第371話 大阪市北区曽根崎新地のCコンボ(ラーメン並+チキン南蛮+半チャーハン)+生ビール

「なんとか、乗り切ったか」


 週末の疲れが抜けきらないままに迎えた月曜日。現実はがむしゃらに来るのでお仕事を終えることは、できた。


 それでも、映画は観たいのだが。


「その前に、しっかり喰わねばな」


 劇場のある梅田の地に降り立ち、さて、どこへ行ったものか? となるが。


「いや、もう、久々にあそこへ行くか」


 御堂筋線梅田駅の南改札から出て、阪神百貨店の前を西へ。途中で南へ折れれば、ディアモールへ入る。


 そこから更にJR東西線北新地駅まで突っ切って、地上へと。


 雨降りに傘を差して少し東へ戻れば、目的の店があった。


「よし、すぐ入れるな」


 夕食時にはやや早い。通し営業でもあり、空いている時間帯だ。


 傘を畳んで店へと入り、カウンターが並ぶ一階席へ。


 適当に空いている席に付いて、メニューを開く。


「お、こんなメニューが出来ているのか」


 チェーン店だが、店舗ごとにセットメニューが色々違ったりトッピングがあったりする店だが、コンボメニューというものが出来ていた。


 いくつか種類があるが、Cコンボのチキン南蛮に惹かれる。


 ならば、行こう。


 水を持ってきた店員に、即座に、


「Cコンボを。ラーメンはこってり、レギュラー麺で」


 と注文し、更に。


「生ビールを。食事と一緒に」


 と付け加える。アルコールが解禁されたのだ、行くしかあるまいて。


 注文を済ませれば後は待つばかり。『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい!~』を起動する。現在は、五乙女のハロウィンイベントながら、新しいリリーがこないので、粛々とロザリーステージを周回する日々である。


 とはいえ、出てくるまでそこまで時間が掛からないだろう。出撃は控え、おでかけを仕込んでしばし。注文の品がやってくる。


 まずは、ビールと、麺が。続いて、チャーハンとチキン南蛮がやってくる。


「おお、中々豪勢だな」


 思ったより、チキン南蛮のボリュームがあり、並べて観ると壮観だ。


「いただきます」


 ビールをグビリといって口を湿らせ、続いて麺のスープをレンゲで啜る。


「ああ、これだ」


 褐色のポタージュ状のスープは、独特なこってり味。安心の味だ。


 続いて、チャーハン。


「思ったよりあっさりか」


 見た目も薄めの色合いだが、味もやさしめである。オーソドックスな味と、スープを合わせるのもよし。


 続いて、チキン南蛮だ。正直、見た目は唐揚げにタルタルを掛けただけに見えるのだが、


「おお、ちゃんとチキン南蛮だ」


 からっと揚がった衣にいい感じに甘酢が染みこみ、そこに加わる卵を潰した感じのシンプルなタルタルソースがいい。いいじゃないか。


 勿論、ビールにも合う。


 麺を喰らい。チャーハンを喰らい、チキンを喰らう。


 疲れが癒やされる食の一時だ。


 もう、細かいことは考えず、ずるずるバクバクもしゃもしゃと、喰らう。


 旨い。


 生き返る。


 予想よりチキン南蛮が多くて少々重い気もするが、それでも。


 三角食べでいい感じに全てを食い尽くすことができた。


 これなら、映画を観ても体力が持つだろう。


 満腹で、満足だ。


 会計を済ませれば、今はひっそりとした祭りの最中だったことを思い出す。


 スピードくじを引けば、パスケースが当たる。


 どんなもので、当たれば嬉しい物だ。


「ごちそうさん」


 気分よく店を後にし、劇場のある北側へと、脚を向ける。

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