Situation2 【デート】パート2
「ねぇ瑞希明日暇?」
「ウィ」
「そのぉ、デートどう?」
っていう感じで決まった今日のデート。
とにかく順調に時間が過ぎていく。
そして、次の目的地に向かおうとした時。
道端で、老齢の女性がしゃがみこんでいるのを見つけた。
いけない、今はデート中なんだ。いけない……、いややっぱ無理。
「ごめん瞬! ちょっと良い?」
「うん、どうしたの?」
見て見ぬフリなんてできない!
「どうされましたか?」
走り寄って、話しかける。
「さっき高校生にぶつかちゃってねぇ。そのときお財布を落としてしまったの」
ふむ。見つからないっていうことは、ちっちゃいやつ? 小銭入れ的な。
「私もお手伝いしますよ」
「いえいえ、大丈夫。彼を待たせちゃいけないよ」
でもなー。嫌だよね、困ってる人いるのに。助けないなんて私が許せない。
ちょっと困ってると、気づいた瞬がこっちに歩いてきた。
「何かあった?」
「いやー……高校生にぶつかられた時にお財布落としちゃったらしいのね。少しだけだから、一緒に探させてくれない?」
色々考えてくれてたと思うと、申し訳ないけど……。
ここで見捨てたら私じゃなくなる。
「なぁんだ、そんな事わざわざ俺に断んなくたっていーよ」
「ホント? ありがと!」
瞬も一緒になって探してくれた。そしたらすぐに発見できた。
おばあさんのほっとした表情が嬉しかった。
……時間潰しに入ったファミレスにて。
「さっきはごめんね。せっかくのデートなのに、水差すようなことしちゃって」
少し頭を下げると、瞬は慌てたように言った。
「謝んないでよ。全然気にしてないから!」
そうやって君は私を甘やかすんだから。
「いやホント、気にしてないからね?」
「本当に?」
問い返すと、瞬は優しく笑って頷いてくれる。
「……良かった」
「それに」
瞬が私と目を合わせる。
「瑞希のああいうところが好きだし」
率直な言葉に、私は黙るしかなかった。
「あれっ、瑞希さん照れてますー?」
こういうときだけ、ここぞとばかりに性格が悪くなる瞬。
「だって! 瞬がまっすぐすぎなんだよ……」
「でも?」
ぐっ。分かってやがる。
「でもそういうとこが瞬の良いところだよねッ!」
半ば自棄になりながら、私は瞬を睨んだ。
瞬のストレートな優しさとか好意に恋に落ちた私。
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