第23説 周章狼狽(シュウショウロウバイ)

 虎耳トラガミのおかげで間一髪、境内の石鳥居に逃げ込めた。すると、追いかけてきたエイのクラスメイトたちが鳥居を越えようとした途端、たちまち身体が人型の式神にへんした。しかし、石鳥居をくぐり抜けることは出来ず、そのまま勢いよく鳥居の結界に貼りついたあと地面に舞い落ちた。

「なんだよコレ…」

 一瞬の出来事に呆然ぼうぜんと立ち尽くすなかった。

そんな中、後ろから女性の声がした。

「この式神は、旧おお家のモノじゃよ。ここに家紋があるじゃろ」

 神木の木漏れ日に現れたのは、境内のあるじ*葛ノ葉さまだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る