第481話 兵庫県神戸市中央区割塚通のチャーシューメン大盛り+ライス

「さて、昼をどうするか?」


 古巣の合唱団のOBOG合同練習の日。午後一からの練習だ。早めに食事を済ませるか、現地で食事を済ませるか選択が迫られる。


 そこでふと気づいたのだ。


「なるほど、今日の練習場所、灘か」 


 となれば。


「現地で喰おう」


 かくして昼前に灘駅に降り立ち、駅から北西に少し移動する。


「あそこ、だな」


 目的の店は見えたが。


「どうやっていくんだ?」


 渡りたい道路に信号がない。少し先に歩道橋があるのでそちらから渡り、


「ここから渡れるか」


 歩道橋下の信号を渡って目的地へ到達する。


「お、すぐ入れそうだな」


 昼に少し早い時間だったのが幸いしたのか、それなりに席は埋まっているが空きはありそうだ。


 厨房を大きくコの字に囲むカウンター席になった店内に入ると、まずは食券機へ。


「これから激しい歌を練習するんだ。ここは、チャーシューメン、それも大盛りだ」


 チャーシューメン大盛りのの食券を購入し。


「更に米も」


 ライスの食券も付ける。


「こちらへ」


 案内された奥側のカウンター席に着き、荷物を下ろして一息。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は霊獣篇のクライマックス。ロザリーのターンだ。とはいえ、出撃する時間はなさげ。軽くおでかけをしこんだりしていると注文の品がやってくる。


「チャーシューメンだ」


 丼の表面を完全にチャーシューが覆っていてそれ以外何も見えない。ライスの方はしっかりした量が茶碗に盛られている。


「いただきます」


 これだけ盛られるとチャーシューからいくしかない。スープに浸していただく。


 素朴な味わいの豚。そこに絡む、豚骨というか豚足醤油のスープ。ちょっと癖のある味わいだ。


 チャーシューの下からは、ネギ、もやしが出てくる。それらを交え、麺もすする。細ストレート麺はパツパツした食感が楽しく、スープもしっかり掬いあげる。


 ああ、この味だ。神戸に来ると、喰いたくなる味わい。


 ご飯で追い駆けるのもまたよい。


 しばし喰い進めたところで、


「入れてしまおう」


 生ニンニクを放り込み、更に焦がしニンニクもプラス。ガッツリした味わいで食が進む。


 ニラキムチも加え、胡椒もドバッと。


 基本が癖がありつつも昔ながらの素朴な中華そば。薬味でアクセントを加えていくのも楽しい。


 大盛りの麺はモリモリ食べても十分な量があり。


 その上で、米も喰らう。


 これから、歌うのだから、いいのだ。


 付け合わせの沢庵を囓りつつ、米を喰らう。


 麺を喰らう。


 麺も米もなくなれば、スープも最後まで飲み干し。


 水を一杯飲んで一息入れ。


「ごちそうさん」


 店を後にする。さっと喰えたので、まだ練習までは時間がある。


「少し腹ごなしに歩くか」


 練習場所の方向へ目指しつつ、坂を上る。




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