第386話 大阪市浪速区日本橋の豚骨醤油(野菜マシマシニンニクマシマシ背脂マシ)

「休みも今日で終わりか」


 年末の冬があっという間に過ぎ、気がつけば三が日も過ぎ。暦は平日。なんとか休みは1日残っている状態だ。明日から社会に復帰しないといけない辛み。


 そろそろ、店も開いているだろう。おせちを喰ってダラダラして過ごしたのだ、何か喰いにでるのもいいだろう。


 かくして、大阪日本橋の地に降り立っていた。足は、磁石が自然に引き合うようにオタロードへと向いていた。


「並んでるな」


 候補にしていたナポリタンの店も麺の店も開いてはいたが、列が出来ていた。これは、もう少し歩くべきか。


 そのまま南下して肉の店も列が出来ている。昼時だったのがまずったか?


 並ぶことも視野にいれながら、更に南下。


 少し左に入った店を見れば。


「お? 列はない、な」


 店の前まで行けば満席。だが、すぐに人が出てきて席が空く。


「ここにしよう」


 早速基本の豚骨醤油のラーメンの食券を確保し、手指を消毒しておしぼりを取って店内へと。


 開いたカウンター席に着いて食券を出せば、すぐにトッピングの確認だ。


「野菜マシマシ、ニンニクマシマシ、背脂マシで」


 サクッと済ませ、水を一杯飲む。冬とはいえ、乾燥した身にレモン水が染みる。


 後はまつばかりとなれば『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』の時間だ。現在は新年のイベント。リリーはまだ来ていないが、そこそこ引きがよかったのでそれなりに回している最中だ。


 さて、出撃するか、と思ったが、のんびり水を飲んでん一息吐いていたからか、厨房では速くも麺上げの気配。


 出撃は諦めて終了し、待つこと少し。


 注文の品がやってた。


「ちょうどいい感じ、か」


 マシマシの上が登場したこともあり、マシマシにしてもほどほどの量の野菜の山、麓に並ぶ大ぶりな豚と刻みニンク。山頂を飾る背脂。野菜の隙間から覗くスープは茶色く濁る。


「いただきます」


 まずは、野菜の隙間から染み出す風情のスープを一口。


「まろやかだ」


 関西風というか出汁、つまりは豚の旨みがしっかり出ていて口当たりが柔らかいスープだ。そこに野菜を浸しながら喰えば、一緒に背脂もまざって少しずつこってりしてくのがいい。


 ほどよく野菜を食って背脂がスープに回ったところで極太の麺を引き上げて啜れば、しっかりと旨みを纏ってズルズルといけてしまう。


 適度に喰ったところで、ニンニクをまぜこめば、ガツンとしっかりした味わいになる。それでも、豚の旨みはしっかり感じられるので安心だ。


 豚肉に齧り付けば、脂の多めの部分で少し重たいが、胡椒をぶっかけて刺激を加えるとまるっと喰えてしまう。


 やさしめのマシマシが、おせちに支配された身体を癒やしていく。


 やはり、マシマシは健康にいい。


 心も体も満たされていくのを感じる。


 麺を豚を野菜をモリモリと食えばグングンと健康ゲージが回復していく。


 これで、明日から戦える。


 そう、確信したところで。


「終わり、か」


 脂の浮いたスープが残る。


 二口、三口、レンゲで名残を惜しみ。


 最後に水を一杯飲んで一息入れ。


「ごちそうさん」


 食器を付け台に上げて店を後にする。


「さて、少し歩くか」


 満たされた身体を、オタロードへと。


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