【2】運命を変える、事件。
二人の元に戻った私は、夏休みの計画を立てた。
「月草はいつなら遊べる?」
「んー。バイトが忙しいけど・・・。明後日はお休みだから遊べるよ!もし、他に遊べる日が分かったら、ゆっこに会いに行くね?」
「分かったよ!」
私は、携帯電話を持っていない。
ちなみに、家にも電話はない。
私は一人暮らしで両親もいなく、施設で育った。
バイトはしているものの、少しずつの貯金や施設へもほんの少し寄付しているのもあって、毎日の生活は正直、きついかな。
楽しい時間を過ごしているとバイトに行く時間が近づいてきた。
「私、バイトだから行くね!」
「分かった!またね!」
私は急いでバイト先へ向かった。
私がバイトをしているのは築63年のかなりぼろいアパートの隣のこれまた古い中華料理屋の『昇竜房』。
見た目ははっきり言って汚い。でも、味はかなりいい!
そして、隣のぼろアパートは私が住んでいるところ。
かなりぼろが来ている木造二階建てで私はその二階の端の部屋に住んでいる。窓の下には昇竜房が見える。
なにげに人気のあるお店なだけあってかなり忙しくなる。
私は休む暇もなく、働いた。
「辻本サン、もう上がっていいヨ!おつかれさま!」
店主のテムさんの声が聞こえ私は隣のアパートに帰宅した。
お風呂に入り、今日はまかないも食べる時間もなく夕飯はまだ食べていないけど、今日はいろいろありすぎてもう眠い。
わたしは眠りについた。
___________
『必ず、迎えにるから。まってて。』
夢をみた。
“ハナちゃん”大好きだった女の子。
私が保育園の年長さんあたり・・・5歳くらいだろうか。
その頃、ハナちゃんは小学5年生。とてもきれいな顔をしていてお姫様がいたらきっとハナちゃんみたいな子を言うのだろう。
来年からは一緒の小学校に通えることではしゃいでいた。でもハナちゃんは、新しい両親に引き取られ、施設を出ることになった。
泣きじゃくる私にハナちゃんは
『必ず、迎えに来るから。まってて。』
そう言って私の頭を優しくなでた。
そんな約束をしたことを私は今でも鮮明に覚えている。
でも、もうきっと会えないんだろうな。
なんか急に悲しくなった。
___________
なんか、外が騒がしい。
消防車のサイレン音もする。
そして、息苦しい。
目を開けると、カーテンの向こうは真っ赤だ。
そしてアパートにも火が移っているらしい。
私の部屋にもあっという間に煙が広がる。
「逃げなきゃ!」
そう思っても苦しくて思い通りに体が動かない。
・・・もうだめかもしれない。
ハナちゃんにも会えなかったなぁ。
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