第20説 四面楚歌

 勉強を教える各先生方が不在で午前中に授業が打ち切られる学校。異常な日常の中、自分は久々に葛葉稲荷神社へ立ち寄ろうとした。すると、葛葉稲荷神社の真隣にある公園で行方不明になっていたはずのクラスメイトたちが集まっていた。自分は不思議に思い、声をかけてみた。

「みんなして何故なぜここに?」

「……………………………」

 誰一人として自分の質問に反応しなかった。不審に感じて、その場から立ち去ろうとしたがクラスメイトの一人が声をかけてきた。

「一緒に遊ぼうヨ…」

「えっ。」

 今までに感じたことのない違和感で身の毛がよだつ。よく見ると、クラスメイトは全員、死んだ魚のような目をしている。異様な光景に思わず足がすくんだ。すると突然、無言のクラスメイトが自分の周りを取り囲んできた。思わぬ出来事に尻餅をついてしまう。顔を見上げると、なぜかクラスメイトは全員で手を繋いでいた。

『かーごめ、かーごめ。』

 突如として、クラスメイトのカゴメ大合唱が始まった。

カゴの中の鳥は、いついつ出やる。』

 自力で立ち上がろうとするも、まわる輪が差しせまってきて起き上がれない。

『夜明けの晩に鶴と亀がべった後ろの正面…』

 もうダメだ。そう思った、その時-。

ワタシよ!」

 聞きなれた声と共に周囲が明転した。

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