第448話 大阪市中央区難波千日前の期間限定

「来てしまったな」


 仕事を終えた私は、予約していたBDを確保すべく日本橋にいた。だが。


「腹が、減った……」


 ということで、オタロードにほど近い麺屋の前にいた。期間限定が始まっているので気になっていたのだ。


「今の腹具合なら、いける」


 通し営業になって客が流れているからか、ぼちぼち空席がありすぐ入れそうなのもありがたい。


 店内に入り食券機で期間限定の食券を確保し、案内された一番奥のカウンター席に着く。


 食券を出し、


「ニンニク入れますか?」


「入れてください」


 とだけ伝えればオーダー完了だ。詠唱はない。それがここのスタイル。


 後は待つばかりとなれば、『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』の時間だ。現在は、クリスマスイベントの五乙女編。リリーでは50位以内に入れたのでもうクリスマスイベントはのんびりモード。ロザリーでいけるところまで行こうとのんびり進行中だ。


 出撃を数度すれば、麺を上げているのが見えたので終了。


 ほどなく、注文の品がやってくる。


「紅い、な」


 これこそが現在の限定。基本は担々麺であるが、こんもり盛られた野菜にどっさり刻みニンニク。サイコロ上のたっぷりの豚。野菜の上には辛味噌。全体を彩る一味。


「いただきます」


 まずは、野菜をいただけば、いい感じに担々麺風味。だが、まだまだポテンシャルはある。


 麺を少しいただいて、小麦の風味を楽しんだところで、


「混ぜてしまわないとなぁ」


 辛味噌を行き渡らせてなんぼ、だ。ニンニクも全体に馴染ませねば。となれば、天地を返すしかない。


 レンゲで零れないように抑えつつ、箸で野菜を沈めつつ麺を底から引っ張り出す。野菜と共に辛味噌が溶け込み、段々とスープが赤く染まっていく。


 いいぞ。


 しっかり混ざったところで麺を喰らえば。


「うんうん、食べやすい旨辛だ」 ※個人の感想です


 ほどよい辛さが身に染みる。食欲も増進されて、麺を豚を野菜をモリモリ喰らえてしまう。


 半分ほど喰ったところで、調味料を使ってみようと思うが、


「これとか、どうだろう?」


 タバスコを軽く振って喰らってみる。


「なるほど、これはこれでいいな」


 酸味が爽やかさを足してくれる。だが、入れすぎると全体が変わってしまうので一旦はこれだけにして、続きを喰らおう。


 なんとも食欲をそそられる味のため、いつになく速いペースで麺が減っていく。


 最後の最後になって。


「よし、最後の仕上げだ」


 酢を回し入れ、魚粉を足す。正直、タバスコを入れるのも酢を入れるのもあまり変わらない気がしたのだ。タバスコは唐辛子と酢と塩で出来ていて、唐辛子と塩はたっぷり入っているからな。


 酸味でサッパリと最後の最後まで味わい。


 オイリーな赤いスープを数口、レンゲで楽しみ。


 最後に水を一杯飲んで一息。


「ごちそうさん」


 食器を付け台にあげて店を後にする。


「さて、買いに行くか」


 ソフマップなんば店ザウルスへ、足を向ける。




 

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