第１１話　燃え上る魂！　天地に轟け、巨神の咆哮！

　驚天動地（きょうてんどうち）。

　この世の中は、天を驚かせ、地を動かすような、とんでもない出来事というやつで溢（あふ）れているということを、俺は最近、よく知っている。

　そう、悪の総統をしていれば、まさに人知を超えた、常識では測（はか）れない、予測すら困難な、複雑怪奇で、前代未聞で、未曽有（みぞう）の事態に遭遇する機会も多い。

　例えば、あまりにも超常的な能力を持った者同士の戦いであったり。

　例えば、世界を滅ぼしかねない力を持った、悪魔との決戦であったり。

　例えば、神話の中で語（かた）り継（つ）がれるような、伝説との対峙（たいじ）であったり。

　というか、そもそも、悪の組織が暗躍し、正義の味方が跋扈（ばっこ）しているという、この状況そのものが、普通の人々からすれば、驚天動地に他ならないだろう。

　だが、当事者である俺は、そういった事態に遭遇したとしても、あくまでも理性を保（たも）ち、慌てず、騒がず、驚かず、冷静に対処しなければない。

　それこそが、まさに、生き残るためのコツといってもいいだろう。

　しかし、ああ、だがしかし。

　それが分かっている、骨身に染みている俺ですら、まさに驚き、驚愕し、驚嘆し、この魂を震わせる事態というものは、そう確かに、存在する。

　これは、俺と、悪の組織と……、激闘の物語だ。

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