第五話 フェミニストですから
さて、僕らは今、先ほどレーナさんの言っていた地下の闘技場にやって来た。
ドーム状の空間になっていて、材質はコンクリートに似ているけれど、多分それよりもっと硬いと思う。僕の異能だとブチ破れると思うけど……今回は異能は使うつもり無いしそれはどうでもいいか。
「さあやろうかスノウ君。存分に暴れてくれ」
暴れたいのは貴女でしょうに……。
「いつでもいいぞ! さあ来い!」
レーナさんはそういうとローブを脱ぎ捨てた。
「!?」
僕は思わず凝視してしまう。今までローブを着ていたから気づかなかったが、レーナさん、めっちゃおっぱいでかい。もう凄い。昨日のおっぱい先生より一回りでかい。すごいぞ! でかい! でかいよ!
もう今から戦闘始まったらポロリもあるんじゃないか、これ。いや、ある。させたい。だが僕にそんな度胸はない。なにせ僕はむっつりなのだから。
「どうしたスノウ君? いつでもいいぞ?」
ラッキースケベであのおっぱいに飛び込んでみたい。女神マギア様! 僕にあのおっぱいに飛び込むスケベなハプニングのご加護を!!
「じゃあ、いきますよ」
まあもとはこの世界の住人じゃあない僕に加護もクソもないだろうけれど。
「頑張ってください、スノウさん! 勝てなくてもそれが当たり前ですから! 気楽に!!」
「なんかそう言われると負けたくなくなるんだよね」
言い終わると同時に地を蹴る。
とりあえずレーナさんの剣の能力がわからない以上、
衝撃で後ずさるレーナさん。手ごたえは感じなかったし、まあ防がれたのかな。
「やるなスノウ君。じゃあ次は私から仕掛けようか……な!」
「!?」
レーナさんがいつの間にか僕の目と鼻の先で剣を構えていた。
「避けろよ……? ハァ!」
「うっ」
上体を後ろに下げ、何とか回避するが、斬撃が
「今首落そうとしませんでした? しましたよね?」
「使い魔は不死なんだろう? 首の一つぐらい平気だろう」
首は一つしかないんですけどね。
「それに……お喋りしている余裕はないぞ?」
「えっ?」
気づけば背後にレーナさん。どんな能力なんだ?
「……
流れるような剣戟。回避は……無理だな。仕方ない、か。
「エルナちゃん、見ない方がいい。目を
「え?」
「!?」
僕は剣を体で受け止め、掴んだ。左肩に深く食い込んだレーナさんの剣はもう使い物にならないだろう。
「きゃああ!」
エルナちゃんの悲鳴が聞こえる。だから目を瞑れとあれほど……。
「しょ、正気か……?」
「僕は至って正気ですよ。これが一番手っ取り早いでしょう?」
そのままレーナさんを蹴り飛ばし、剣を奪う。
「どうします? まだやりたいですか?」
「……降参だよ。まったく……痛みがないわけではないだろう?」
「まあ、痛いですけど治りますからね」
僕は体から剣を抜き、レーナさんに返した。剣を引き抜くと同時にもう傷は塞がり始めていた。
「……君、なぜ本気を出さなかったんだ? 君には何かしら能力があるんだろう?」
「僕はフェミニストですから。僕の異能は加減が難しいんですよ」
まあ他にも理由はあるけど。
「で、どうですか? 職場体験できる実力はありましたか?」
「ふふ、申し分無いよ」
座り込んでいるレーナさんに手を伸ばし、立ち上がる手伝いをする。その際もちろん僕はおっぱいを凝視した。いやあ、大きい。戦闘中こぼれなかったのは残念だけど、いいアングルで見下ろせたので満足です。
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