第385話 東京都千代田区神田松永町のらーめん(野菜マシニンニクマシカラメカレーマヨ)

「帰ってきたんだなぁ」


 本日、二年ぶりの冬が来たのだ。去年は夏も冬もなかった。今年は夏がなかった。


 だが、こうして冬はあるのだ。


 さすがに多くの対策が必要となるので事前チケット抽選購入という形だった。幸いにして初日のチケットを確保し、ビッグサイトを訪れることができたのだ。


 体温の計測、ワクチン証明と身分証明の厳重なチェックを効率良いいオペレーションでこなすスタッフの皆様には本当に頭が下がる思いだった。


 いつになく人数が少なくスムーズに回るべきを回って冬の初日を堪能した帰り。


「腹が、減ったな……」


 結構歩いた上に、昼時も大分過ぎている。


「アキバで何かを喰って帰るか」


 かくして、アキバの地に降り立つ。


「さて、どこに行くかだが……久々にあそこに行ってみるか」


 中央改札を出て、ヨドバシカメラの前を左へ折れ、そこから右折してまっすぐ。高速にぶつかったところで左折。


 久しぶりで距離感を忘れていたが、しばし歩くと、目的の店の看板が見えてきた。


「お、すぐ入れそうだな」


 昼時を外していたからか、店内に疎らに空き席があった。


「今日は、オーソドックスに」


 店頭の食券機でらーめんの食券を確保し、店内へと。空いていたカウンター席へ着いてセルフの水を飲んで人心地。


 食券を出して、


「ニンニク入れますか?」


「野菜マシニンニクマシカラメカレーマヨ」


 と詠唱を済ませる。オーソドックスに行きつつ、この店特有のジャンクなものを足してみた。


 後は待つばかりとなれば『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』の時間だ。現在は怒首領蜂最大往生コラボ中。地道に蜂を集めて楽しんでいる最中だ。とはいえ、麺が出てくるタイミングが掴めない。おでかけやら諸々を仕込んで出撃は控えることにした。


 そうして、待つことしばし。


 注文の品がやってきた。


「いいビジュアルだ」


 マシた野菜が丼の表面にドーム状に盛られ、そこに寄り添うように大きな豚が並ぶ。反対側には、刻みニンニクがひとかたまり。そして、野菜のドーム状には黄色い線が幾つか走る。カレーマヨだ。


「いただきます」


 まずは、野菜だ。


「おお、ジャンク」


 なんというか、スパイスとかそういうの抜きにして、『カレー味』である。チープと言えばチープだが、こういう料理にはむしろ合う。


 続いてスープを啜れば、脂でドロドロにはなっておらず醤油が立った清湯豚骨醤油。それでも、味はしっかりしていて、太い麺にもしっかり絡んで来る。


 炙られた豚はホロホロで、タレの旨みと豚の旨みが香ばしさの中にしっかり感じられる。


 旅先で食すにあたって、独自性のある味わいが嬉しい。


 空腹だったのもあるが、この手の麺にしてはあっさり目なのでスルスルと入ってくる。途中で一味やコショウを足しつつ豚を麺を野菜を美味しくいただいていく。


「もう、終わりか」


 野菜をマシに留めたのもあり、嵩も低い。あっという間に丼の中から固形物が消えていた。


 スープを数口、レンゲで追い駆け。


 完飲は控え。


 最後に水を一杯飲んで一息入れ。


「ごちそうさん」


 店を後にした。


「さて、少し買い物していくか」


 まずはヨドバシの上のダイソーを目指す。

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