Situation2 【デート】パート1

高橋冬弥たかはしとうや―人生で一番親しい年上の男性。

私は、性格なのか年上の人には絶対敬語のタイプだった。

それは今も変わらないけど。でもこの人だけは違う。遠慮なんかない。ちょっとはある。バンバン本当の自分で接することができる人。


で、そんな彼と私は今日、初デートに来ている。

ちゃんとしたデートとしてはっていう意味であって、二人で遊ぶのは数えきれないほどに繰り返した。

「どっか行きたいとこある?」

「あるけど、冬弥のプランに沿いたい気もする」

「プランって……そんな大層なもの無いですよー」

こうやってふざけてるけど、絶対にある程度の筋書きはあるはず!

冬弥はそういう人だから。

「まぁ、春がそれでいいなら?」

「よろしくでーす」


それから私たちはとりあえず昼食に。やっぱり好みを掴んだ店だった。

そのあとは猫カフェに行った。

流石は冬弥、私のことをよく分かっていらっしゃる。猫カフェに連れてってくれる人に悪い人はいない。

「もー、めっちゃ可愛い! 天国!」

「死んでるじゃん」

足元に来た猫を抱きかかえながら、冬弥が笑う。

「なんなんこの子天の国から舞い降りし天使か」

今私の膝に乗って撫でてる子、超可愛い!


「でも、俺にとっては春の方が可愛いよー?」


危うく猫ちゃんを落っことすところだった。

「とっ、不意打ちすぎますけど!?」

「にゃー」

私を動揺させた張本人は、素知らぬ顔で猫にデレデレしている。

……この人、理解不能。

「さっきからずっとその子構ってるね」

あらぶる心を落ち着かせるため、話題を猫に戻した。

が、それが間違いだった。


「ん? まーねー。春に似てるなーって思ったらさ」


「何なんですか冬弥さん!? 今日はいやにデレますね!?」

いっつもツンツンしてるくせにぃ。

このギャップに落ちた私は……あはは。


結局、猫カフェを出た後も、冬弥はいつもじゃ見られないくらいに甘くて、


なんとなく振り回された感があった私だった。



……余計に好きにもなったけど?

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