建っていた。
とはいえ、別の名前の表札があり、三輪車やマウンテンバイクなど、僕の家ではなかった。
あまりジロジロと見るわけにはいかないので、通りすぎるときにチラリと目線をおくっただけだ。でもわかった。
完全に他の人の家だった。
もう僕の家ではなかった。今、僕の心の中に家と呼べる場所は全くなくなった。
・・・そうか。そりゃそうだ。
僕はそれから、かつて僕の我が家だった場所から、長野にいたころ通っていた小学校へと向かうことにした。
僕の記憶の中では、田畑を横切って学校に向かった気がしたのだが、その道は住宅が建っていた。これは記憶が間違っていたのではなくて、おそらく住宅地として開発されたのだろう。
お寺なんてのもあった。
千葉に行って、カズネちゃんのことをすっかり忘れて好きになった女の子の話をする。
僕と彼女の出会いは中学校で、同じ部活、硬式テニス部に所属していた。
同じ部活、といっても顧問は2人いて、男子部員と女子部員の部活は全く別だった。女子は大会での好成績を目指していたが、僕ら男子部員は全くといっていいほど、やる気が無かった。おそらく思春期のせいだろう。
そこでフェンス越しに見た彼女に一目惚れした。髪はセミロング、後ろにポニーテールで束ねて、顔は小さく、とっても愛らしい。少し汗をかきながら、しっかりとボールをとらえようとしている女の子。学年で一番、というほどではないが、彼女に夢中になる男は少なくなかった。
僕は彼女を見たとき、この世のすべてを忘れた。
必死になって覚えた墾田永年私財法の漢字も忘れた。
鼓動は早まり、彼女から目が離せなかった。
好きになってしまったのだ。そのとき、カズネちゃんのことなんて何も頭になかった。
そんな彼女に勝手に片思いを抱いて三年、僕と彼女はメールのやりとりをしたり、学校で会えば話し込んでみたりなど、仲良くなっていた。僕は夢中になって話題を考え、飽きられないように、面白がってもらえるように、工夫を凝らしながら緊張に震え、メールを送った。
中学1年生で出会って、3年後だから当然卒業がやってきた。
僕はなんだか知らないが自信があった。彼女は少なからず僕に好意を抱いているに違いない、少なくとも、誰とでもいいから(当時、僕は世界は全く汚いモノだとオリジナルの世界観があった)恋愛をしたいに違いない。それは僕でも差し支えないだろう。
実際、幸運だったのか正解だったのか、卒業式に僕が彼女に告白すると、僕はOKの返事をもらえた。
僕は天にも昇る気持ちだった。すべてが輝かしく、すべてがどうでもよかった。
僕は高校に入学するまでの間、デートを楽しんだり、普段の会話やメールを心から楽しんだ。
僕の頭の中には、その子のことしかなかった。
彼女が居ればそれで十分だった。むしろ、彼女以外に何もいらなかった。世界に僕と彼女しかいなければ、アダムとイブが僕らだったら・・・。
僕は彼女のモノだ。彼女だけが唯一の理解者であり、僕にとっての天使であり女神でもある。
そう、僕はもう狂っていた。当時の僕はまさしく情緒不安定で、彼女のこと以外には何も考えていなかった。きっと、まともに病院に行ったら、何か病名を与えられていたことだろう。
彼女に会えるだけで幸せだった僕の幸福は、彼女に会うこと以外はすべて不幸になった。
それならまだよかった。
彼女に会う僕はまだ自然だった。
しかし、彼女と僕は別々の高校に入学することになっていたのだ。
僕の地獄が始まった。
会えないことが問題なのではない。彼女の高校での様子がわからないことが苦痛だったのだ。
もし、彼女が別の男を好きになったら・・・。
もちろん、僕のそんな情緒を外には出してはいない(と思う)。
僕は彼女と仲が良く、僕とも仲が良かった共通の友人にさえも嫉妬した。彼に対して本当に申し訳ないことをしたと反省している。
そんな調子だったから、終わりが近づくと僕自身でさえ、僕のめんどくささに呆れていた。
僕の言動は『重かった』のだろう。高校へ入って1ヶ月もしないうちに別れを告げられた。
僕は天使と女神をいっぺんになくした。
僕の心の中は一気に空っぽになった。
その時点でゼロ。自傷行為さえしなかったものの、何もかもやる気が起きなかったのは間違いない。心にポカンと穴が開き、耐えきれない喪失感を味わされた。
それでも、僕が高校というコミュニティーに居る以上、普通の、一般的のコミュニケーションをとろうと努めなければならない。
そんな少しずつ、僕という自我を着実に取り戻している時に出会ったのが、タケルだった。
僕は彼のおかげで、自分を取り戻すことができた。
約10年ぶりにみる小学校は、記憶と何も変わらなかった。
正門は別にあるはずなのだが、僕は一度も使ったことがなかった。というより、学校側も裏門からの入校を推奨していた。正門は基本的に業者や保護者の入校など、一度事務室を通る必要のある入校者に限定されていた。
正門は大きな道路に面していたのだ。
裏門からはいると校庭をコの字に通らなければならない。僕は正門から入ればどれだけ簡単なことか、小学生の頃は思っていた。
結局この学校通ったのは2年とちょっとで、たいした思い出はなかった。
成長して自我が形成される以前の話なのだ。人類にとっての原始時代。今よみがえらせるべきでは無い感情はそこには眠っている。
カズネちゃんの思い出はもちろん別の話だ。
裏門の前の道には駄菓子屋さんがあって、ここには何度か通った。
もちろん、僕の幼少期とはいえ、駄菓子屋の時代はこの長野でも終わっていた時期だった。
遠足のお菓子を買いに行くとなればそれはスーパーだし、遊び道具は携帯ゲーム機、プラモデルなんて一度もやる気が起きなかった。
でも、なんだか、そのときの友達に連れられて何度かここで遊んだ。あのとき買ったすーぱ-ボールはまだ家に(千葉の出てきた家)の棚かなんかに転がっているはずだ。
少し覗かせてみると、お店はとっくにやめてしまったようだった。あの時代遅れさに魅力があるお菓子達はもう棚にはなく、スッカラカンの店内は、その時で時間を停止させていた。
シャッターがあればこんなに悲壮感も出なかっただろうに。
駄菓子屋さんから離れ、学校の方をみてみると用務員のおじさんが花に水をやっていた。まさか、10年前に2年生で転校したんですけど、ちょっと近くを寄ったら懐かしくなちゃって・・・そんなことはいえない。
僕はおとなしく学校から離れた。
「ふん、シュウ君ってなんにもわかってないよね。女の子の気持ち」
「知らなくてもいいし」
「そんなんじゃ、結婚できないよ?」
「誰とも結婚しないし。馬鹿じゃないの?」
「ふうん?」
「カズネこそブスだから結婚できないぞ」
「・・・シュウ君サイテー」
カズネちゃんの目に涙がたまっていることを知る。僕は頭の中でやめろ、と声がする。
「カズネとかうざいから嫌い。俺に寄りつかないで」
ここで悪友の声。
「シュウ!早くしないとサッカー行っちゃうぞ!」
僕も傷つく。カズネちゃんはもっと傷ついている。
でも、そんなこと気にしてたら・・・。
「おい!シュウ!女にされたくないだろ!早く来いよ!」
体が勝手に動く。僕は抵抗できない。
「今行く!」
目を伏せたカズネちゃんを背中に、僕は悪友に向かって走り出す。
カズネちゃんチの家の前。学校帰りに遊ぶ約束をしていたのに。
サッカーで散々遊んでいるときも、終わってみんなで家に帰っている途中も、僕は罪悪感で心がいっぱいだった。
本当は、ごめんねって謝りたい。あいつにそそのかされたって言いたい。そうじゃないと、女扱いされちゃうから・・・。
でも、カズネちゃんにあんなに言う必要は無かった。そんな当時の僕にだってわかっていた。
友達たちと別れてから、さっきまで逢った威勢がすっかりうせた。
トボトボと歩く。
いつもだったら、このぐらいの時間までカズネちゃんと遊んで、明日も遊ぼうねとか言ってた時間だ。カズネちゃんのお母さんとカズネちゃんが外に出てきて見送ってくれる。
だけど、今日は・・・。
僕は勇気を振り絞る。ごめんねって謝りに行く。たったそれだけ。
目をつぶって、カズネちゃんの家のインターホンを鳴らした。
「はーい」カズネちゃんの母親の声。
「あ、シュウです・・・。カズネちゃん、いますか?」
少し空気が張り詰める。少なくとも僕はそう思う。
「はいっておいで」
優しい声で語りかける。
僕は怒られるのかな?少し怖くなる。
「まあ、話してきなさい?話は聞いたから」
カズネちゃんのお母さんは優しく僕に諭した。
僕は悲しい気持ちを精一杯こめてうなずく。
階段を上る。
いつもはウキウキと楽しい気持ちで上る階段。
今日は何して遊ぶ?
んー、カズネちゃんは何したい?
今日はね、カナちゃんにピアノ教えてもらったからね、それシュウ君にも教えてあげる!
ええっ、僕ピアノなんて弾けないよ。
大丈夫、私、一生懸命教えてもらったんだから!
・・・カズネちゃんの部屋の前だ。
ノック、応答なし。
「・・・ゴメン、今日のことは・・・」
応答なし。
「僕、僕・・・。アイツがいけないんだ。アイツが・・・。」
物音ひとつしない。そこには感情の欠片も感じられない。
扉の向こうはきっと冷たい空間なんだろう。
「でも・・・。ゴメン。本当にゴメン。本当は、カズネちゃんと遊びたかった。だけど、仕方が無かったんだ。そうしないと・・・。本当にゴメン」
「入って」
重たそうなその扉が開く。
明かりはついていた。だけど、いつも輝いていたはずの部屋の中は、ズンと重く暗く、活気という活気を失っていた。
カズネちゃんのベッドが見える。一部分がしわくちゃになっていた。
僕は泣きそうになった。だけどここで泣いちゃいけない。
「私、すっごく傷ついた。悲しかった。だって、シュウ君と遊べると思ってたから。」
カズネちゃんの目は赤く腫れていて、触れたら壊れてしまいそうだった。
「ゴメン、ゴメンよ」
「今日は一緒にアイロンビーズがやりたくて、この前の日曜日にお母さんとビーズのセット買ってきたんだよ?でも、シュウ君はサッカーしにいっちゃった。」
「うん・・・。」
「ママ、アイロンの準備してくれてたのに・・・。」
「・・・。」
「私、いっぱい泣いた。泣いて、泣いて、泣き疲れちゃった。こういうときはね、泣いちゃうのが一番だってママが教えてくれたの。」
「ほんとに・・・ゴメン」
「ううん。でね、泣いてわかったの。ちょっとだけね。シュウ君は、私となんかいるより、ほかの男の子の友達と一緒にいて、サッカーとかカードゲームとかする方が楽しいんだろうな、って。ううん、本当はそっちの方がしたいのかなって」
「違う!違うんだよ!そうじゃないだ!」
「・・・ママに聞いてみたの。本当はそうなのかな?って。」
「僕はカズネちゃんといたかった!一緒に遊びたかった!」
「うん、わかってる。ママは教えてくれたの。男の子は、女の子を嫌いになっちゃう時期があるて。本当は仲良しになりたい人に、冷たくなっちゃうんだって。」
「・・・うん」
「それに、本当に嫌いだったら、あんなに毎日遊んでくれないはずだよって。でも、私わかんない。男の子のそういう気持ち。」
僕は何も返せない。
「だから、私今度は悲しくて泣いたんじゃなくて、訳わかんなくて泣いちゃった。そしたら、少しだけわかった気がする。でもね、聞きたい。本当に、そういうことなのかな?私のこと、本当に嫌いになってない?」
「もちろん!嫌いなんかじゃない!」
「本当に?」
「本当だよ!」
カズネちゃんは泣き笑いを見せる。
「よかった。」
僕は学校を離れた後、習い事でやっていた水泳スクールがあるスポーツセンターへ向かうことにした。
どのみち、初日は長野時代の軌跡をなんとなく辿ろうと思っていたので、ちょうどよかったのだ。
そのスイミングスクールにもいろいろ思い出はある。
国道に出て北へ向かう。
ダラダラと気持ちが悪い汗をかきながら僕は言い訳をする。
いざ長野の地に入ると、なんだか尻込みしてしまうのだ。
カズネちゃんに会えるという不安、期待。
実際、十年も会ってない相手に、子供の頃の約束を振りかざされて追っかけられる気分というのはどんな気分なのだろう。
一番現代チックにいえば、ストーカーに当てはまるのではないだろうか。ストーカーと気持ち悪がられたらどうしよう。それどころか、通報されたらどうしよう。
どうか・・・。どうか。
でもそんなの虫が良すぎる話だと僕は思う。
カズネちゃんの言うとおりに受け入れるしかないのだろう。
たとえ通報されても、あるいは気味の悪いストーカーとしてニュースになってもかまわない。
すべてを受け入れて・・・。
本当に?
踏ん切りがつかない。
まあ、こうして勇気が出ないのはなんとなく自分でもわかっていたし、初日はこれで仕方ないだろう。妥協するしかない。
でも、明日は駄目だ。明日はカズネちゃん捜しに向けて、行動をとらなければならない。
まあ、成人するまでのこの二十年を振り返ってみるのも・・・、いいかもしれない。
僕はその後、スポーツセンターに行って、通った私立の幼稚園や、家族でよく言ったカレー屋さん、雑貨屋さん。よく政治家が演説しに来たスーパーだとかに行った。
いろんなことを思い出させてくれる。
そして気づかされるのだ。
僕の長野時代の記憶は、カズネちゃんなしには始まらないのだと。
そんな訳で、僕は六時前にはきちんとタケルの家に戻っていた。
「で、まさか、思い出巡りで一日過ごしたわけじゃないだろう?」
「・・・情報収集だよ」
「そうかい?」
タケルは笑った。
「まあ、何でも良いけどさ。こういうのって、早めに行動しないとどんどん、ああどうでもいや、明日でいいやって繰り返さないか?」
「別に何も行動を起こさなかったわけじゃない。明日、幼稚園が同じだった人と会うんだ。今日、連絡をとったんだ」
「何で?」
「SNS」
「じゃあ、千葉でもできたことだな」
その通りだ。
僕らはラーメン屋にきていた。
タケルが家に帰ってきたとき、僕はちょうど夕飯の準備でもしようと思っていた。何も作れないとはいえ、寝床を借り、一日ぶらぶら歩き回った上で、アルバイトで疲れている竹rににメシを作れ、なんて要求するわけにはいかない。
カビが生えていた風呂を洗い、料理サイトのアプリをダウンロードして、野菜炒めでもつくろうと冷蔵庫をチェックしていたときに、タケルが帰ってきたのだ。
しかし、タケルは「俺は今日ラーメンの気分だ。こってり系のラーメンが食べたい」と宣言して僕を急かした。
タケルがお気に入りの店は確かにこってりで、麺とスープはしっかりと絡みつき、麺をもちあげると一緒に麺の水面があがったほどだった。
「どう?そいつの感じは?幼い頃とは変わってた?」
「髪の色は変わってたけど、まあ似合ってた。たぶん大きな変化はないんじゃないかな?写真から言えば」
「そいつはいいことだな。だって、10年ぶりに会う奴だもんな、全く変わってたら、それはもうただの別人だもんな」
「そう思う?」
「そう思うとも。別人には用はない。用があるのは俺が気に入った友達だけ」
「そうか」
僕はレンゲで少しスープをすすった。
「なんだかな・・・。俺はくちゃくちゃ音を立ててモノを食う奴、だいっきらいなんだ」
「知ってるよ」
「あのオヤジ、」
タケルはカウンターの隅っこで食べていた中年男性を見えないよう指さした。
「ずっと、くちゃくちゃ言ってるんだよ。ほんと、耳障りで不愉快だ」
「仕方ないよ、それが飲食店というものだろう?」
「アイツ、なんつたっけ。くちゃくちゃお弁当食ってた奴」
「ああ、高校の話?若松だろ?」
「あいつを思い出したんだ。なんとなくね」
「・・・そんなに寂しいのか、ここにいるのは」
「最近は、すべてがそれに帰着する。全部高校時代につながってしまう。悪い癖だよ。前進しなくちゃいけないのに。」
「一度、千葉に戻った方が良い。千葉に戻って、みんなに会うんだ。」
「それじゃ、何も解決にならない。ずっと過去に縛られたままになる。もう俺は高校性じゃないんだ。みんなも高校性じゃない。道は分かれた。たまに振り返ることはあっても、戻っちゃいけないんだ」
「そういうことって、僕は必要なことに感じるな。」
「何故?」
「大事なことを何か見落としているかもしれない。道に迷ったら、わかるところまで戻って地図を確認したりするだろう?同じことだよ。自分が確かに解る場所に戻って、そこからやり直す。誤った道に進まないように」
「俺が道に迷ってるとでも?」
「そうは言ってない。可能性のレベルの問題だよ」
「・・・成長したんだな、お前も」
「えっ?」
タケルは苦笑いした。
「お前と初めて会った頃、お前は本当に頼りなかった。みんなと同じになることに固執していて、特異な存在を嫌って回ってた。でも今は違う。自分の考えがあって、それを納得してもらおうと努力する」
「楽だったんだろうね。みんなと同じになることが」
「でも、俺は思うよ。その考えにハマりすぎると、みんなと同じを否定すれば自分のアイデンティティが確立されていると勘違いするんだ。大衆や大きな体制を批判し、それが英雄だと勘違いする。自分の己を失うんだ。一貫性を失う、思考を失う」
「空っぽになる」
「そうだ。そういうことだ」
「それも楽だろうな」
「楽だ。楽だろう。どっちも楽だ。大きな流れに身を任せるのも、それを否定するのみの存在になることも」
「僕は思考を持った人間になれるかな?」
「なれるさ、きっと。ならなきゃいけない」
「どうやればなれる?」
「少なくとも、前進するところからだろうな」
「それには道を戻ることも必要だ」
「これじゃ、水掛け論だな」
僕とタケルは一緒に笑った。
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