第2話 制度の概要

普通この学園に入学する人数は、必ず余りが出ないように、偶数と決まっている。しかし、この制度を免除される生徒もいる。


1. 一人で何でも出来る人間

「またアオキが一位だって。入学してからずっと主席をキープだろ?」

「化け物じゃねえの?」

「不意打ちの小テストでも満点以外見たこと無いんだけど?」

「この前の体育のテスト、先生目キラキラさせて、体操部の期待の星だ―とかなんとか叫んでたぞ。」

「アオキさんには敵わないよねえ。」

「綺麗だしい。」

僕の学年の成績トップ・運動神経抜群・容姿端麗のアオキ レイがその人物だ。

パートナーを組まなくても、一人でほぼ何でもこなすことが出来る。


2. 実家の影響力

ドン

「おい、痛い……」

ぶつかられた生徒が文句を言おうと顔を見たところ、一気に青ざめて走り去った。

「うわ……ワクイだ。」

「今日学校来てたの?」

「近寄らないでおこう。何言われるか、分からないもん。」

「つーか、超こわ……」

と家がヤにまつわるワクイ ヒデカズも免除されている。学年は1つ上。

勉強するのに家は関係ないから、通ってはいるが、周りからはかなり浮いている。お供の一人も付けていないのが、更に怖さを助長させているらしい。


3. 学校が認めた人物

「いやあ、カゲヨシ君じゃないか。」

「おはよう、最近調子はどうだい?」

校長と副校長が、ある男子生徒に話し掛けていた。話しかけられた眼鏡をかけた少年は、無言で頭だけを動かした。

「不慣れなことが多いと思うが、頑張ってくれ。」

「今度、校長室に来なさい。美味しいお菓子を用意してあるから。」

「じゃあ、体に気をつけてね。」

そんなやり取りを遠巻きに眺めていた他の生徒たちは、

「カゲヨシだ。また校長たちやり込めているよ。」

「仕方ないじゃない。なんだって天才少年なんだから。」

「国からの重要保護者だっけ?」

「でも、関わりたくないよねー。何考えているか分かんないもん。」

「顔はまあまあいいのにねえー。」

「何?ミホってばああいうのが好みなのー?」

「違うしー!もう。」

と今一番ノーベル賞に近い人物を言われる、天才科学者 カゲヨシ トシ。無口で無表情なため、何を考えているのか不明。それも相まって、他の生徒からは一歩距離を取られている。


といった例外者たちだ。今紹介した人以外にも何人か存在する。殆ど家の影響力者が多い。そいつらは一人で何をしていても許される。免罪符があるからだ。

一方僕は何の免罪符も持っていない。

勉強は中の下。運動は人並み、容姿も人並み(と自分では思っている)、家は普通の会社員家庭、何か人に自慢出来る特技も無し。

結果パートナーが居ないという理由だけで、言われなき他の人間のストレスの捌け口とされている。これには学校側も黙認している。なんせ、学校が定めた制度を守れていないからだ。





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