第18説 夕刻ノ逢魔ガ時

 夕方、信太山管轄かんかつの新人警官がひとのない路地を防犯ジュンカイしていた。すると、途中の電柱で“あるもの”が貼られているのを見つけた。それは鳥居の地図記号がペンキのような赤字で書かれている奇妙な札だった。なにかと思ったが、誰かの悪戯いたずらだろうと思い無視した。

 しかし、奇妙な視線を感じて後ろを振り向く。すると、知らぬ間に御札はなくなっており、五寸釘が打ち付けられているさかさまのわら人形に変わっていた。怖くなった警官はあわてて、その場から離れようとするも、突然ぜんぽうから居ないはずの子供たちの笑い声が聞こえてきた。オソオノノいた警官は思わず、しゃがみ込んでしまった。そして、周囲から子供たちの歌い声が聞こえてくる。


『かーごめぇかーごめぇ カゴの中の鳥はぁ いついつ出やるぅ 夜明けの晩にぃ 鶴と亀がべったぁ 後ろの正面…』


子供たちの声がんだと思った次の瞬間。


『ダアレ?』


耳元で一人の子供がササヤいた。それと同時に藁人形から得体の知れない人影が出てきて、警察官の全身におおかぶさった。


"うわあああ"


⛩⛩⛩⛩⛩⛩⛩


「どうかしたのか?今日は少し遅かったじゃないか。」

嗚呼ああ、すいません。巡回ジュンカイ中に道案内をたずねられて‥」

「そうか。それは、ご苦労様だったな。」

「ええ‥」

 一匹の野良猫が信太山交番の前を通りかかった。すると、その野良猫は警察官の足元を見るなり、あわてて逃げ去って行った。

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