第一章 第三話 ~ワルプルギスの夜~ 後篇Ⅰ
前書き
入学式を終えた俺はいつものようにアパートにいた。とあることで挫けた俺・・・。講義は2日連続休んでいる。
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俺は女性用下着を差し出してギヤとぺカドルに土下座していた。
ぺカドルは頑なだった。「そんな暑苦しいのは嫌じゃ。儂は着んぞ。」
俺は必死だった。「そこをなんとか!」
「お願いします。俺の身が持たないんです。ずっと直立姿勢で痛いんです。生殺しなんです。」
ギヤが言った。「私たち死神は本来、ヌーディズムなのよ。これは伝統よ。それにローブがあるからいいでしょ。」
「ヌーディズムってなんなんすっか。もうマジ限界なんです。」俺は悶々としていた。
ぺカドルは続けて行った。「まぁ、この世界でいう裸族のことじゃな。」
―――いや、そういうことを聞いてるんじゃなくて・・・。
俺はギヤとぺカドルが下着を着ることを渇望していた。
「この世の名が高き死神様ァあああ。お願いしますぅうううう。」と俺が叫ぶと同時に玄関から――――。
「入るぞ~。」と隼人の声。
隼人は見てしまった。下着の前で土下座し、中2な感じで叫んでいるこの俺を。
俺は人生を詰んだと思った。裸に近いロリ美少女。かつ、ブラジャーとパンティの前で土下座する俺。
隼人はきっと、大きな勘違いしている。恐らくそれは、この俺が美少女らを監禁して自分好みにカスタマイズ。さらに育て上げた美少女をお楽しみとして俺の嗜好に合わせて下着を着ることを「強要」されているに違いないだろうと。ヤツは俺を軽蔑しているのである。それは俺の正義感が許せない。今すぐヤツの考えを正さねば―――。と思ったが、事が急すぎる。エロ本でマスを掻いてる現場を見つけられるのとは訳が違う。俺は動揺しまくっていた。そして、「逮捕」の二文字が浮かんだ。
「ふぇええええええええええええええええええぇえええーー。」
その間抜けな俺の声と一緒に隼人は驚いた。
「・・・。何、やってんだお前?」と呆れていた。
「なんでブラを拝んでんだ?」
「違うんだああ、隼人聞いてくれぇええ、これは誤解だああ。いや~死神、じゃなくて、この子らは・・・。」
「お前、何言ってんだ? 死神? この子ら? 頭大丈夫か?」
「ん? ん? 」
「えーと、この部屋にいるのは僕ら2人だけです。」
「アタリメェじゃねーか! バカ野郎!! お前ほんとに壊れちまったのか?」と隼人が買ってきたコンビニ菓子で俺の顔面をぶっ叩いてきた。
挙句の果てには、俺は胸倉を捕まれ、「しっかり、しろぉおおおお」とか友人に言われてしまった。
しかし、こんな時にも不覚にも俺は心の中で叫んでしまった。
――――よっしゃああああああああああああ。セェーーーーーーーーフ。
どうやら、普通の人間にはやっぱ見えないらしい。俺はサンプル実験に成功した模様だ。まさに怪我の功名といったところだ。
これからはハッピー・ロリ・死神ディズ・オン・マイ・ライフと言ったところだろうか。
全くバカな話だが、俺は早とちりをしていたようだ。この状況をぜひブレイクスルーしたい。
咄嗟に嘘が出た。しかも、かなり厄介な嘘だ。弁解の仕様がない。
「いや~、これは、そう! 誤解をしているよ隼人。涼に着せようと思って土下座の練習をしてたんだ! 」
自分に正直な俺だったが、他人にも正直でこれほど嘘が下手だったとは思いもしなかった。
隼人は青ざめていた。「―――っお前・・・。」そう、今さっきのやり取りで、股間にふれていたのだろう。つまり、勃起しながら俺は涼にブラを着せるなど詭弁を言っていたのだ。
「お前、何、股間固くしていってんだ! 元のお前に戻ってくれぇええ! まだ入学式のあのこと気にしているのかああああ? 」と胸倉を掴んだまま言い寄ってきた。
隼人は泣いていた。「お前には美少女は無理なんだ・・・。諦めろ!」
色々と違う。いや、まず、俺のために泣かないでくれ。俺が悲しくなる。
「やめろ、ちがう、それも違うんだあああ。」
俺は何故か無駄に傷口を広げられていた。
そうやって、言いやっていると、
「居るかあ? 」と声した。
ハッとした俺らは玄関の方を2人で覗いてみるとその声の正体は涼だった。
涼は部屋に入って言いやっていた俺らの状態を見て言った。「なにやってんだお前ら・・・。」
「隼人~。お前、此奴が美女に振られて落ち込んでるから、見舞いに来たんじゃないのか?」
「おおお、そうなんだ。」と隼人がその場を取り繕うように言った。
「でさ、コイツ、ブラの前で土下座してんだよ。でさ、聞いたらさ、涼に着せるんだって訳わかんないこと言い始めてさ。俺、コイツ、入学式で結構やられちゃったのかと思って・・・。」
「はぁ? 何言ってんだ? 」と言いながら、涼はをギヤとぺカドルに差し出したブラとパンティを見ながら2~3秒固まってしまった。
涼は「俺がこんなのきれるかああああああ。やらし過ぎるぞ! お前!」と赤面になって俺に怒った。
涼自身も勉強や陸上まっしぐらでこういうものに免疫がないのだ。怒るのも無理はない。
「涼。冗談だって。あはっはは」
涼も冗談なら許すといい、俺は笑いながらその場をやりきったのだった。涼お得意の世界大会レベルの脚力によるタイキックはなんとか避けれた。
―――とりあえず、ギヤとぺカドルは見えてない。これは・・・。俺だけの愉悦!!じゃなくて、俺はそれだけでも分かっただけで割と安堵した。
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