最終話 深き闇に抱かれて

14-0


 悪逆転正あくぎゃくてんせい


 悪とだんじられるような行為でも、最後まで貫き通してしまえば、その価値観すらも引っくり返り、正しいと言わるようになる……、という意味の、造語ぞうごである。


 そう、造語だ。こんな四文字熟語は、存在しない。俺が適当に考え、でっち上げてみただけの、悪の組織にとっては、あまりに都合のいい言葉である。


 しかし、その適当を、都合のよさを、俺たちは現実にしなければならない。


 そんな大言壮語たいげんそうごを、実現しなければならない。


 なるほど、それはなかなかに、けわしい道だろう。激しい妨害もあるだろうし、ただ声高に、自らの主張を叫ぶだけでは、誰にも受け入れてもらえないかもしれない。


 だけど、それでも、やるしかない。


 俺たちは、悪の組織なのだ。


 ならば、最後まで悪の組織らしく、自らの信念を貫こう。



 俺たちで、新しい言葉を作ろう。


 俺たちで、新しい歴史を作ろう。


 俺たちで、新しい未来を作ろう。



 俺たちが、新しい明日を、切り開くために。



 これは、俺と、悪の組織と……、始まりの物語だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る