第487話 東京都千代田区外神田の芳醇味噌
「充実した一日だった」
夏である。台風の影響が危惧されたが、現状ならなんとかなりそうな予報になってきたが、それはそれとして、会場の設営日だったのだ。
昼前にビッグサイトへ向かい、設営をし、反省会は辞退して途中の東京駅で軽く蕎麦で昼を済ませてお土産を買って神田へ戻ってきて映画を観て、と一日動き回ったのである。
そうなれば当然。
「腹が、減った」
ということで、日本橋の劇場から秋葉原へと向かう。せっかくだから、何かしら麺が喰いたい。
候補は二つある。つけ麺にするか、味噌にするか?
万世橋を渡り、左折。つけ麺の候補の店があるが、どうにも気乗りしなかった。そうか、昼、冷やしの蕎麦食ったので、つけ麺とは微妙に被るのか。
となれば、味噌だ。
秋葉の中央通りから逸れて神田明神方面に向かい、開けたところで右折。そのまままっすぐ行けば、目的の店がある。
「移転したと思ったら、元の店は別のメニューになってたんだよなぁ」
と気づいたのが昨日のこと。そのときから気になっていたのである。
「よし、すぐに入れそうだな」
こじんまりした店内の席は大分埋まっているが、空きはまだある。
早速入り、目的の芳醇味噌の食券を確保して、空いていた席に着く。
「ニンニク入れますか?」
と聞かれるが確認するとどうもマシなどはないらしい。ニンニクあり、背脂ありで注文を通す。
あとは待つばかりとなれば『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は、夏の大型イベント学園乙女のターンである。今回はほどほどにするはずが、『デススマイルズ』で愛用しているフォレットを購入できたので購入してしまったために、ルベリスだけでなくカモミールとアンゼリカも確保し、ボックスガチャでスフレも確保し、イベント報酬と合わせて前回よりも確保している使い魔が多いぐらいになっている。
そんな訳で、ほどほどと言いつつそれなりに上位をキープしたりしているので、おでかけを仕込んだ後はほどほどに出撃して過ごしていると、ほどなく注文の品がやってきた。
「なるほど、こういうのか」
白い背脂の浮く茶色いスープの上には、もやし、刻みネギ、メンマ、大きめのチャーシュー、刻みニンニクが乗っている。背脂が特徴的だが、他は比較的オーソドックスだろう。
「いただきます」
まずは、何をおいても味噌のスープだ。レンゲで一口いただけば。
「しっかりした味だ」
オーソドックスな味わいだが、背脂とニンニクがアクセントになっている。そのまま麺を引っ張り出せば結構な太麺だった。この強めの味の味噌をガッツリ纏っていい感じだ。
メンマの歯応え、デカいチャーシューの豚の旨み、ニンニクと刻みネギの刺激、もやしの甘みがスープといい対比。一味も足せば、唐辛子の風味も加わってよき。
ここのところ癖のある麺が多かったので、こだわりの味噌ラーメンの味わいは新鮮でもある。
気がつけば、麺と具を喰らいきり。
残ったスープをしばしレンゲで追い駆ける。
だが、ここで思い出す。
汝、完飲すべからず、だ。
結構濃い味だ。暑さで塩分が失われているにしても、限度がある。
最後に水を一杯呑んで口内をリセットし。
「ごちそうさん」
店を後にする。
「さて、後はホテルに帰ってのんびりするか」
神田方面へと、足を向ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます