12-1
「正義の味方と、決着をつける」
俺の静かな宣言は、ただ
そして広がるのは、
さあ、それでは、始めよう。
六人目の追加戦士どころか、巨大なロボットまで持ち出してきたマーブルファイブとの激闘に勝利を収めてから一夜明け、決断を下した俺は、ヴァイスインペリアルの仲間たちを集めて、今後の方針を、悪の組織の
それはなんだか、緊張してしまうというか、重圧を感じてしまうようなところは、正直に言えば、確かにあるけれど、しかし、逃げるわけにはいかない。
これは、いつまでも
「うむ、お前が決めたなら、当然ながら、ワシらに異論はない。しかし……」
というわけで、俺の宣言を聞いた祖父ロボの顔にも、特に驚きは浮かんでいない。向こうは俺よりも、経験豊富な悪の総統なのだから、こちらが考えるようなことは、すでに思い付いていても不思議はないので、それは当然の反応ともいえるだろう。
つまり、だからこそ。
「どこまでやるつもりなんじゃ?」
続けて
「今回の目的は、あくまでも、正義の味方と決着をつけることにある」
だから俺は、自分の考えを、その目的を、きちんと説明してみせる。
「そうして、この
やっぱり、こういうことは、目標意識の共有が大切なのだ。
「裏でコソコソ
そう、それこそが、今回の作戦の目的。
正義の味方の皆さんには悪いけど、今はもう、彼らを倒して全てが解決するような状況ではない。問題は
これが現状で、もっとも
「なるほどの。しかしそれは、なかなかのリスクも、
「ああ、分かってる」
とはいえ、まるでこちらを試すように、楽しそうな笑みを浮かべている祖父ロボの言いたいことも、十分に理解している。
もしかしたら、こちらから下手に動けば、虎の尾を踏み、
これはそれだけ、重大な決断なのだ。
「けど、奴らの
とはいえ、俺は今さら、
結局のところ、どうすれば正しいのかなんて、誰にも分からないのだ。ただじっと待つのがいいのか、それとも危険を承知で飛び込むのが正解なのか、全ては終わってからでないと、判断のしようがない。だったら、それはもう、自分がどうしたいのかという、好みの問題でしかないだろう。
それなら、俺の答えは、やりたいことは、もう決まっている。
「だったら、ここは、前に進む」
それが、俺の決断だ。
国家守護庁を、この国を守る正義の味方を、打ち倒してしまえば、もはや状況は、後戻りのできないところにまで進んでしまうのは、目に見えている。
しかし、それでも、この一歩は、踏み出さなければならない。
「ヴァイスインペリアルの立て直しも進んだし、他の悪の組織との連携も、良好だ。冷静に考えて、今の俺たちなら、攻勢に打って出ても、国家守護庁を打ち倒すくらいなら、それほど問題ないだろう」
とはいえ、もちろんこれは、
「少なくとも俺は、そう信じている」
俺の中に、迷いはない。
そこに勝算がなるからこそ、リスクにも飛び込める。
自分たちならば、これから、なにが起ころうと問題ないと、どんな相手だろうと、余裕で打ち倒し、切り抜けることができると、
それこそが、本当の意味での、俺の決断なのだから。
「うむ、よくぞ言うた! どこまでも上から目線で正義を叩き潰す! それでこそ、悪の総統じゃ! なーに、ワシらの手にかかれば、正義の味方共なんぞ、まさしく、あっという間に、
どうやら、俺の答えに満足したらしい祖父ロボが、それこそ悪の総統らしい不敵な笑みを浮かべながら、高笑いを上げているが、その姿は頼もしい。
そう、俺は決して、独りではないのだ。
「お任せください。
いつもとなにも変わらない、静かな瞳の
まあ、言ってることは物騒というか、一応は、俺なりに考えてることもあるので、本当に正義の味方を粉微塵にされると、困ってしまうのだけれども、その気持ちは、とても嬉しいものだった。
「はっはっはっー! 久しぶりに、大暴れできそうな感じだな! よっし! ここはオレも張りきっちゃうぜー! やるぜやるぜ! やってやるぜー!」
これから訪れる困難を前に、太陽みたいに笑っている
本当に彼女を見ていると、なにが起きても大丈夫だという安心感と、自分も全力を
「ワタシも~、色々と~、仕事の
そして、不敵な笑顔のマリーさんときたら、まったく、その頼りになるっぷりは、折り紙付きすぎて、むしろ彼女がやりすぎないように、注意するべきかもしれない。
とはいえ、そんな心配ができるほどに、余裕があるということが、本当の意味で、なによりも頼もしいと、喜ぶべきことなのだった。
「ええ、もちろんみんなで、大暴れしてやりましょう!」
だから俺は、胸を張って、愛する仲間たちに、笑顔で
そう、俺たちは、悪の組織なのだ。
だったら、悪の組織らしく、正義の味方を相手に、大立ち回りを演じてやろう。
「私たちも、頑張るよ! この戦いを、早く終わらせよう!」
「ああ! そろそろ学校の方も、恋しくなってきたことだし!」
避けられぬ決戦に向けて、可愛らしく気合を入れている
「確かに、ちょっと長い休みになっちゃってるし、そろそろ決着つけよっか!」
「そろそろ進級の時期ですし、その前に、面倒事は解決しておきましょう」
やっぱり、こういう目標を持つということは、大切なのである。
「そうね。私も卒業式には、ちゃんと出たいかしら」
「そうだそうだ! 先輩のためにも、面倒事は、さっさと片付けよー!」
それでは早急に、目の前の問題を、さっさと片付けてしまおう。
俺たちの日常を、取り戻すために。
「よーっし! アタシたちも、全力で統斗ちゃんのお役に立つわよん!」
「うっス! 全身全霊で挑むっスよー! やってやるっスよー!」
「……まさに、命
今の俺には、ローズさんにサブさん、そしてバディさんという、頼りになる怪人のみんなを筆頭に、ヴァイスインペリアルの戦闘員たちも付いている。
「……それでは、とりあえずマインドリーダーの二人と、連絡を
「そうね。あの子たちにも、しっかりと働いてもらいましょう」
俺の親父と母さんだって、全力でサポートしてくれている。
だったら、負けるはずがない。
「それでは、みんなで、やりますか!」
「ジーク・ヴァイス!」
大きな決断を下した俺に、みんなが続く。それだけで、どんな難局だろうと、乗り越えることができると強く信じて、前へと進む。
こうして俺たちは、一世一代の大勝負へと、乗り出したのだった。
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