第520話 大阪府東大阪市高井田本通の旨辛味噌ラーメン(平麺200g野菜マシマシニンニクマシマシ背脂普通味濃い目)
「連休も後半か」
ゴールデンウィークも折り返しを過ぎてそろそろ終わりが見えてきた。だが、まだそれでも連休なのだ。
細々したことを済ましている間に時が過ぎてしまったが、まぁ、いい。
朝の間に部屋を片づけてゴミをまとめたところで。
「腹が、減ったな」
せっかくだ。ゴミ出しがてら出かけて何かガッツリ喰いに行こう。
そうして。
「少し早かったか」
布施駅から南にしばし歩いた先、大きめの通りを渡ったところにある麺屋に訪れていた。この近辺は超多加水麺やらネギだらけの麺やら麺屋が色々とあるのだが、目的地はガッツリ野菜が喰える場所。
だが、シャッターが半分締まって準備中の札。時計を見れば開店までまだ十分ぐらいあった。
いいだろう。天気もいい。
少しぶらつこう。
東へ少し歩けば、JRおおさか東線の線路が見えてくる。もうできて長いのだが、こちらから新大阪へのルートができるなど想像していなかっただけに、未だにこの場所をJRが走っているのが不思議な感じがする。
目的もなく周辺を一回りして戻れば、丁度店を開けるところだった。
店に入り、すぐのカウンター席について一息。
メニューを眺める。すっかり暑くなってきたのだ。ここは、カプサイシンを取ろう。
「旨辛味噌ラーメンを」
合わせて、
「麺は平麺200g、辛さは二辛、野菜マシマシニンニクマシ、背脂は普通で」
「味の濃さは普通でいいですか?」
「濃い目で」
という感じでメニューを参考にカスタマイズも伝えてしまえば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は本編の続き。縋憶編、星の力を得た魔女に封じられたマスターを救うべく、五乙女が奮闘するシリーズで、今回はロザリーのターンだ。
正直、直前の9周年イベントで頑張り過ぎたのでほどほどにしようと思いつつ、最低限は頑張って100位以内を目指して周回中。とりあえず、数回周回しておこう。
ちょうど2回周回したあたりで、カウンターの奥の厨房で盛り付けの気配。ゴ魔乙を終了すると、いいタイミングで注文の品と、味濃い目用のカエシの容器がやってきた。
「マシマシだ」
山と盛られた野菜の頂点には背脂、山肌には赤い雪が降り注いでいる。麓には、大きな豚と刻みニンニク。染み出すは赤いスープ。
「いただきます」
まずは、スープをいただく。
「いい辛味」
混ぜていない上澄みなのもあるだろうが、キリッとした辛味がとにかく感じられる。頂上の野菜を唐辛子と背脂で食らえば、旨辛になってくる。
このまま混ぜ込むとスープが薄まるのを見越して、カエシを野菜にかけて少し山を崩していく。唐辛子と背脂とカエシで食らう。野菜自体もいい茹で具合で素朴な甘みがあり、これだけで十分旨辛を楽しめる。だが、本番はこれからだ。
いい感じに野菜が減ったところで、天地を返しに掛かる。というか待ちきれずに出てきた麺を食らう。
「お、味噌味が加わってるなぁ」
結果的に底からスープを混ぜたので、沈んでいた味噌の味わいが加わって、甘み旨みが出てくる。平麺自体も、噛み応えがあり、噛めば麦の風味を楽しめる。
混ぜれば混ぜるだけ味が深まっていく。
野菜を麺を、そして、それだけでトンテキとしてメインを張れそうな豚を食らう。文字通りのいい塩梅で豚の旨みが楽しめる。そこに、辛いスープの味わい。
とてもいい。
野菜の甘み、味噌が混ざって深みの出てきたスープ、豚と麺。
旨辛味噌ラーメンという名にふさわしい味わいだ。
辛味は三段階で二辛の激辛にした割には、そんなに辛くはない(※個人の感想です)のだが、じんわりと額に汗が滲んできていた。
山とあった野菜も、麺も、豚も、ほどなく、胃の腑に収まって。
最後に残った、すべてが混ざり合って旨辛の深まったスープをしばし楽しみ。
最後に水を一杯飲んで一息入れ。
「ごちそうさん」
会計を済ませて店を後にする。
「さて、少しぶらついてから帰るか」
ぶらりと布施駅方面へと足を向ける。
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